弔辞の基本をおさらい。文章の作り方と構成別7つの例文

弔辞の基本をおさらい。文章の作り方と構成別7つの例文

弔辞とは、「故人へ捧げる最後の言葉」です。故人と親しかった代表者が選ばれ、故人との思い出、故人の“人となり”が分かるエピソードを語ります。

弔辞は故人に向かって呼びかける挨拶となってはいますが、実際に耳を傾けているのは、ご遺族や参列者です。そのため、全員に伝わるような言葉を選んでまとめていかなければなりません。

ここでは、基本的な弔辞の作り方をお伝えします。文章構成は、①弔辞のはじめの言葉から始まり、②故人への呼びかけの後、③故人との関係とエピソード④次に故人の実績やご遺族への言葉が入った後に、⑤弔辞の結びの言葉と流れて行きます。

この基本的な5つの構成を基にして、故人とあなたの関係別に相応しい例文を7つお伝えします。ぜひ参考にしながら、故人を偲ぶ気持ちが伝わる弔辞を組み立ててください。

 

弔辞の基本をおさらい。
文章の作り方と構成別7つの例文

 

友人代表(男性編)の弔辞

友人への弔辞では、親しい間柄だけに故人を偲ぶ想いは特別です。心からの気持ちを故人に伝えられるよう、多少砕いた口調で語る人々も多いです。

① 弔辞のはじめの言葉

「○○君、君とはついこの間楽しく会話したばかりなのに、今私はあなたにお別れを告げようとしています。」

② 故人への呼びかけの言葉

「○○君、この絶望感、哀しみが君に伝わるだろうか。」

③ 故人との関係やエピソード

「思い返せば、君との出会いは中学校の頃でしたね。

偶然同じクラスになった君と私は意気投合、親友になるまでに時間はかかりませんでした。

いつもひょうきんで、場を和ませる雰囲気は、誰にもマネ出来ない、そして誰からも愛されるキャラクターでしたね。

それから大学を卒業し、お互い就職してからも、君との関係は続きました

仕事の愚痴や恋愛の話、君がくれる的確なアドバイスにどれだけ励まされてきた事か分かりません。」

④ 故人の実績や、遺族への言葉

「○○君は、13歳の頃からずっと変わらず誠実で心優しい友人でいてくれました。

そしていつしか、大人としての魅力も身につけ、男としても尊敬できる人になっていました。

○○君は、私にとって唯一無二の存在です。

ご遺族、ご親族の方々のご悲嘆はまさに断腸の思いさながらでございましょう。

ここに深く哀悼の意を表すものであります。」

⑤ 弔辞の締めの言葉

「○○君、君から貰った沢山の優しさを胸に、君に恥ずかしくない生き方をしていきます。

どうぞ安らかに眠ってください。

また天国で君とお会いできる日まで、しばしのお別れです。

○○君、本当に、本当にありがとう。」

 

友人への弔辞(女性編)を読んでみよう

女性の場合には、弔辞で想いをぶつけることは難しい人が多いです。けれどもあなたが心に残している、故人の良き人柄が偲ばれるようなエピソードを添えて、故人への言葉とする友人は多いです。

① 弔辞のはじめの言葉

「故○○さんの御霊前に、謹んでお別れの言葉を申し上げます。」

② 故人への呼びかけの言葉

「○○さん、あまりに突然の事で信じる事が出来ません

手を伸ばせば、そこにいるのが当たり前だったあなたに、触れる事が出来ないなんて、これ以上に悲しい事はありません。

③ 故人との関係やエピソード

「○○さんと私の出会いは、高校2年生の時でしたね。

転校してきた私に優しく話しかけてくれ、すぐに仲良くなった事を覚えています。

お互いの痛みが手に取るように分かり、お互いの嬉しさは顔を見るだけで理解出来ました。

○○さんのヒマワリのような笑顔に、どれだけ支えられてきたか、どれだけ癒されてきたか分かりません。

こんなにも心の通じる親友は、○○さん以外にもう出来ないでしょう。

私にとって、○○さんは神様がくれた素敵な贈り物でした。」

④ 故人の実績や、遺族への言葉

「○○さんの温かい人柄、女性らしい優しさは、人の心を癒してくれました。

あなたの強さ、優しさ、穏やかさ、人を思いやる気持ちを忘れずに生きていきます。

たくさんの思い出を、たくさんの幸せをありがとう。

突然のことであり、ご遺族の方々のお悲しみは、いかばかりかとお察し申し上げます。

心より哀悼の意を捧げます。」

⑤ 弔辞の締めの言葉

「○○さん、どうか安らかにお休み下さい。

尽きぬ思いで別れを申し上げます。

○○さん、本当にありがとう。」

 

会社の同僚(独身者)への弔辞例文

会社の同僚への弔辞では、社内での和んだエピソードを話しています。ちょっとした社内でのひとコマを思い出し、偲ぶ同僚の方々が多いです。

① 弔辞のはじめの言葉

「ここに謹んで○○さんの御霊前にお別れの言葉を捧げます。」

② 故人への呼びかけの言葉

「あまりにも突然の悲報に、こうしてお別れの挨拶を申し上げながらも、まだ気持ちの整理がつかずにいます。

○○さんと、お会いする事がもう出来ないなんて未だに信じられません。」

③ 故人との関係やエピソード

「○○さんと私は、同期で○○会社に入社し、切磋琢磨してきた仲です。

○○さんのお優しい笑顔、みんなを包み込むような大らかな器は、同期全員のオアシスでした。

仕事が大変な時でさえ、「あー、参った、参った」と笑いながら話していましたね。

愚痴すら言わず、自分で解決しようと努力する姿が、今でも目に焼き付いています。

そんな○○さんのお人柄は、同期だけに限らず、上司や後輩からも慕われていました。」

④ 故人の実績や、遺族への言葉

「○○さんの仕事に対する情熱と姿勢は、永久に私たちの中で生き続けていきます。

そして窮地に立った時、○○さんの姿を思い出し、奮起する力となるでしょう。

ご遺族、ご親族の方々のお悲しみは、いかばかりかとお察し申し上げます。

今はお慰めの言葉もありません。」

⑤ 弔辞の締めの言葉

「○○さんが安らかに眠られる事を衷心よりお祈りいたしまして私のお別れの言葉といたします。」

 

会社の同僚(既婚者)への弔辞例文

既婚者の会社の同僚への弔辞では、故人の人柄や社内でのエピソードの他、ご遺族への心遣いを添えて、弔辞の言葉とする人々が多いです。

① 弔辞のはじめの言葉

「○○会社の○○と申します。

社員を代表し、謹んで追悼の言葉を捧げます。」

② 故人への呼びかけの言葉

「○○さん、思いもよらぬ悲しい知らせを受けた瞬間、私は言葉に出来ない絶望感に襲われました。

なぜ○○さんを不帰の人にしてしまったのでしょうか。

私たちの心は、悲しい思いで今にも張り裂けそうです。」

③ 故人との関係やエピソード

「○○さんと私は、○○会社の同期で入社しました。

同じ営業職と言う事もあり、多くの事を語り、学んで来た仲です。

仕事に関しては妥協を許さない、そして取引先の問題にも真摯に取り組む、真面目で人情味のある人でしたね。

酒席でご一緒した際は、屈託なく笑い、はしゃぐあなたの姿に驚いたものです。

○○さんの大人の顔、そして子供っぽさを忘れない魅力的な心が大好きでした。」

④ 故人の実績や、遺族への言葉

「○○さん、あなたの仕事にかける情熱、細やかな気配りは、私たちが引き継いでいきます。

力が及ばない事は承知しておりますが、どうか見守って下さい。

ご家族の皆様のお悲しみはさぞやとお察し申し上げ、胸の痛む思いがいたします。

○○さん、あなたのご恩に報いる為にも、ご家族の支えとなって参りたいと存じます。」

⑤ 弔辞の締めの言葉

「想いはつきませんが、もうお別れの言葉を告げなければなりません。

○○さんへの心からの感謝を申し上げ、謹んでご冥福をお祈りいたします。」

 

恩師への弔辞例文

恩師への弔辞を述べる場合、その多くが故人との深い師弟関係にあるようです。故人である恩師から教えられたエピソードを添えると、故人のお人柄が伝わります。

① 弔辞のはじめの言葉

「○○先生の御霊前に、謹んで最後のお別れを申し上げます。」

② 故人への呼びかけの言葉

「○○先生、高校時代の○年間、そして卒業してからの○年間、本当にお世話になりました。

○○先生から教えて頂いた「人を信じる強さ」は、今でも、そしてこれからも僕の人生の教訓となっています。」

③ 故人との関係やエピソード

「○○先生は、とても厳しく怖い雰囲気を持った先生でした。

その先生を恩師と慕うようになったのは、ある事件がきっかけです。

当時の私は、やんちゃばかりしており、周りからすると不良に見られていたと思います。

ある日、校舎の壁に落書きがされていて、その犯人に僕がされました

○○先生は、僕の目を見て「お前がやったのか?」と聞きました。

僕が「やっていない」と答えると、先生は「分かった、お前を信じる」と言い、他の先生が何を言っても、僕をかばってくれましたね。

実際、落書きをしていたのが別な人だと分かった時、先生は「お前は、そういう事をする人間じゃないもんな」と優しくおしゃってくれましたね。

それから、僕にとって○○先生は人生の師匠、第二の父となりました。」

④ 故人の実績や、遺族への言葉

先生が居たからこそ、今の僕に成長出来たと思っています。

今、多くの生徒が先生の教えを通して、立派に成長しています。

○○先生には本当に感謝のしようが御座いません。

本当にありがとうございました

これから、僕たち教え子一同、一生をかけて先生に恥じぬ生き方をしていきます。」

⑤ 弔辞の締めの言葉

「どうか安らかにお眠り下さい。

○○先生、今まで本当にありがとうございました。」

 

自社の社葬での弔辞を読む場合

社葬の場合には、葬儀の規模も大きくなるため、言葉遣いや内容に細心の注意が必要になります。慣れない文語体が基本でもあるので、社内で相談をしながら文章を作ると安心です。

① 弔辞のはじめの言葉

「本日、ここに株式会社○○、故○○社長の社葬にあたり社員一同を代表いたしまして謹んでお別れの言葉を申し上げます。」

② 故人への呼びかけの言葉

「○○社長の突然の訃報に接し、私たち社員一同は、ただ驚愕落胆し、悲しみに打ち震えております。

今われわれは偉大なる指導者を失い、再び親しく教えを乞うすべもありません。」

③ 故人との関係やエピソード

「○○社長は、誰に対しても誠心誠意、公平無私でありました。

誰しもがその風格に親しみを感じ、深い尊敬の念を抱かずにはいられませんでした。

○○社長の独創力、先見の明は、そのまま株式会社○○の発展の歴史を物語っていると言う事が出来ます。」

④ 故人の実績や、遺族への言葉

「終生○○社長が掲げられた信念と指針を必ずや受け継ぎ、社員一同更なる発展へ邁進する覚悟でございます。」

⑤ 弔辞の締めの言葉

「○○社長、私たちがこの悲しみから抜け出すには、なお多くの時間を必要とするでしょう。

しかし、私たち社員一同、社長の築いてこられた経営基盤を軸に、そのご遺志を継承し、さらなる発展をめざして前進していく事をここに誓います

○○社長、ありがとうございました。」

 

他社の社葬での弔辞例文

他社での社葬においても、規模が大きな葬儀になります。こちらも文語体が基本ですので、言葉遣いにタブーや失礼がないよう、自社の上司などと相談して進めると安心です。

① 弔辞のはじめの言葉

「○○株式会社○○社長のご霊前に、業界を代表し、謹んでお別れの言葉を申し上げます。」

② 故人への呼びかけの言葉

「○○社長、かねてより体調が優れないとのお噂は伺っておりましたが、これほど早くお別れの時期が来るとは、誠に思いがけなく痛恨の極みであります。」

③ 故人との関係やエピソード

「○○社長は、○○業界の古い体質の改善に力を注ぎ、事業全体の発展に力を尽くされてきました。

その真摯なお人柄と、開拓者精神に溢れた積極性は、我々の指針でもあり、どれだけ多くの物を譲り受けたか計り知れません。

私も仕事を通じて、○○社長の大胆な決断に感銘を受けてまいりました。」

④ 故人の実績や、遺族への言葉

「身を粉にして働き、経営者としての責務を果たされ、頂点を極めんとする今、病魔に倒れられたことは、本当に残念でなりません

しかし、副社長様をはじめ社員の皆様が、○○社長の経営精神を引き継いでいかれると期待し、また私どももできる限りのご協力をお約束する次第でございます。」

⑤ 弔辞の締めの言葉

「○○社長、長い間、本当にお疲れ様でした

ここに深く哀悼の意を表し、あわせてご生前の業績に心より敬意を表しまして、弔辞といたします。」

 

弔辞の基本構成に従ってご提案した、7つの立場によって違う、弔辞文例はいかがでしたでしょうか。参考になりましたでしょうか。

この7つの例文は、大体400~600文字程度、時間にして2~3分程度の弔辞です。本来は800~1000文字、3~5分程度の奉読が宜しいとされている弔辞ですから、この中にあなたの言葉を加えて、より印象的な弔辞に仕上げて下さい。

難しく考える必要はありません。まずは、「③故人との関係とエピソード」にポイントを絞り、故人から受けた、又は貰った「一番心に残っている事」を思い出してみると、弔辞に込めたあなたの思いが伝えやすくなるはずです。

弔辞の準備段階では、あなたが抱いている故人への想いや印象を単語1つずつ、紙に書き出してください。そうする事で、弔辞で述べたいあなたの気持ち、あなた自身の頭の中が整理されます。弔辞で故人に対して何を話すべきか…。あなたが何を最後に話したいのかが、見えてきます。

弔辞であなたが話した故人の思い出やエピソードが、多くの参列者の心に残る、温かいものであること。心温まる弔辞にしてください。

 

まとめ

弔辞の基本的な構成に則って、偲ぶ思いを伝える例文集

・幼馴染など、格別な想いが残る友人の弔辞は、口語でも大丈夫
・女性が伝える友人への弔辞では、故人の良き人柄を中心に
・会社の同僚(独身者)への弔辞では、社内でのひとコマを追想
・会社の同僚(既婚者)への弔辞は、ご家族への心遣いをひと言
・恩師への弔辞例文では、故人から教えられたエピソードを
・自社の社葬での弔辞は、文語体で。失礼のないよう細心の注意を
・他社の社葬も葬儀の規模が大きくなるため、上司と相談も可


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