香典を連名で渡す時。気をつけたい7つのマナー


香典を連名で渡すケースは、故人が勤務先の関係者やサークル等の友人の場合など、通夜や葬儀の席では多々あります。また故人と家族ぐるみでつきあいがある場合、連名にすべきかそうではないのか、というのも考えどころでよすね。

香典を連名にする時にも、やはりそこには気をつけたいマナーが存在します。礼儀を守ることももちろん必要ですし、香典を渡された遺族がすぐに「誰から贈られたものなのか」わかるような工夫も必要なのです。

とは言え、このような機会は誰にとっても、それほど多くないはずです。「そう言えば、どうなのかな?」と準備段階になって、迷うこともありますよね。

そこで今回は、香典を連名で渡す時、ぜひとも意識して準備したい、基本のマナーを7つお伝えします。覚えておくと、様々なケースで役に立つ知識ばかりです。

香典の「相場」をひとりひとり守る

いきなり「相場」のお話になりますが、「5人だから1万円でいいかな?」というような考え方はNGです。何故なら、香典を渡したら「香典返し」が喪主側から送られてくるのが原則的な考え方となるからです。

【 香典の連名マナー、金額相場 】

■ したがって香典を連名にする時でも、個人で香典を包む時と同額をひとりひとりが準備するのがマナー。

・ ただし、集まった金額のキリが良くなければ、調整をしてキリの良い金額にしてもOKです。なお包む金額は「4」や「9」を避けるように注意してください。

なお関係性で判断する、ひとりひとりの香典の金額の相場は以下のようになります。

【 香典の金額相場 】

○ 上司・同僚本人→5,000~10,000円

○ 上司・同僚の家族→3,000~5,000円

○ 友人・知人本人→5,000~10,000円

○ 友人・知人の家族→3,000~10,000円(おつきあいの深さや、面識の有無によって変わります)

○ 恩師・先生→3,000~10,000円(学生時代にお世話になった度合や、卒業後のおつきあいの深さによって変わります)

香典に用いるお札にも気を配る

それでは、香典を連名で渡すことが決まり、仮に3万円が揃ったとして、その内容が5千円札4枚・1000円10枚だったらどうでしょうか。

遺族は葬儀当日、多くの方から香典を渡されることになります。後々香典の総額の計算をしたり、香典を渡した人と渡された金額の突合せをする時など、このように、お金が細かい状態では、作業を煩雑にしてしまいます。

【 香典の連名マナー、お札の種類 】

■ そこでキリの良い金額が揃ったら、必ず両替をするなどし、スマートな状態にお札を揃えて香典を包むようにします。

・ なお、その場合のお札は新札では「まるで亡くなるのを待っていたようだ」という考え方に繋がるため、避けなくてはなりません。

あまりに使い込んだお札も良くありませんが、なるべく新札ではないお札を揃え、もしも新札しか用意できなければ一度半分に折って「折り目」をつけてから包みます。

不祝儀袋への名前の記入は「3人まで」

さて、仮に7人を連名とした場合、不祝儀袋の狭いスペースに書き込むと、大変読みづらくなってしまうことは、どなたにも予想がつくこと。

葬儀の受付の手伝いで、不祝儀袋に十人と言う、多い人数での連名が書かれたものがあったら、どう感じるでしょうか。書き込んだ方が相当苦労をされたように見て取れましたが、文字がかなりつぶれた状態になっていたりもしがちです。

そうなっては、遺族に香典が無事渡っても「これは誰からのものなのだろう?」ということになってしまいますよね。

【 香典の連名マナー、表書きの人数 】

■ そのような事態を防ぐため、不祝儀袋に名前を記入する時は「3人まで」というのがマナーです。

・ 名前の順番も決まっており、最も右に上司や年上の方、つまり「格上」が来るようにします。

もしも同い年の友人同士など、特に格の差がなければ「五十音順」に名前を並べて書いてください。

実際に名前を書くときには、2人の場合は中心にやや詰め気味に並べて書くようにし、3人の場合ははじめに中心に来る方の名前を書き、その後両側にそれぞれ名前を書くようにすれば、バランス良くおさまります。

【 香典の連名マナー、中袋に詳細を 】

■ なお、不祝儀袋の中に入れる「お金を入れた封筒」の中には、それぞれのフルネームと連絡先、そしてひとりあたりが出した金額を記した紙を同封しておけば、遺族側にわかりやすく伝わります。

「○○一同」を使った際のマナー

【 香典の連名マナー、「○○一同」 】

■ もしも3人以上で香典を贈る時は連名にするのではなく「総務部一同」「○○テニスサークル一同」などの団体名に「一同」をつけて、不祝儀袋に記します。

・ 代表者の名前の横に「外○名」と記す方法もありますが、故人にとってどのような立場の人たちなのか遺族に伝わりにくいので、できればこの表現は避けたほうが無難です。

お金を入れた封筒の中には、前の項でお話したものと同様に、全員のフルネームと連絡先、そしてひとりあたりの金額を記した紙を用意し、必ず同封するようにします。その紙も白い無地の便箋を使用するなど、気を配ってください。

【 香典の連名、香典返しの辞退 】

■ なお、人数が多いとその分の香典返しを遺族が用意し、ひとりひとりに送ることになります。

・ 労力のかかることなので、もしも辞退したいと思ったら、「香典返し等のお気遣いは無用に願います」と紙にひとこと記しておけばOKです。

グループのひとりが代表して参列

勤務先などで香典を連名とする場合、そのうちのひとりが、代表して遺族側に渡すことになるケースがほとんどです。その場合は遺族側への気配りとして、香典を渡すときに一緒に名刺を添えておくと、スマートでわかりやすくなります。

【 香典の連名マナー、代表で参列 】

■ その際、名刺が縦書きの場合は右上、横書きの場合は下端に「弔」の一文字と「○○の代表として会葬いたしました」とあらかじめ記入しておけば、弔意が伝わります。

家族で香典を贈る時

もしも家族ぐるみでおつきあいのある方が亡くなったら「家族で香典を連名にした方がいいのだろうか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

【 香典の連名マナー、家族 】

■ 連名で用意する方も見受けますが、原則的に家族の場合は、世帯主ひとりの名前で香典を贈るのがマナーです。したがって「○○家一同」という書き方もありません。

・ 特に子どもは収入がないとみなされるため、香典を包む必要がないのです。

しかし、例外として故人が子どもの同級生かその家族の場合は、親だけの名前では伝わりにくいので、例えば「3年1組 ○子」と書き添えても失礼にはあたりません。また、もしも子どもが成人していて、香典で弔意を表したいのならば、親とは別に香典を用意すればOKです。

「故人とのつきあい」によっては夫婦連名で

前の項で「家族で香典を贈る場合は『世帯主』の名前で」と記しましたが、夫婦2人の場合でも夫の名前で香典を包むのが一般的であり、妻の名前は不要とされます。しかし、以下のような場合は夫婦連名でもOKです。

【 香典の連名マナー、夫婦連名の事例 】

・ 夫婦二人とも故人とおつきあいがあり、その通夜・葬儀・法要に夫婦揃って参列する時。

・ 妻の親族の通夜・葬儀・法要に夫婦揃って参列する時。

つまり、故人とのつきあいや関係性によっては、連名にしても構わないということです。

さて、香典を連名で出す時のマナーをお伝えしました。もしかしたらこれをお読みになり「ああ、間違えてしまったな」という経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

本文でも述べましたが、遺族側は香典を渡されたら、香典返しを人数分用意して、送ることになります。他にも様々な作業や処理しなければならない事柄がある中、ひとりひとりの名前と連絡先を正確に把握し、手配をするのもかなり大変なもの…。

その作業を少しでも楽にするには、香典を渡す側の気配りが不可欠です。香典を連名で渡すとしたら、特に気をつけなければなりません。逆の立場を考えてみれば、そのように参列者である皆さんが協力をしてくれれば、その気配りがとても嬉しく感じられるのではないでしょうか。

本当は香典など出す機会がなければいいのですが、この事態だけは残念ながら避けることができません。そんな時でも、小さな思いやりを忘れないマナーは、心掛けて参列しましょう。

まとめ

香典を連名で出すマナー

・「ひとりひとりの相場」を必ず守る
・お札は新札は避け、一度追ってから包む
・連名は3名までにする
・「○○一同」を使った場合、詳細を中袋に入れる
・代表で香典を渡すとき、会社名刺には「弔」を記す
・世帯主の名前があれば、家族の名前は不要
・夫婦連名は故人とのつきあいや関係を考える


連記事