弔事のマナーは冠婚葬祭のフォーマルな場のなかでも、最も押さえなければならないものであり、また細かいものが多々あります。突然の訃報の連絡を受けた時、そんな弔事マナーを押さえた行動が出来るでしょうか?
「弔事マナー」とひと口に言っても、一般的な仏式の弔事からキリスト教、同じ仏教でも宗派による違いなど、その作法は様ざまです。その場で理解して使い分ける事は、多くの人が難しいと考えています。
また最近では、通夜がゆっくり執り行われることもあり、従来と違い「平服」では失礼になることも…。近年多い家族葬など、葬儀が多様化した現代だからこその新しい弔事マナーにも、気を付けなければなりません。
そこで今回は、はじめに電話で訃報を受けた時に、確認しておきたい事柄を、解説します。
弔事マナーの基礎知識。
はじめに確認する7つの事柄
葬儀の宗派を確認しておく
弔事の連絡を受けたら、まずはお悔やみの言葉をかけることを忘れないようにします。その上で、仏式であればいいのですが、神式やキリスト教式など参列したことがない宗派の場合には、あらかじめ調べて宗派に合わせた準備をする必要があります。
【 弔事マナーの基礎:葬儀の宗派 】
■ ご遺族から弔事の連絡があった場合には、その場でいろいろ詳しく尋ねません。
・ 伝えられた会場に直接電話をし、宗派を確認するのがマナーです。
他の方に伝える際には、出来る限り自分が持っている情報を伝えるようにして下さい。
宗派に合わせた不祝儀袋
訃報の電話の後、葬儀の宗派を確認するのは、不祝儀袋の準備に違いがあるのもひとつの理由です。「何でも良い」と勘違いしている人々も多いのですが、宗派に合わせた不祝儀袋を選ぶことは、本来の弔事マナーの基本です。
【 弔事マナーの基礎:不祝儀袋 】
■ 宗派によって、弔事の時に使う不祝儀袋は違ってきます。
・ 仏式では「御霊前」と書いたものを使います。
・ 神式では「御玉串料」と書いてあるものを。
・ キリスト教式では、「御花料」。
葬儀の連絡をもらった時に宗派を確認出来るのが一番ですが、分からない場合には、他の参列する人に相談したり、葬儀を執り行う会場に確認しておきます。
■ またキリスト教式では、水引のある不祝儀袋は使わないので注意が必要です。
出来る限り故人の宗派に合わせるように配慮します。
葬儀の形を確認しておく
最近ではさまざまな葬儀の形があり、通夜や葬儀の形も一概には言えないものになっています。
【 弔事マナーの基礎:参列の辞退の申し出には 】
■ 亡くなった連絡をもらった時に、通夜や葬儀への参列を辞退すると伝えられたら、それを受け入れるようにして下さい。
・ 家族だけでゆっくりした時間を過ごしたい、家族だけで葬儀をしたいなど、故人や遺族の思いでとり行われる弔事も多くあります。
気持ちを尊重し、大切な時間を壊してしまわない配慮も必要です。不明な場合は、会場に直接確認したり、共通の知人に相談してから参列を決めるようにします。
ドレスコードはより丁寧に
ドレスコードは、基本的にはより丁寧な服装をするのがマナーです。仕事先から直接行ったり、取るものも取らず駆けつける場合であっても、出来る限りの配慮は必要です。
【 弔事マナーの基礎:服装 】
■ 女性の場合は最低限、メイクをナチュラルに直し、キラキラとしたアクセサリーは外すようにします。
・ 故人や遺族の思いがあるので、葬儀のお知らせの際に特別に示されたドレスコードがあったら、それを尊重するようにして下さい。
判断が難しい場合もありますが、それも弔事によってケースバイケースなので、悩んだ時にはより丁寧な服装をするように心がけると安心です。
作法は宗派に合わせよう
弔事での作法は、出来るだけ故人の宗派に合わせるのがマナーです。かといって、参列したことのない宗派であった場合などは、自分の宗派の作法でもマナー違反にはなりません。
【 弔事マナーの基礎:宗派によって違う作法 】
■ 出来る限り、弔事では故人の宗派に合わせるためにも、事前に分かれば宗派を確認しておくのが確実です。
・ こちらも会場にあらかじめ確認して、焼香の方法などもチェックできると安心です。
自分の宗派の作法で問題ないとはいっても、出来る限り故人の宗派に合わせてあげる心配りをすることは、大切な弔事マナーのひとつです。
交通手段もきちんと調べる
弔事の連絡があった時には、可能であれば交通手段も確認しておくようにして下さい。都心部であれば、各自公共交通機関で行くことが出来ますが、車でしか行けない場所や、送迎バスが出るようなケースもあります。
【 弔事マナーの基礎:時間を守る 】
■ どの交通手段をつかっても、きちんと葬儀までに会場に着ければいいのですが、間に合わないようなことがあっては大変です。忘れず確認して時間を守ります。
また自宅で葬儀が行われるようなケースでは、出来る限り公共交通機関を利用して伺うように心がけて下さい。
供物や香典の辞退の有無
近年多い、供物や香典の辞退に戸惑う人々も多いです。「辞退」と伝えられた場合には、故人や遺族の気持ちをしっかり尊重し、自己満足で供物や香典を送ったりしないような配慮が必要です。
【 弔事の基礎マナー:供物や香典の辞退の有無 】
■ 弔事の際、供物や香典などを辞退していないかどうかも可能であれば確認しておきます。
・ 遺族からの直接の連絡では確認しにくいですが、辞退する意思がある場合には先方から必ず伝えられるはずです。
またファックスなどで詳細を送ってもらった場合には、辞退の記載がないかは、きちんと確認しなければなりません。故人や遺族の思いを大切にすることを第一とします。
いかがでしたでしょうか。弔事の際に最初に確認するべきことは、遺族への配慮のために必要なことです。いろいろ確認することは、自分が葬儀で恥ずかしい思いをしないためではなく、遺族や故人のことを思い、気持ちを尊重するためにやるべきことと考えます。
弔事の際に遺族や故人を思いやることが、故人を偲ぶ気持ちとして伝わります。遺族や故人のためにも、出来る限りのことをしてあげるというのが、弔事の基礎知識である、マナーの大前提です。
弔事マナーに自信がない場合には、宗派によって違う作法を事前に確認しておくだけでも、当日のお悔やみの言葉や焼香の作法など、慌てる場面が少なくなります。それだけでも心に余裕が生まれ、遺族に寄り添う行動が出来るはずです。
出来る限り遺族の手をわずらわせることなく、必要な情報だけはしっかり確認することが大切です。はじめに確認するべき事項ををしっかりおさえて、故人を偲ぶ準備をして下さい。
まとめ
訃報の連絡を受けたら確認したい7つの事柄とは
・宗派による葬儀の違い
・不祝儀袋も宗派に合わせて
・故人の遺志を汲む葬儀に
・ドレスコードも忘れず確認
・自分の作法を通しすぎずに
・アクセスを確認して遅れずに
・辞退と言われたら受け入れて