葬式の服装は社会人になったら、リクルートスーツとは別に準備をする場合が多いです。「え?黒いリクルートスーツを準備しておけば、着回せるのでは?」そんな質問も、良く聞きます。これは新人社会人の方々に限らず、案外多くの世代から受ける質問です。
確かに多い間違えなのですが、正式にはリクルートスーツで用いられる、無地のブラックスーツと、お葬式の服装とは少し異なります。お葬式の服装は、弔事用のスーツと言うことで、テカリや光沢を押さえた漆黒の黒なのです。
リクルートスーツはと言えば、お葬式の服装とは違い、清潔感などを出すために多少軽やかに、そして光沢感を出している黒が多く見られます。
ここでは、社会人になってお葬式の服装を準備する人へ向け、知らずに参列すると恥ずかしい、基本的な服装マナーをお伝えします。
葬式の服装は大丈夫?
注意して準備したい7つの礼儀
参列者の葬式の服装:男性
参列者は葬式の服装を選ぶ時、ただ格式の高い喪服を選べば良い、と言う訳ではありません。お葬式の服装として、一定の格式あるスーツを選ぶと同時に、喪主やご遺族よりも格下のものを選ばなければなりません。
【 参列者の葬式の服装:男性 】
■ 参列者は基本的に「準喪服」です。
・ 準喪服では、弔事用のブラックフォーマルスーツが基本です。光沢のないブラックを選びます。
参列者の男性の、お葬式の服装に合わせるYシャツは白、ネクタイはもちろん黒です。ここで時々見受けられるのが、「光沢のある黒」のネクタイ。やはりネクタイも出来る限り光沢のない黒を着用します。
参列者の葬式の服装:女性
参列者の女性も男性のお葬式の服装と同じく、喪主やご遺族よりも格上のものを選ぶことはできません。特に洋装の場合、お葬式の服装ではスカート丈が長いほど格が上がると言われています。そのため「くるぶし丈」のブラックスーツは要注意です。
【 参列者の葬式の服装:女性 】
■ 女性も「準喪服」のブラックフォーマルを選びます。
・女性のお葬式の服装である、「ブラックフォーマル」も、光沢のない漆黒のワンピースや、アンサンブルなどのスーツがほとんどです。
喪主の葬式の服装:男性
喪主の葬式の服装は、「正喪服(正式礼装)」と呼ばれる、最も格が高い服装が基本ですが、最近では喪主でも準喪服(略礼装)を選ぶケースも多くなりました。それは家族葬をはじめとして、比較的小規模のお葬式スタイルが増え始めたためです。
【 喪主の葬式の服装:男性 】
■ 昔ながらの喪主の葬式の服装は、「正喪服(正式礼装)」です。
・ 和装と洋装がありますが、最近では正喪服(正式礼装)を選んだとしても、洋装がほとんどです。正喪服は昼間や夜と時間帯で変わる、と言うのが正式ですが、昼間の葬儀が多い現代では、ほとんどがモーニングコートを選びます。
喪主の葬式の服装:女性
喪主の女性は現代でも正喪服(正式礼装)で出席する場合が多いです。通夜の席では洋装を、翌日のお葬式の服装では和装を選ぶ、と言うパターンが増えています。
【 喪主の葬式の服装:女性 】
■ 喪主の和装のお葬式の服装(正式礼装)は、五つ紋付の黒無地着物です。
■ 喪主の洋装のお葬式の服装
・ 黒い長袖のフォーマルワンピースか、アンサンブルをおすすめします。
女性の洋装の場合には、ブラックフォーマルであれば問題はありませんが、ワンピースが最も格式が高いスタイルですので、喪主やご遺族であればワンピースが適切です。
「平服」での参列
時々、訃報の案内のハガキに「平服でお越しください」との一文を見かけます。この時のお葬式の服装に戸惑う人も多いです。確かに「平服」は正式喪服である必要はないのですが、だからと言ってカジュアルな服装でも大丈夫、と言う訳ではありません。
【 葬式の服装:平服 】
■ 男性ならダークスーツを着用します。黒がベストですが、濃紺、グレーの場合もあります。
■ 女性も黒や濃紺、グレーの地味なワンピースなどが多いです。
通夜の服装、今と昔
お通夜の席に平服で出席する、と言うのは突然の訃報に「準備もできずに駆けつける」意味合いがあります。けれども最近では、お通夜でも葬式の服装と同様、準喪服で参列するケースが増えています。
【 通夜の服装、現代 】
■ 家族のみの家族葬が増え、一般はお通夜のみの参列も増えたため、現代ではお通夜でも準喪服が一般的です。
このような事情から、前述した「平服」は現代では三回忌以降の法事の服装として、着用することが増えています。
これから準備をする葬式の服装
社会人になって「突然の訃報のために、喪服を準備しておこう。」と考えているならば、やはり最も着る可能性のある「準喪服」を選ぶことをおすすめします。他の項でもお伝えしましたが、現在では喪主の場合でもお葬式の服装に、準喪服を選ぶご遺族も増えています。
【 これから準備をする葬式の服装 】
■ 訃報はいつ訪れるか分かりません。1着目のブラックフォーマルは、オールシーズンを選んでください。
葬儀に参列する機会が増えたと感じたら、通気性が良い春夏用を買い足すことをおすすめします。葬儀では露出を避けるため、夏場でも肘丈以上の長さのものを着用するためです。
いかがでしたでしょうか。昔ながらのお葬式の服装マナーを熟知している人でも、最近のちょっとした変化に驚かれることもあったのではないでしょうか。今でも当日のお通夜、翌日の葬儀の場合には、両日出席するならお通夜は平服で駆けつけるケースは多々あります。
それぞれの地域性や状況に応じて、臨機応変にお葬式の服装を選んでください。ただし、お通夜に平服で駆けつける場合でも、黒いネクタイと黒い靴下は忘れずに着用してください。今ではコンビニでも販売されています。
もしも今からお葬式の服装を準備するならば、女性であれば靴とバッグ、サブバッグの3点セットも一緒に購入したいものです。靴はお葬式の服装では光沢のない布がベストですが、光沢がなければ布ではなくても、大丈夫です。
ごく基本的なお葬式の服装の解説でしたが、本記事を参考に最低限の恥ずかしくない服装マナーで参列してください。
まとめ
これから準備をする人が心得る、弔事用の服装7つの基本
・参列者の基本、男性の準喪服では光沢のないブラックスーツを選ぶ
・最も着る女性の準喪服は、黒基調のワンピースやアンサンブル
・喪主男性の洋装はモーニングコートが基本。現代は準喪服の場合も
・喪主の女性は通夜では洋装、告別式や葬儀では和装を選ぶ人が多い
・平服の場合には、濃紺やグレーなどのダークスーツでも大丈夫
・通夜は平服が基本でしたが、今では状況に合わせて準喪服も
・弔事用の服装、最初の1着ならばオールシーズンを選ぶ