焼香の仕方は同じ仏教でも宗派によって異なるため、難しそうとか覚えにくそうと思っている人は多いですよね。確かに、焼香の仕方は宗派によってやり方や回数が異り、細かい部分にも注目すると、すべての宗派の焼香の作法を理解しておくのは難しいこと。
また、焼香をする通夜に行く頻度は人によって違いますし、1年以上行く機会がないということもありますから、一般の人が焼香の仕方を必ず覚えておかなくてはいけないという事はありません。
しかし、突然通夜に呼ばれたら、服装の準備などでバタバタして、焼香の仕方を復習しておく余裕はないことも…。
そこで、押さえておくべきなのが基本の作法。細かい動作は宗派によって異なりますが、大まかな流れはだいたいどの宗派でも同じですから、マナー違反にはなりにくいのです。突然の時でも慌てず対処したいですよね。
そこで今回は、突然の通夜でも慌てないために、心得ておくべき焼香の仕方の基本作法をお伝えします。
焼香の仕方、基本の作法。
突然の通夜でも慌てない心得
焼香の仕方
焼香の仕方は、大きく分類して3種類あります。それは立って行う立礼焼香、座って行う座礼焼香、香炉を回して行う回し焼香です。
【 焼香の仕方:種類 】
・ 立礼焼香は会場が広く参列者が多い時に行われる一般的な方式。
・ 座礼焼香は自宅の和室で通夜を行う時。
・ 回し焼香は会場が狭く参列者が出入りしにくい時に取られる方式です。
いずれの場合も焼香の際の動作に大きな違いはありませんから、基本となる立礼焼香の仕方を頭に入れておけば対応可能です。
焼香台に向かう
立礼焼香と座礼焼香では、順番に焼香を行います。
【 焼香の仕方:順番 】
■ 立礼焼香では参列者の列に並び、自分の順番が来たら焼香台の前に立ち、焼香する動作に入ります。
・ 座礼焼香では自分の前、すなわち座っている隣の人が焼香を済ませたら自分の順番になります。
前の人の順番をよく見ておいて、自分が直前になったらどこでスタンバイしておくべきなのか、その会場の焼香の仕方に従っておこなうと間違いがありませんし、スムーズに焼香を行うことができます。
焼香前の礼
自分の順番が訪れたら、焼香台の前に進む前にまず遺族、僧侶の順番に礼をします。
【 焼香の仕方:礼 】
■ 遺族は祭壇の両脇に座っていますが、向かって右側に喪主をはじめとする、故人と血縁関係が濃い親族が座っているため、遺族に礼をする時は、右、左の順番に行います。
・ 遺族と僧侶に礼を済ませたら、焼香台のところまで一歩前に出ます。ここで初めて遺影に向かって一礼を行います。
この礼をする順番は、焼香の仕方の中では焦って間違えやすいポイントになりますから、落ち着いて急がずに行う事を意識してください。
抹香と香炉の位置
通夜の焼香台は、大きな会場ですと2つ用意されていて、一度に二人が焼香できるようになっている場合もありますが、一人ずつの場合だと隣の人の焼香の仕方を見ながら真似をするということができません。
ここで困りやすいのが、抹香と香炉が左右どちらになるのかわかりにくいという事。
【 焼香の仕方:位置 】
■ 基本的に焼香台では、右側に抹香があり、左側に香炉があります。
・ 抹香を手でつかんで香炉にくべるので、間違って香炉側の灰を掴まないように気を付けなくてはいけません。
焼香の回数
焼香の仕方の中で肝となるのが、抹香をつまんで香炉に落とす動作。つまんで額のところまで持ってくる動作を「押しいただく」、香炉に落とす動作を「くべる」と呼びます。この回数は宗派によって異なります。
【 焼香の仕方:回数 】
■ 真言宗では3回、日蓮宗では1回、臨済宗では1回です。また、浄土真宗では押しいただく動作は行わずに1回だけくべる動作を行います。
・ しかし、日蓮宗では1回でも3回でもいいとされる場合もあるため、回数を間違えたからと言って絶対にいけないということはありません。
しかし、宗派の作法にこだわる親族の方もいますから、前の人が焼香をする時の様子を見ておいて何回行うかはチェックしておくことをおすすめします。
焼香後の礼
焼香を既定の回数済ませたら、立礼焼香の場合にはそのまま会場の出口に誘導されるますし、座礼焼香で自分の席が決まっている場合には自分の座席に戻りますが、その前に忘れてはいけないのが遺族への礼。
【 焼香の仕方:最後の礼 】
■ 焼香の仕方というと何回焼香をするのかばかりが気になって、最後の礼を忘れてしまうことが多くあります。
・ しかし、焼香を済ませたら焼香台から一歩後ろに下がって、遺族に再び一礼するところまでが焼香の基本作法です。
緊張するかもしれませんが、焼香の前後には礼をするということを忘れないようにしてください。
いかがでしたでしょうか、焼香の仕方は難しいように思うかもしれませんが、今回解説した基本の作法の6つのポイントさえおさえておけば十分対応できます。
通夜は前もって決まっているものではありません。故人が危篤になったとか、病気の様態が悪くなっていたなどの事前情報があれば心の準備もできますが、多くの場合は突然知らされるもの。
そのため、「突然だったから、準備がままならなかった!」という言い訳は通用しないのです。通夜は故人を供養し、お別れを伝えるための大切な儀式ですから、焼香の仕方も正しく行いたいところです。
そこで、宗派や様式によって異なる焼香の仕方に柔軟に対応するためにも、基本の作法は覚えておくことをおすすめします。
どのような会場でも、参列者の人数がどのくらいの規模の通夜であっても焦らずにすむよう、今回お伝えした焼香の仕方の流れは頭に入れておきましょう。
まとめ
基本の焼香の仕方とは
・焼香の仕方は立ち、座り、回しの3種類がある
・焼香台に向かうまでの動作は立ちと座りは同じ
・焼香前の例は遺族、僧侶、遺影の順に行う
・焼香台では右にある抹香を左にある香炉にくべる
・押しいただくとくべるの動作を規定回数行う
・合掌して一礼したら遺族に礼して席に戻る