お焼香の仕方や手順は、普段あまり練習する機会がありませんよね。そのため、いざお通夜に行ったときには、前の人のお焼香の手順を見様見真似で切り抜けてきたという人は多いのではないでしょうか。しかし、お焼香にはちゃんとした意味があります。
それは、仏様や故人に対して拝む前に、自分の身と心を清めるというものです。そのため、気持ちを込めてお焼香をすることで、より故人の冥福を祈ることができるのです。
前の人や隣の人のお焼香をチラチラ見ながらしていると、周囲からは「手順を知らないんだな」とわかりますし、何しろ気持ちを込めることができません。
故人と遺族に失礼にならないようお焼香をするためには、事前に手順に関する知識を学んでおく必要があります。そこで今回は、お焼香の基本マナーについて順番通りに6つのポイントを解説します。
お焼香での基本マナーとは。
事前に知りたい手順と知識
焼香台の手前での一礼
大人数で行われる一般的な葬儀では、お焼香は参列者が並んで順番に行います。受付を済ませてお香典を渡したら、お焼香の列に並びます。葬儀場など広いスペースで行う葬儀は、土足で立ったままお焼香をする立礼焼香です。
【 立礼焼香:礼 】
■ 自分の順番が来たら、焼香台の手前まで進み遺族、僧侶に一礼をします。その後に一呼吸おいてから遺影に一礼をします。
遺影に向かって合掌
お焼香というと、緊張してつい真っ先に抹香をつまんでしまう、という間違えをしてしまいがちですが、お焼香をする前に遺影に合掌して拝むことを忘れないようにしなくてはいけません。
【 お焼香:合掌の仕方 】
■ ただ合掌をするのではなく、目を閉じて故人に語り掛けるような気持ちで合掌をするのがポイントです。
人それぞれ故人に対する思いがあるでしょうから、その気持ちを心の中で言葉にすること意識します。
抹香のつまみ方
お焼香の手順を知っているのと知らないので差がつくのが、抹香のつまみ方です。後ろから見ていると、抹香をただ指でつまんでいるように見えますが、実は抹香をつまむ指はちゃんと決まっているのです。
【 お焼香:抹香のつまみ方 】
■ 親指と人差し指、中指の合計3本で抹香をつまみます。そして額の高さまであげます。
抹香をつまんであげる高さが額より低かったり、焼香台から数センチしか上げない人もいますが、これはいい加減にやっているように見られるので、額まで上げるということを忘れないことが大事です。
宗派別のお焼香の回数
お焼香の回数は、宗派によって異なりますから、自分の前の人が正しいとは限りません。
【 宗派で違う、お焼香の回数 】
■ また、宗派というのは事前に知っておくことでお焼香の回数を知らべておくことができますから、遺族から訃報の連絡を受けた際に聞いておくことが望ましいのです。
・ もし直接連絡を受けていなければ、周囲で知っている人に聞いたり、受付で聞いておくと確実です。
お焼香の回数は、真言宗は3回、日蓮宗は1回もしくは3回、臨済宗は1回です。また浄土真宗はお焼香をするときに抹香を額まであげなくてもよく、回数は1回とイレギュラーなパターンもありますから注意が必要です。
お焼香が終わった後に一礼
お焼香が終わったら「終わった」という安堵感で、さっと下がってしまいそうになります。しかし、まだお焼香の手順としては完了していません。まずは再び遺影に対して合掌します。その次に一歩下がって遺族に一礼するのです。
【 お焼香の後の、一礼 】
■ お焼香の前は、僧侶にも一礼をしましたが、お焼香の後は遺族のみでかまいません。
遺族は意外とお焼香をしている人を見ているので、目が合うようであればお悔やみの言葉を言う代わりに、目でその気持ちを伝えましょう。一礼をしたらお焼香は終わりなので下がって問題ありません。
数珠の必要性
葬儀の時に必ず持参しなくてはいけないのは、お香典です。しかし、もう一つ忘れてはいけない持ち物が数珠です。
仏事用の喪服をそろえたり、バッグや靴のマナーを守ることとお香典を用意することに気がとられるあまり、数珠は忘れてしまうことがお送りあるので注意が必要です。
【 数珠を忘れずに 】
■ 葬儀ではどの宗派でもお焼香を上げるときに数珠がなくてはいけませんから、自宅に仏具を収納する専用のスペースがない場合には、仏事用のバッグや喪服に数珠を常に入れとくことをおすすめします。
もし万が一忘れてしまったら、葬儀場近隣のお店で買うなどして対処します。
いかがでしたでしょうか。お焼香の上げ方を正しく空で言える人は意外と少ないものです。
日本人の多くは亡くなると、仏教の習わしにしたがって弔われますが、最近では生前は、とくに宗教を意識して生活することがない人が大多数を占めていますから、葬儀という特別な場にならなければお焼香の手順を振り返る機会がないのも致し方ない部分もあります。
しかし、葬儀という儀式にはとても大事な意味があります。故人が亡くなった後に送り出す側がしっかりと供養をすることで、故人が死後に少しでも天国に近い世界に進めるのです。
そのため、中途半端な気持ちや機械的な気持ちでお焼香をしてはいけません。
今回解説した通り、お焼香の手順は特別難しいものではありません。一度覚えておくだけでも葬儀の時にはだいぶ気持ちの余裕が持てます。
まとめ
お焼香の手順と役立つ知識とは
・焼香台の手前で遺族と僧侶と遺影に一礼する
・抹香をつまむ前に遺影に向かって合掌する
・抹香は親指、人差し指、中指でつまみ額まで上げる
・宗派によって異なるお焼香の回数は覚えておく
・お焼香が終わったら一歩下がって遺族に一礼して下がる
・お焼香の時には左手に数珠を持つのがマナー