礼服を購入する際、女性はどのような点に気をつけて選べばよいのか、とても悩みますよね。社会人になると、それまで以上に公式の場での身だしなみが求められるようになりますが、礼服は着る機会が少ないため、着慣れているスーツや制服以上に他人の目線が気になるものです。
また礼服は、女性の場合は慶事と弔事でスタイルが全く異なります。男性の場合はネクタイの色に注意するのみで、慶事でも弔事でも黒のスーツを着用可能ですから、これも悩んでしまうポイントです。
実際のところ、「礼服」という言葉自体は冠婚葬祭で着る特別な洋服すべてを指すので、結婚式で着用するパーティドレスなども礼服のひとつです。ただ、単に礼服というと「喪服」のイメージが強いことでしょう。
そこで今回は、弔事用の礼服に重点をおいて、礼服を女性が選ぶときのポイントをお伝えします。
礼服の基本の色を知っておこう
慶事の礼服は、正装とはいえお祝いの席ですので、参列者として出席するならば華やかな色味のものを選びます。
もちろん黒でも構いません。ただしその場合は、ボレロを羽織ったり、アクセサリーやバッグで差し色を入れたりする方がお祝いの席にはふさわしいです。
一方弔事の場合は、色は黒のみに統一します。中でも「光沢のない黒」が基本ですので、同じ黒でもリクルートスーツなどを着るのは好ましくありません。1着だけで見るとわかりませんが、式の場になると目立つくらいに色の違いがよくわかります。
また、喪服の黒はそのように特別ですので、慶事用と兼用することも望ましくありません。礼服を女性が購入する際は、慶事用、弔事用で1着ずつ持ち合わせるのが理想的です。
着丈などのマナーを知っておこう
スカートの丈にもマナーがあります。よく言われている「ひざが隠れる程度」が基本です。
なお、丈は長くなるほど格式が高くなるので、長ければよいというものでもありません。喪主や遺族として参列する場合はそれでもよいのですが、そうでない場合にあまり丈の長いものを着用すると、ご遺族の格式より高くなってしまうこともあります。
袖については、極力肌の露出を控える必要があるため、七分~長袖くらいが基本です。暑い時期は半袖でも構いませんが、黒いカーディガンなど、羽織れるものを必ず持ち合わせるようにしましょう。
パンツタイプも近年では増えてきました。特に年齢が高い方は、寒い時期に体が冷える、動きやすいなどの理由からスカートをはかないこともあります。ただし礼服は、女性はスカートが基本ですから、特に理由がないのであればスカートタイプを選ぶ方が無難です。
美しく着ることもマナー
女性は大人になると、公式の場でのお化粧がマナーになりますよね。もちろん、職種によってはノーメイクでよいものも多くあります。しかし、接客をメインとするお仕事では絶対にタブーです。
それと同じように、きちんと装うことも相手に敬意を示すことになります。そのため礼服を選ぶ際、女性であれば、色や着丈などのマナーの他にも、スタイルの見え方やデザインにもこだわり、他人からの見え方にも気を配りましょう。ただし、派手に着飾るということではありません。
「あまり準備がよいと不幸を予測していたようでよくない」と言われることもありますが、それと身だしなみがきちんとしていないのは別です。急に葬儀に出席することになったときに慌てないように、普段からスタイルを確認しておきましょう。
自分に合ったスタイルを選ぼう
礼服自体に問題はないけれど、なんだか似合っていない…となると、面識の無い人も多い場では、少し恥ずかしいかもしれません。
普段の洋服も、20代の方に似合う洋服を50代の方が着ると違和感がありますし、逆もそうですよね。
礼服も同じです。「毎日着ないからキレイなまま残っているし、一生着られるかも!」、というわけにはいきません。年齢に合わせて買い替えることが必要です。長くても10年後に着て違和感がないか、イメージして購入しましょう。
20代の女性の場合、体のラインがきれいに見えるもの、少し若さのあるデザインのものを選びましょう。
30代になると、あまり「かわいらしい」デザインのものは着られなくなります。上品さを意識したものがよいです。
さらに40代、50代と年齢を重ねると、年齢や体形などもカバーできるデザインを選ぶ必要があります。少し体形が変化しても着られるように、ゆとりのあるサイズのものを選ぶことが大切です。
アクセサリーやバッグも一緒に確認しておこう
装飾については、結婚指輪以外はつけないのが基本ですが、洋装の場合、真珠のネックレスはつけることが一般的です。他の宝石とは異なり、悲しみの涙を表すともいわれています。バッグを持つ場合は、礼服と同じ光沢のない黒を選びます。
真珠でもイヤリングはなるべく避ける、ネックレスは二連ではいけないなどのマナーもあります。そもそも礼服を女性が着用するのは着飾るためではありませんので、身につけるならば最低限の装飾に済ませる、と考えるとよいでしょう。
礼服だけを着て出向くことはないと思いますので、購入の際に併せて確認しておきましょう。
このように、礼服を女性が選ぶ際には、マナーとともに、年齢や体形に合ったスタイルにも気を配ることが必要です。
現在はどの洋装店でも、礼服売り場では女性物が必ず販売されています。そして店員さんも、マナーや知識をきちんとお持ちですので、まず間違いのない1点を購入することが可能でしょう。
もちろん見た目が整っていればそれで充分です。しかし、特別な場で着用するものですから、なぜそのようなスタイルなのかを知っておくと、より自信を持って着ることができます。また、間に合わせで支度をしなくてはいけなくなった時に、何を基準に選べばよいのか判断できるでしょう。
葬儀や法事は宗教に基づいた場ですから、地域ごとに考えが異なる場合ももちろんありますが、まずはもっとも一般的なマナーを押さえ、いざというときに慌てないように準備をしておきましょう。
まとめ
礼服を女性が選ぶ時に重視したいことは
・礼服の基本の色を知っておこう
・着丈などのマナーを知っておこう
・美しく着ることもマナー
・自分に合ったスタイルを選ぼう
・アクセサリーやバッグも一緒に確認しておこう