参拝の仕方を改めて考えると、きちんと教わった経験がない方々も多いですよね。初詣や七五三、受験の合格祈願など、子どもが成長するにしたがって神社へ参拝する機会も増えるなか、ふと戸惑う方々も多いもの。
しかし神社は神様の住まう処。家やその他の場所とは雰囲気が全く違い、子どもは大人以上に、その大きな不思議に疑問を抱きます。参拝の仕方、鳥居などの意味など、ひとつひとつにストーリーがあれば、子ども達の心に深く響くはず…。
そう考えると、「知らない」「わからない」ではきっとガッカリされてしまいますよね。そこで今回は、参拝の仕方を子どもに伝えるために、まず大人が理解しておきたい、7つの作法をお伝えします。
参拝の仕方を理解する☆
子どもに伝える7つの作法
鳥居を会釈してくぐる
神社の入り口には、必ず鳥居があります。
【 参拝の仕方:鳥居のくぐり方 】
■ 鳥居とは、私たちの住む俗界と神様の住む聖域の間に立つ、「玄関」の意味合いがあります。
・ 鳥居をくぐらず境内に入ってしまうのは、いきなり窓から家の中に入るのと同じ!面倒でも必ず参道の鳥居をくぐって、境内に入るようにするのが参拝の仕方なのです。
また、鳥居をくぐる時には軽く会釈をします。この動作を「小揖(しょうゆう)」と呼びます。稲荷神社のように、鳥居が複数立ち並んでいる場合は、鳥居をくぐるたびに小揖をしなくてもよく、少し頭を下げつつ参道を進んでも大丈夫です。
参道の中央を歩かない
規模の大きな神社になればなるほど、参道は広くて清々しいので、つい中央を歩きたくなる方もいるかもしれません。
【 参拝の仕方:参道の歩き方 】
■ しかし参道の中央は「正中(せいちゅう)」と呼ばれ、神様が通る道や、エネルギーが通る道とされています。
・ 中央を歩くことは、参拝の仕方としてはマナー違反!参道の中央を通るのはなるべく避け、右や左に寄って進むのが正解です。
なお、右や左に寄って歩くと、脇に様々な石碑や、いわれのある樹木などを見かけることがあります。そういったものをひとつひとつ眺めながら参拝すると、より一層神社への理解が深まり、楽しく進めます。
手水舎(ちょうずや)の意味合い
子どもにとって、一番不思議に思われる参拝の仕方が「手水舎」での作法かもしれません。「どうして柄杓があるの?」「どうして手を洗うの?」など、子どもによっては興味津々!
【 参拝の仕方:手水舎の意味合い 】
■ 手水舎は柄杓が備えられた「施設」です。
・ ここでは両手と口を清めますが、実はそもそもの由来は川や池などに身体ごと浸かって身を清める「禊(みそぎ)」でした。手水舎での作法はそれを省略したもの。
ついこの参拝の作法を省略し、直接拝殿に向かってしまう方も多いものですが、神様に会いに行くときは身を清めなければなりません。面倒でも必ず立ち寄るのが参拝の仕方のマナーです。
手水舎の「清めの作法」
手水舎では簡単に水を手に掛ければ良い、と考えている方々も多いのですが、一連の「禊(みそぎ)」にも流れと作法があります。ここを弁えていると、宮司さんにも「お!」と思われるかもしれません。
【 参拝の仕方:手水舎の作法 】
≪ひとりの時の作法≫
①まず、手水舎の前で一礼する。
②右手に柄杓を持って水を汲んで、左手にその水をかけて清める。
③柄杓を左手に持ち替えて、今度は右手に水をかけて清める。
④もう一度柄杓を右手に持ち替え、左手の手のひらに水をためて、その水で音を立てずに口をすすぐ。
⑤口に含んだ水を、左手で口元を隠しつつ静かに排水溝に吐き出す。
⑥柄杓に残った水で、再度左手を清める。
⑦柄杓の柄を椀の部分が上になるようにして片手で持ち、柄に水をつたわせる。
⑧柄杓を元あった位置に戻し、一礼する。
ふたりの時の手水舎の作法
この一連の流れが、参拝の仕方のなかでも、多くの方々が間違えている、手水舎での作法なのですが、多くの場合一人ではなく複数人で参拝をするものです。複数になった時、手水舎の作法も少し変わります。
≪ふたりの時の作法≫
①まず、手水舎の前で一礼する。
②一方が柄杓に水を汲み、もう一人が両手・口・両手の順にすすいでいく。
③交代して同じように両手と口を清める。
④柄杓の柄を椀の部分が上になるようにして片手で持ち、柄に水をつたわせる。
⑤柄杓を元あった位置に戻し、一礼する。
なお、この時に柄杓に直接口をつけてすすぐのは「杓水(しゃくみず)」と呼び、重大なマナー違反です。神様に対して、というより次に手水舎を使う参拝客に対して失礼ですので、必ず左手に水をためて、その水ですすぐようにします。
また、濡れた手や口周りを拭うハンカチなども、前もって取り出しやすいよう用意しておきます。
鈴を鳴らす
鈴がある神社でしたら、賽銭箱に静かにお賽銭を入れたあと、鈴についている紐や縄を揺すって鈴を鳴らします。
【 参拝の仕方:鈴の鳴らし方 】
■ 子どもはつい激しく揺すってしまうかもしれませんので、それは注意するにしても、この鈴の音は「神様を呼ぶ音」とも、その場の悪しきものを祓って、場を清める音、とも言われます。
・ ですから遠慮はせず、呼び鈴を鳴らすように高らかに境内に響かせます。
拝礼の作法
それでは神社の参拝の仕方のメイン、拝礼の作法をお伝えします。神社によっては拝礼の作法が文章や図で説明されていることがあります。その場合にはその神社の参拝の仕方に倣うのがマナーです。
例えば、通常の参拝の仕方なら、二回深いお辞儀・二回手を打つ(柏手)・一回深いお辞儀をする、「二拝二拍手一礼」で拝礼をしますが、出雲大社は「二拝四拍手一拝」など、神社によって拝礼の作法が異なることがあるのです。
その拝礼の作法は以下のようになります。
【 参拝の仕方:拝礼の作法 】
①姿勢を正し、二回深いお辞儀(二拝)。
②胸の高さで一度両方の手のひらを合わせて、右手を少し下にずらした状態で二度柏手を打つ(二拍手)。
③手のひらをぴったりと合わせ直し、祈り、手を下ろす。
④最後に一回、深いお辞儀をする(一拝)。
右手を少し下にずらすのは、神様と人がまだ一体になっていないと言う意味。その状態で柏手を打つことによって、悪しきものを祓い、その後で、両手のひらをぴったりと合わせると、そこではじめて神様と人が一緒になり、神様が人の祈りを聞き届けてくれるのです。
こんな話も子どもにできたら、子ども達の心に残るのかもしれません。
いかがでしたでしょうか、冒頭でも少し述べましたが、大人が参拝しても清々しい空気や底知れぬパワーを感じる場所がある神社。先入観のない子どもなら、さらにそれを大きなものとして受け止めるかもしれません。
神社の境内には狛犬や灯篭など、様々なものがあります。稲荷神社に行けば、狛犬の代わりにお狐様が鎮座しているなど、よくよく見れば興味を惹かれるものも盛りだくさん!
それらについて子どもと一緒に調べてみたり、観察したりするのもきっと楽しいはず。参拝の仕方にも様々な理由があり、現在のような形になったことがわかると、とたんに世界が広がります。
神社は日本にしかない文化のひとつでもありますから、子どもに参拝の正しい仕方と神社の奥深さを伝えてください。
まとめ
子どもに伝える、神社の参拝
・鳥居は会釈をしてくぐる
・参道の中央は避けて進む
・手水舎でのお清めをカットしない
・手水舎のお清めには一連の流れと作法がある
・手水舎の作法は複数になると、少し違う
・鈴は高らかに鳴らす
・神社それぞれに拝礼の作法がある