旅館の「おもてなし」にお礼したい!心づけ(チップ)のマナー


日本の旅館ではチップはいらない、ということは良く知られていますよね。チップに相当する従業員から受けるサービス料金は、すでに宿泊費に含まれているので個別に渡す必要がない、というのがその理由です。日本の旅館では、欧米のようにサービスを担当する専任の人が決まっている訳ではなく、従業員が誰でもサービスを行える仕組みになっています。その分、利用する側にとっては都合の良いシステムと言えます。

しかし、特別なサービスを受けた場合は、何かでお礼をしたいと思うのは当然と言えるでしょう。昔から日本ではこういったお礼を、チップとは呼ばず、「心づけ」とよんでいます。ぜひ、特別なサービスを受けたら、心づけを渡しましょう。

そこで今回は、日本の旅館でチップとしてではなく、心づけとしてお金を渡す際のマナーについてお伝えします。

心づけは2種類

外国のホテルに泊まった場合、荷物を運んでくれたり、シーツを替えてくれる従業員にチップを渡すのが習慣です。しかし、日本では、宿泊料金の中にそういったサービスの料金が含まれています。そのため、日本のホテルや旅館にはチップの制度がありません。

しかし、昔の日本には、宿泊料金とは別に心づけを渡す習慣がありました。さらに、今でもそういったことを行う方もいらっしゃいます。

このような心づけには、女将さんなど宿の経営者に渡すものと、部屋で実際にお世話をしてくれる仲居さんに渡すものの2種類があります。どちらにするかは、渡す理由によっても違います。

重ねて言いますが、心づけは旅館でもチップではないので必須ではありません。また、チップを断る旅館もあります。しかし、お世話になったお礼に、お金を渡すことは決して失礼なことではありません。状況に合わせて、お礼の気持ちとして申し出てみましょう

 

こんな場合は心づけを

このように日本でホテルに宿泊したとしても、料金にサービス料が含まれているので、従業員からサービスを受けたからと言ってチップを用意する必要はありません。しかし、特別なサービスをお願いして、それをかなえてもらった場合は、何かしらお礼をするのがマナーです。

例えば、小さな子供といっしょに泊まった旅館で、子供が粗相をしてしまった場合、部屋を担当されている中居さんには迷惑をかけてしまいます。このままでは申し訳ないので、担当されている中居さんに個人的に心づけを渡すことは、決して悪いことではありません。
また、足の不自由な親といっしょに宿泊した際に、宿にお願いして車椅子を準備してもらうなど、特別なサービスを受けたとします。

従業員教育の行き届いている旅館では、車から玄関までの移動に手を貸してもらったり、廊下の移動の際に付き添ってもらうなど、いろいろなシーンでサポートしてもらえます。

こういった旅館全体のサービスに対するお礼として、女将さんに宿泊料金とは別に心づけを渡すこともあります。

もちろん、サービスに含まれているものとして、お礼だけで済ませることもできます。とはいえ、こうした心づけは、サービスを受けた人が感謝の気持ちを表したものです。気持ちよく渡してあげましょう。

 

渡す際は袋に包む

心づけを渡す場合、旅館の中ではチップのように現金を渡すことはしません。また、外国では、シーツを替えてくれる従業員に渡す場合、枕の下に入れることをしますが、絶対にしないでください。日本の旅館ではチップとは判断しないので、トラブルの原因になります。

また、心づけに渡すお金は、お札を使うのが基本です。500円玉だとしても小銭を使うのはよくありません。そして、心づけを渡す場合は、袋に入れるのが基本です。文房具屋で販売されているポチ袋を使いましょう。子供に渡す際に使うようなかわいいものでも構いません。

なお、ちょうどそういったポチ袋が用意できなかった場合は、白い紙に包んでも構いません。なお、このように包んだ場合は、渡す相手に「これ心づけです。」と言って渡しましょう。

 

渡すタイミングは

心づけは、渡すタイミングも重要です。外国では、サービスを受けた際にチップを渡すのが習慣です。誰もがそのようにしているので、人目があっても問題ありません。

しかし日本ではそうはいきません。旅館の中ではチップを使う習慣が無いことから、ロビーなどでお世話になった中居さんにお金を渡すのは、不自然な感じがします。さらに、そのような場所では、中居さんは心づけを辞退するのが普通です。

心づけを渡す場合は、中居さんが部屋に来たタイミングに、直接渡してください。もし、帰り際に渡す場合は、お願いして部屋に来てもらいましょう。また、どうしても来てもらえない場合は、他の人の見ていない場所で渡しましょう。

女将さんに渡す場合も同じです。できるだけ、部屋にきてもらった際にお礼を言いつつ渡しましょう。

 

どれくらい包めばよいの

それでは心づけをいくら包めばよいのでしょうか。チップの場合は相場があって、その金額を渡せば良いとされています。また、レストランなどでサービスを受けた場合は、料理代の10%が目安とされています。

心づけは旅館のチップではありませんが、宿泊費の10%が目安になります。もちろん、お世話になったことへの感謝の気持ちとして渡すお金です。自分の気持ちで金額を決めても構いません。

また、先ほどお伝えしたとおり、小銭を使うのはよくありません。旅館で渡す心づけは、サービス毎に払うチップとは違います。千円札だけで払える金額にしましょう。

なお、結婚式で渡す心づけの金額は、昔から奇数が良いとされています。心づけは、渡す人の感謝の気持ちを表したお金なので、特に制限はありませんが、縁起が良いとされる奇数の金額にすると良いでしょう。

 

以上、日本の旅館でチップとしてではなく、「心づけ」としてお金を渡す際のマナーについてお伝えしました。

欧米ではチップの相場がある程度決まっていて、チップを受け取る従業員は、その金額をもらうのが当然と考えています。しかし、日本にはそのようなチップの習慣はありません。そのため日本の旅館の従業員によっては、お客さんから心づけとしてお金をもらうのに慣れていない方もいます。

心づけは、感謝の気持ちをお金に込めて渡す行為です。お金を渡すことで、お世話になった従業員を困らせてしまってはいけませんよね。もし、個人的に受け取れない場合は、従業員みなさんで分けられるお菓子などを贈って、あなたの感謝の気持ちを伝えましょう。

まとめ

旅館へのお礼に使いたい心づけ(チップ)のマナーについて

・心づけ(チップ)の対象は女将さんか中居さんへの2種類
・特別な対応をして頂いた時には心づけ(チップ)を
・心づけ(チップ)を渡す際は袋に包むのがマナー
・心づけ(チップ)を渡すタイミングに気を付けましょう
・心づけ(チップ)は千円で払える金額にしましょう


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