携帯で頻繁にメールのやり取りをしているのに、たとえば年賀状や絵葉書や手紙を出そうとしたとき、まるで筆が進まないという経験は、ありませんか?
どんなに親しい間柄であっても、改まって手紙を書くとなるとなかなか文章が浮かんで来ないものです。
ましてそれが、訃報に際してのお悔やみの手紙となれば尚更のこと何を記していいか分からないことでしょう。
大事な家族を亡くしたご遺族が、自分の書いたお手紙で悲しみを深くしてしまったら、下手をすればお怒りを買ってしまったらどうしよう、と筆を進めるのが怖くなってしまいますよね。
そんな難しいお悔やみの手紙で、あなたのご遺族を思う気持ちを上手に伝えるための方法を、ここでは考えてみましょう。
お悔やみの手紙で
あなたの真心を上手に伝える7つの方法
お悔やみの手紙とは
お悔やみの手紙とは、いわゆる「お悔やみ状」と一般的に言われるものです。何があっても駆けつけなければならない通夜葬儀に、どうしても外せない、たとえば結婚式であるとか遠方に住んでいるだとか、そういう理由をもって弔問に行けないとき、もしくは後になってから故人の死去を知ったときに送るものです。
どちらの場合も死去を知ったらすぐに送りましょう。自らの悲しみを知ってもらうために記すのではなく、遺族の悲しみを慰め気遣うために出すものです。
お悔やみ状の基本を押さえよう
お悔やみ状は一枚の便箋に薄墨で書き、二重になっていない封筒に入れ送ります。
「悲しくて涙が流れ、硯の墨が涙で薄くなった」ため薄墨、不幸時に「二」は縁起が悪いため一枚の便箋と二重になっていない封筒を使用します。
また「拝啓」などの頭語や「新春の候」などの時候の挨拶・「敬具」などの結語は使いません。
そんな堅苦しい決まりを全部守っていたら、形式ばってて心が伝わらないかも?と思う必要もありません。
生前親しい間柄だったとしても「親しき仲にも礼儀あり」です。冠婚葬祭における基本的なマナーは、心を伝えたいからこそ必ず守りましょう。
忌み言葉を使わない
お悔やみ状において、忌み言葉は絶対に使用しないことです。忌み言葉とは、たとえば分かりやすいもので言えば、結婚式においての「去る」や「帰る」など離婚を予測出来そうな言葉です。
訃報に際しては、「重ね重ね」「しばしば」などの繰り返し言葉は不幸が重なることを連想させるためNGです。
同じ理由で「また」という言葉も使えません。「四」「九」は「死」「苦しみ」に通じるためこちらも避けます。
また、個人が長寿であったとしても「天寿をまっとうした」など書かないようにしましょう。
手紙の書き方についてのマナー
頭語を省くため冒頭からお悔やみの言葉を書きます。「このたびは○○様の突然の訃報に接し、慰めの言葉も思いつきません」など哀悼の意を示します。
次に弔問に行けない理由を簡易的に記し、ご遺族を励まし気遣います。弔問出来ない理由は詳細に書く必要はありません。
遠隔地に住んでいて行けない場合は「遠方のため」。体調不良の場合は「療養中のため」。結婚式や出産など祝い事と重なった場合は「やむをえない事情で」などで済ませましょう。
「ご家族の心中お察しします。」「くれぐれもご自愛下さい。」などをの励ましの言葉を書き、ご遺族の気持ちに寄り添うことが大事です。
手短にまとめよう
箇形式文だけではちょっと…と思う方は、故人との思い出を入れるとより心がこもった内容となります。故人の人柄に触れることのできる、微笑ましいエピソードなどがある場合は是非入れて下さい。
しかし、自らの悲しみを長々と綴ったり、本当に悲しく思っているのだと伝えようと大げさな表現をするようなことはやめましょう。
ご遺族の悲しみを深くしてしまう可能性があります。ご遺族の気持ちを大事にして下さい。また前述しましたが便箋は一枚としないといけないため、書く内容は手短にまとめます。
香典を同封しよう
弔問の際と同じく香典を出したい場合は、不祝儀の熨斗袋を同封し現金書留で送ります。不祝儀袋の表書きは「御霊前」とします。
「御霊前」はどの宗教でも使用することが出来ますが、仏教においては四十九日が過ぎている場合は「御仏前」として下さい。また蓮の絵の入った不祝儀袋は仏教専用ですのでご注意下さい。
「心ばかりのものを同封します。故人のお好きだったお花(お酒など)でもお供えいただければと思います。」など、香典を同封したことを一筆しましょう。
お悔やみの手紙の一例
「この度はお父様の突然の訃報に接し、言葉もありません。○○さんの結婚式の際にお見かけした明るい笑顔が、鮮明に思い出されます。
本来ならばお伺いして直接お悔やみを申し上げるところですが、どうしても都合がつかずかないませんこと、お詫び申し上げます。
ご家族の皆様におかれましては、お力落としのことと存じますが、どうぞお気持ちを強く持たれますようお祈り申し上げます。
心ばかりのものを同封いたしますので、故人のお好きだったお酒などお供え下さい。まずは略儀ながらお悔やみ申し上げます。」
結語は省きますが、冥福を祈って「合掌」で締めることも可能です。他に伝えたい用件があっても、一緒に書くことはやめましょう。
いかがでしたでしょうか。
ただでさえ普段触れる機会の少ない冠婚葬祭の、特に訃報の諸々については、最も立ち振る舞いが難しい機会です。ましてお手紙となると顔が見えない分、悲しみに暮れているご遺族には心が伝わりにくいものです。
まずは基本的なマナーを守ることが大前提です。基本が出来ていなくては、どんなに素敵な言葉も相手には届きません。
その上でお相手のお気持ちをよく考え、自分の気持ち、自分らしさを込め、お悔やみのお手紙を書いていただけたらと思います。
まとめ
お悔やみの手紙であなたの真心を上手に伝える7つの方法
・お悔やみの手紙とは
・お悔やみ状の基本を押さえよう
・忌み言葉を使わない
・手紙の書き方についてのマナー
・手短にまとめよう
・香典を同封しよう
・お悔やみの手紙の一例