暑中見舞いを贈る時期は、1年の半分が過ぎ、ちょうど暑さが身にしみる頃ですね。今年はそんな季節の声を聞いているだけではなく、お世話になった方やしばらく会っていない方など、大切な方々に宛てて実際に暑中見舞いを贈ってみてはいかがでしょうか。
「贈ってみたいけれど、何を書いたらいいのかよくわからない」と思われるかもしれませんが、暑中見舞いは少しの作法を守ることと、相手を思いやる気持ちがあれば、誰にでも喜ばれる「季節のお便り」になるのです。
贈りたい相手が目上の方か、ごく親しい方かによっても、書き方や文面の内容を多少変える必要があるので、躊躇してしまいがち。ただ、基本的な部分は一緒だと聞けば、特に難しいこともなく、丁寧な挨拶状が送れそうですよね。
そこで今回は、暑中見舞いを送るにあたって、知っておきたい「7つの作法」をお伝えいたします。
暑中見舞いを贈ってもよい「時期」
「暑中見舞い」の「暑中」とは、二十四節気の「小暑(7月7日頃)」から「立秋(8月7日頃)の前日」までを指します。
例えば天気予報などで「今日は立秋です。暦の上では秋になりましたが…」という表現がありますが、この「暦の上」とはまさに二十四節気のことを指しているのです。
二十四節気は古代中国で、太陰暦と太陽暦の差を修正するために考えられたもので、太陽が1年の間に移動する道(黄道)を24等分し、季節の移り変わりの基準点としたものです。
【 暑中見舞い:時期 】
★ 暑中に話を戻しますと、小暑に入ったら暑中見舞いを贈っても失礼にはあたりませんが、この頃は日本の多くの地域がまだ梅雨の最中。暑いどころか梅雨寒に震えることすらある時期です。
・ したがって通常は「梅雨が明けてから、立秋の前日まで」に相手方に届くよう、暑中見舞いのはがきを送ることが一般的です。
相手方の地域の「梅雨開け」
【 暑中見舞い:梅雨明け 】
★ 「梅雨明け」で注意したいことは、自分の住んでいる地域が梅雨明けをしていても、相手方が暮らす地域はまだ梅雨明けしていない、ということがままあること。
・ そのため、暑中見舞いは相手方の地域の梅雨の状況を確認してから贈ってください。
また、年によっては長雨が続き梅雨明け宣言が発表されないことが…。その場合は、立秋まで様子を見て、梅雨明けの発表がないままでしたら、「暑中見舞い」ではなく、立秋を過ぎた頃に「残暑見舞い」としてはがきを贈るのがベターです。
暑中見舞いと「喪中」
年賀状の場合、自分が「喪中」なら喪中はがきを贈り、新年の挨拶を控えることになります。そのため「暑中見舞い」も同じ扱いになると思われがちですが、こちらはあくまでも相手方を気遣う「お見舞い状」。
【 暑中見舞い:喪中 】
★ したがって、自分が喪中でも相手方が喪中でも、暑中見舞いは贈ってもよいもの。
・ ただし、忌明け前(四十九日法要より前)だけは控えるのが一般的です。
暑中見舞いの縦書きと横書きの区別
暑中見舞いのはがきは、縦書きでも横書きでも構いません。
【 暑中見舞い:縦書き横書き 】
★ ただし、縦書きの方がフォーマルな印象になるため、縦書きの暑中見舞いは目上の方向き。
・ そして横書きになると反対に、少しくだけた印象になるため、親しい方向きと覚えておくと便利。
なお、もしも文面に数字や横文字が多い場合は、横書きで構成したほうが読みやすくなりますので、上記の原則に従わなくてもOKです。
筆記用具にも気を配る
はがきの準備ができたら、ぜひ筆記用具にも気を配ってください。実は以下のような作法があるのです。
【 暑中見舞い:筆記用具 】
① 目上の方宛てや、改まった気持ちを示したい時には、ブラックやブルーブラックのインクの万年筆書き。親しい友人宛なら、油性のボールペンでもOK。
② 宛名面も通信面も、カラフルな色を使って書くのはNG。特に赤は「不吉」「絶交」を示す色なので、重大なマナー違反。
「文面の構成」を確認
暑中見舞いを書こうとする時に、最も頭を悩ませるのが「文面の構成」ではないでしょうか。しかし、このような形式の手紙は、構成の仕方がすでに決まっていますので、それに沿って文面を綴っていけば大丈夫。
以下に、暑中見舞いの文面の構成とポイントをお伝えします。
【 暑中見舞い:文章構成 】
① 書き出しの言葉
・ 「暑中お見舞い申し上げます」で文面が始まります。ただし、目上の方に対しては「暑中お伺い申し上げます」を用いた方が丁寧な印象に。
② 相手方の安否を問う文
・ 「夏空がまぶしい季節となりましたが、いかがお過ごしですか」
・ 「暑さ厳しき折、お元気でいらっしゃいますか」
…など、書き出しの言葉に続けて相手方が「元気でいるか」を問う文を記してください。直接会う機会がほとんどない方への暑中見舞いなら、「ご無沙汰しておりますが、いかがお過ごしですか」などの文でもOK。
③ 自分の近況を伝える文
・ 「私はおかげさまで、元気に過ごしております」
・ 「おかげさまで、私たち家族は皆元気に暮らしております」
この部分は省略されることもありますが、生き生きとした印象になりますので、この例文のように、短くても記しておくことをおすすめ。
④ 相手方の無事を願う文
・ 「暑さはまだ続きますが、お体をどうぞお大事になさってください」
・ 「夏風邪などお召しにならぬよう、お体にお気をつけください」
…などの文で暑中見舞いを結びます。
頭語・結語と、具体的な日付は不要
暑中見舞いには、通常の手紙文で使われる「頭語(拝啓・謹啓など)」や「結語(敬具・敬白など)」は不要。また、「平成○○年○月○○日」といった、具体的な日付は用いません。
【 暑中見舞い:日付の書き方 】
・ 「平成〇〇年 盛夏」
・ 「平成〇〇年 七月」…などの表現を用います。
さて、梅雨入りのころには季節を先どるように、文具店や雑貨店に夏らしいポストカードが並ぶようになるもの。これらを上手に利用すれば、より暑中見舞いを贈ることが楽しみになるかもしれません。
ただし、2017年6月1日に、はがき用の切手は従来の52円から62円に値上がりしましたので、このような切手を貼って贈るタイプのはがきを用いる場合は注意が必要。
また、あるアンケートでは、年賀状よりも暑中見舞いを貰った方が嬉しく感じる、という結果が出ています。考えてみれば暑い最中に、ふと自分を気遣うはがきが届く、というのは確かにすっと心に響くもの…。
メールやLINEなどですぐに連絡が取れる今だからこそ、より嬉しく感じられるかもしれません。ぜひ、作法を守りつつも楽しみながら、大切な方々へ暑中見舞いを贈ってください。
まとめ
暑中見舞いを送る作法
・梅雨明け~立秋の前日に届ける
・相手方の地域の梅雨明けの状況で確認
・暑中見舞いは喪中でも送ることが出来る
・縦書きは目上の方へ、横書きは親しい方へ
・万年筆がベスト、カラフルな文字は避ける
・暑中見舞いには基本の構成がある