忌明けとは、喪に服す期間が終わる日の事を指します。故人の魂は無くなってから七日ごとに現世での行いについて裁きをうけ、四十九日目にようやく成仏すると考えられています。四十九日を満中陰といい、この満中陰をおえてようやく、故人は極楽浄土へと旅立つのです。この満中陰を終えると忌明けとなり、遺族は普段の生活にもどるのです。
忌明けの法要は故人の魂を極楽へ送り出すものとしてとても重要です。しかし、大切な家族を亡くした中で、四十九日のことまではなかなか考えが及ばないこともあるかもしれませんよね。そこで今回は、「忌明け」とは?喪主が準備しなくてはならない5つの事柄をお伝えします。四十九日の法要をきちんと終え、穏やかな気持ちで忌明けを迎えることができるようにしましょう。
「忌明け」とは?
喪主が準備しなくてはならない5つの事柄
法要の日時調整
四十九日の法要は一周忌までの法要の中で最も重要な忌明けの法要です。喪に服す中陰の期間が終わり、故人の魂が成仏するのが忌明けになるので、遺族だけではなく友人・知人が出席する大きな法要になります。そのため、喪主は出席者の確認と、その日程調整を行います。日程に合わせた会場の予約も必要ですし、住職の手配も必要ですね。
四十九日の法要の日程決める時、出席予定の親族や知人全員に連絡をとり、確認をする作業はとても大変ですよね。そこで、葬儀に続いて行われる初七日法要の席で四十九日の法要についても日程を決めてしまうのが最近の流れになっています。初七日法要に出席する間柄の方は、四十九日の法要にも出席をお願いすることになりますので、初七日の席で四十九日の法要を予定している日を伝え、日程の都合をつけてもらえるようにしておきましょう。
返礼品である「引き出物」の準備を行う
四十九日の忌明け法要では、列席者から「御仏前」をいただくことになりますし、お供え物をいただくこともあります。そこで、その返礼品の準備が必要になります。返礼品の熨斗の表書きは「志」や「忌明志」が一般的ですので、事前に準備し、当日お渡しできるようにしておきましょう。
また、忌中にいただいた香典のお返しも、忌明けの法要に合わせてお渡しすることになります。葬儀でいただいた香典について、葬儀当日に引き出物としてお返しをしている場合は不要ですが、高額な香典をいただいた場合や当日にお返しが叶わなかった場合は忌明け法要に合わせてお渡しします。
返礼品は、列席者が持ち帰りやすいようあまりかさばらない食べ物やタオル、お茶などにします。会食を行う場合は会場まで持ち歩く可能性もありますので、量より質を重視してお渡しできると良いですね。
本位牌と仏壇の準備
葬儀で準備するご位牌は、白木の位牌であり、この位牌は仏壇ではなく忌中に飾る後飾りに置くためのいわば仮の位牌です。忌明けの法要のあとは、白木の位牌から漆塗りの本位牌に変更し、仏壇におさめます。仏壇は仏になったご先祖様を供養する場所なので、まだ仏になる前の個人の位牌を仏壇には安置しません。
本位牌には戒名を彫る必要がありますので、忌明け法要の2週間以上前には手配し、当日に間に合うようにしましょう。本位牌へ変更する際に行うのが、位牌開眼(いはいかいげん)という魂の入れ替え作業です。故人の魂が入った白木の位牌から、本位牌へ魂を入れ替えてもらう作業で、住職にお願いします。位牌開眼をおえた白木位牌は、そのままお寺に引き取ってもらい、お焚き上げの供養をお願いしましょう。
仏壇にも忌明けにあたり新しい仏様を迎えるために、開眼法要が必要になりますから、併せて住職にお願いするとよいですね。
後飾りの処分を依頼する
後飾りとは骨上げをした遺骨と白木位牌を安置するための祭壇の事で、葬儀後自宅に弔問にいらしたお客様にお参りしていただけるよう、忌中の間自宅に設置します。忌明け法要のあと、白木位牌は本位牌となり仏壇に納めることになりますし、納骨も終えてしまうので後飾りも外してしまいます。
後飾りの処分方法としては、白木位牌と同様位牌開眼の後に住職へお願いしてお寺でお焚き上げしていただき、処分しましょう。お世話になるお寺が決まっている場合は、あらかじめ処分していただけるかどうかを確認しておくと安心です。
既にお墓がある場合は納骨の手配を済ませる
既にお墓がある場合は、忌明け法要に合わせて納骨を行うことが増えています。納骨を忌明け法要に合わせて行う場合は、事前に住職や霊園に連絡をいれておきましょう。また、墓石に字彫を依頼しなくてはいけませんので、法要の2週間以上前には手配するよう余裕を持った段取りを心掛けるとよいですね。
また、納骨には遺骨埋葬許可証が必ず必要になります。これは死亡届をだした自治体で発行されるもので、この許可証が無ければ日本国内で火葬後の遺骨を埋葬することができなくなります。発行された許可証は大切に保管し、万一紛失した場合は早急に再発行してもらえるよう手続きをしておきましょう。当日になって慌てないよう、事前の確認が必要ですね。
いかがでしたか。忌明けの法要は故人が仏様となって家族を見守る存在になってくださる、大切な節目の法要です。葬儀から七日ごとに行われた裁きの結果を受けて故人の魂が極楽浄土へと旅立てるよう、遺族は穏やかな気持ちで法要に臨めるようにします。
何度も経験を積める行事ではないため、何をどうすればよいか不安に感じることもたくさん出てきますが、住職や葬儀社の方によくよく確認をとり、滞りなく準備できるようにしたいですね。年配の親戚にアドバイスしてもらうというのもよい方法でしょう。今回お伝えした5つの事柄は、忌明け法要を滞りなく行うために必要な最低限のポイントですので、喪主になる方だけでなく、ご家族で協力して故人の供養を行えるようにしましょう。
まとめ
「忌明け」に喪主が準備しなくてはならないこととは
・法要の日時調整をしておく
・返礼品である「引き出物」を人数分準備する
・白木位牌を本位牌へ。仏壇には開眼法要を
・忌中の後飾り処分をお寺や葬儀社に依頼する
・納骨に必要な埋葬許可証の準備と墓石への彫刻を手配する