直葬は、地方から首都圏に上京してきて友人が少ない方や葬儀のことで周囲に迷惑をかけたくない、葬儀費用をなるべく節約したいなどの理由で、葬儀のスタイルが多様化した現代では増えています。
しかし、本人の生前の要望による場合もありますが、遺族が直葬を選択には特にトラブルにならないための注意が必要です。なぜなら、直葬というのは、葬儀をせずに火葬するというスタイルですから、故人に最後のお別れをいいたいという生前故人と関わりの合った人達から、そのお別れの機会を奪う事になるためです。
「訃報を聞いていなかった」など、周囲の人が気分を害する可能性もある直葬について、後々トラブルにならないための基礎知識を6つのポイントに分けて解説します。
直葬を選ぶ時。
後々トラブルにならないための基礎知識
お経や戒名がもらえない
いくら親族が少ないと言っても、先祖代々、または親または配偶者が眠るお墓がないという人は少ないのではないでしょうか。そんな先祖代々お付き合いがある菩提寺があるという人で、直葬をしたいと考えている場合は注意が必要です。
【 直葬を選ぶ:菩提寺との関係 】
■ 基本的に、菩提寺がある場合は、その菩提寺のお坊さんにお経をあげて頂くことで供養され、戒名を頂きます。
・ ある日突然、自分だけ直葬をするとなると、お経をあげて頂くことも、戒名を頂くこともできない場合があります。
直葬をしたいということは、お世話になっている菩提寺がある場合には事前相談しておく必要があります。
お墓に入れるかどうか
自分が死んだら、親や配偶者と同じお墓に入りたいと考えている人は、多いのではないでしょうか。しかし、直葬をすると、お寺によっては、お墓に納骨を許してくれない所もあります。
【 直葬を選ぶ時:お墓に入れるかどうか 】
■ 納骨をするまでの手順は、お坊さんがお経をあげて供養をし、戒名を与え、火葬をして納骨をするという流れです。
・ その中間を無視しているわけですから、許さないというお寺があって当然です。
直葬をしても、お墓に入ることが出来るかどうかは、事前にお寺に必ず確認を取ると安心です。
葬儀社に頼む選択肢
葬儀代のコストを抑えたいという理由から、直葬をしたいという人も増えています。
しかし、いざ遺族が直葬を手配するとなると、火葬場の手配、納骨の手配となれない事をたくさんしなくてはならず、コストを抑えたつもりが手間が増えてトラブルの原因になってしまったというケースが多くあります。
【 直葬を選ぶ時:葬儀社との関係 】
■ そこで、知っておくべきことは、葬儀を省略する直葬でも、葬儀社が火葬と納骨だけのプランを提供している場合もあるということです。
ゆかりのある葬儀社が居ない場合には、自宅周辺の葬儀社で、直葬でも手配をしてくれるところがあるか調べて下さい。
親族間トラブル
直葬自体は滞りなく終わらせられたとしても、よくあるトラブルが、直葬のあとに親戚からクレームが遺族に入ることです。例えば、自分の親が望んで直葬をした場合でも、親には兄弟や従兄弟など自分以外の血縁関係の親戚が居ますから、思いは様々です。
【 直葬を選ぶ時:親族との関係 】
■ 自分の兄弟が亡くなったのに、葬儀がないなんて非常識だと怒るケースも多々あります。
・ それがきっかけで親族間の関係が絶縁状態になってしまう可能性もあります。
直葬をする場合には、それが本人の意思であっても親族には事前にその旨を伝え、合意をとって丁寧に説明する必要があります。
周囲の人への連絡
直葬のトラブルでよくあるケースとしては、故人の生前親しかった知人や友人、近所の方々に訃報をお知らせすることなく、直葬が終わってしまった場合があげられます。
周囲から「お別れを言いたかった」「親しかったのに連絡をしないなんて不義理だ」などクレームを言われてしまうケースです。
【 直葬を選ぶ時:周囲との関係 】
■ かつては、人が亡くなると町内の掲示板に訃報が掲示され、町内の人がたくさん葬儀に参列するというのが一般的でした。
・ そのため、特にご高齢の方からすると、なんの連絡もなく、直葬で火葬されてしまったということを後から聞かされたら、失礼だと感じるのです。
故人の周囲の人には、直葬をする経緯や理由と合わせて、連絡をなるべく早めに入れる対応策が不可欠です。
直葬の後の弔問客の対応
直葬の後に、結局葬儀をした方が楽だったという声があがることがあります。それは、直葬の後に「やっぱりお別れを言いたい」とお焼香をあげに自宅に来られる方が増えるためです。
【 直葬を選ぶ時:弔問客への対応 】
■ 毎日、故人の近所の人や会社の人、古い友人や親戚などに自宅に来られては、対応する遺族には大きな負担になります。
・ 直葬をした場合には、葬儀とは異なる「お別れを偲ぶ会」をまとめて実施することをおすすめします。
故人と生前交流があった方々に集まって頂き、遺影の前で会食をして頂くだけで、バラバラと弔問客が自宅に来るということは回避できます。
いかがでしたでしょうか。直葬は、通夜と告別式を一切行わずに故人が亡くなってから24時間以内に火葬をしてしまいます。
そのため一見すると、面倒なことがなく費用もかからず、周囲に気を使うこともないと思われることが多い傾向にあります。しかし、実際のところは、結果的にその正反対になってしまう事があるのです。
費用面では、火葬場と納骨出来る所の手配をするより、セットの葬儀プランにした方が御香典も集まるので結果的に負担が少なくて済んだというケースもあります。また、周囲への気遣いに関しては、直葬をしたことによって気分を害してしまった人のケアをするよりも、葬儀をしたほうが気楽だったということもありえます。
直葬は、相当のご高齢で友人や知人の方が全く居ない場合や、生まれて間もない赤ちゃんが亡くなった場合、また、本当に身寄りがない天涯孤独の方の場合に適するスタイルです。
そうでない理由で直葬を選択する場合には、細心の注意を払って行って下さい。
まとめ
知っておこう!トラブルになりやすい直葬をする際の注意点とは
・直葬をしたら菩提寺からお経や戒名はもらえない
・先祖代々続くお墓があるお寺には納骨が可能か確認しよう
・直葬でも葬儀社に火葬と納骨だけ依頼できる場合もある
・断りなく直葬せずに親族の合意をとっておこう
・故人の親しい知人友人には直葬にする経緯を説明しよう
・直葬の場合にはお別れを偲ぶ会をまとめてしよう