告別式のマナーはいざ参列する段階になって、社会人として失礼がないか不安になることも多いですよね。お香典の相場や包み方から始まり、服装や言葉使いまで…。何となく理解はしていても、曖昧だと気づく方は案外多いのではないでしょうか。
確かに告別式のマナーは、他の日常の作法よりも、繊細に配慮しなければなりませんが、葬儀の形式が分かっていれば事前にチェックしておき、後は忌み言葉や殺生をイメージさせるものを避けるなど、基本となるいくつかを覚えておけば大丈夫。
とは言え、葬儀前に聞きたい葬儀形式やスタイル、基本となるマナーの概要も分からない、などなどの不安はありますよね。そこで今回は、誰でも分かるように、準備段階で理解しておくことで回避できる、告別式マナーの基本をお伝えします。
告別式のマナーをおさらい。
宗旨宗派によって押さえる作法
告別式の「形式」を確認
訃報の連絡を受けた時、状況によって上手く尋ねられるのなら、告別式が「どのような形式で執り行われるか」を確認しておくと、準備も万端にできて安心。
【 告別式のマナー、葬儀の形式 】
■ 葬儀の形式とは、宗旨宗派(宗教)のこと。事前に理解しておけば、お香典の表書きの他、礼拝の方法などもチェックできて、落ち着いて葬儀に望めます。
・ …と言うのも、日本で執り行われるお葬式の9割は仏式で執り行われますが、神式やキリスト教式の場合もあるのです。
突然、予想していたものと違う宗旨宗派の葬儀に参列したとなると、慌ててしまって、落ち着いて故人を偲ぶことができないことにも、なり兼ねません。
宗旨宗派による違い
【 告別式のマナー、礼拝 】
■ 参列をすると、仏式ならば「焼香」、神式ならば「玉串奉奠(たまぐしほうでん)」、キリスト教式なら「献花」など、必ずその形式ならではの礼拝の作法があります。
・ そこで先ほども少しお伝えしたように、あらかじめ告別式の形式に応じて、どのように礼拝をするか、流れを調べておくと安心。
おおよその流れが頭に入っていれば、その場で他の参列者の作法を参考にするとしても、比較的慌てずに礼拝ができます。
また、香典を包む不祝儀袋も宗教によって変わるのが特徴。あらかじめ形式がわかっていれば、それに沿った不祝儀袋を準備をすることができるので、より丁寧な告別式のマナー。詳しくは次の項でお伝えします。
尚、神式とキリスト教式の場合の告別式のマナーとして、数珠は要りません。
葬儀の形式によって違う、不祝儀袋
前項でお伝えしたように、告別式のマナーではまず、宗旨宗派によって違うお香典袋の準備をしておきたいもの…。それぞれの宗旨宗派による不祝儀袋は、以下の通りです。
【 告別式のマナー、不祝儀袋の種類 】
① 仏式→
・ 黒白または双銀の結び切りの水引、表書きは「御霊前」「御香料」など。蓮の花の模様が入ったものでも可。
② 神式→
・ 黒白または双銀・双白の結び切りの水引、表書きは「御榊料」「御玉串料」「御霊前」など。
③ キリスト教式→
・ 水引は不要。白無地や、百合の花や十字架の模様が入った専用の封筒を用いる。表書きは「御花料」「御霊前」など。
形式がわからない時の告別式のマナーとしては、黒白の結び切りの水引の不祝儀袋を用意し「御霊前」の表書きをすれば失礼に当たりません。ただし蓮の花の模様が入った袋は「仏式専用」ですので避けてください。
告別式の香典相場
ここでお香典のお話が出てきましたが、準備段階で多くの方々が迷う告別式のマナーが、お香典の内容ではないでしょうか。周囲の人に聞けない方もいるかもしれません。こんな時には、全国的な相場を元に決めると、間違えがなく安心。
ただし、香典の相場は故人との関係やおつきあいの程度によって変わりますので、相場を元に、関係性によってプラスアルファのつもりで決めてください。
【 告別式のマナー、お香典の相場 】
① 身内・親類の場合
・ 父母→5万~10万円
・ 祖父母→1万~3万円
・ 兄弟姉妹→3万~5万円
・ おじ・おば→1万~3万円
・ その他親類→1万円
② 故人が職場関係の場合
・ 上司→5千~1万円
・ 上司の家族→5千~1万円
・ 社員・同僚→5千~1万円
・ 社員・同僚の家族→3千~1万円
・ 取引先の方→5千~1万円
③ 故人が知人・友人やその家族の場合
・ 知人・友人→5千~1万円
・ 知人や友人の家族→3千~1万円
・ 恩師・先生→3千~1万円
・ 近所の方→3千~1万円
葬儀で使ってはいけない言葉
告別式のマナーで最も意識しておきたいのが、言葉使い。準備で解決できるものはある程度安心ですが、言葉使いはよくよく確認しておかないと、ついつい出てしまうこともあるため、ぜひ注意してください。
【 告別式のマナー、言葉の使い分け 】
■ また、日本においての葬儀は9割が仏式と言われますが、実際には神式やキリスト教式で葬儀が行われる場合も多くなりました。
・ ここで理解しておきたい告別式のマナーは、それぞれの言葉使いが、葬儀の形式によって変わると言うこと。
「死ぬ」などの直接的な言葉を避けること、「重ね重ね」などの重複言葉は避けること…などの忌み言葉はもちろん、形式による違いを事項でお伝えしますので、こちらも一緒に確認してみてはいかがでしょうか。
葬儀の形式によって違う言葉の例
では、告別式のマナーに大切な、仏式、神式、キリスト教式、それぞれの言葉使いの特徴を、下記に記しますので、参列前にこれから行く形式に合わせて、言葉を確認してみてください。
【 告別式のマナー、形式で違う言葉の例 】
① 仏教で使う言葉→
・ 「冥福」「成仏」「往生」「供養」「あの世」(神式・キリスト教式では使いません。)
② 神道で使う言葉→
・ 「永別」「帰天」(仏式・キリスト教式では使いません。)
③ キリスト教で使う言葉→
・ 「召天」「神のもとに召され」(仏式・神式では使いません。)
それぞれ、他の葬儀形式では使わないのが告別式のマナー、注意点。また「礼拝」という言葉は神式・キリスト教式では「れいはい」と読みますが、仏式では「らいはい」と読むことにも気をつけてください。
いかがでしたでしょうか、ひと昔前まではほとんどが仏式での葬儀でしたが、最近ではより自由な葬儀スタイルが好まれるようになったためか、あらゆる形式でのお通夜や告別式が見られるようになりました。
なかにはどの宗教にも偏らない、「無宗教葬」も見受けられるようになり、シンプルながら読経などの一切ないプランも、多くの葬儀社が打ち出しています。お墓でも寺院霊園で檀家になる風習から、民間霊園で宗旨宗派に括られないものを好む傾向に…。
このような時代だけに、訃報の案内を受けたらまずは葬儀の形式を聞いておくことも、今後はより大切になってくるのかもしれません。ご遺族本人から連絡を受けた場合には、なかなか聞きにくいこともありますので、葬儀社を確認するのもひとつの方法。
葬儀社に改めて連絡をして、葬儀形式を聞いてみてはいかがでしょうか。より丁寧な準備をして、堂々と参列し、心置きなく故人を偲ぶ時間にしてください。
まとめ
葬儀形式によって違う作法とは
・葬儀形式とは宗旨宗派のこと
・形式によって、礼拝方法も変わる
・表書きも変わるが、「御霊前」が安心
・包む金額は関係性とお付き合いの深さ
・形式によって言葉使いも変わる
・仏教で「成仏」が、神式では「帰天」
・キリスト教では「成仏」が「召天」