葬儀の服装は、いざ準備をする時になると、ちょっとした部分で間違えたり、迷ったりしますよね。社会人になると職場や取引先など、失礼があってはならない葬儀に参列しなければならない機会も増えてきます。
それでも、訃報はいつも急に飛び込んで来るもの。縁起が悪いと思っても、万が一の時に備え、葬儀用の服装を用意しておくことは、社会人のたしなみとも言えるのです。
しかし喪服やそれに合う靴は揃える方が多いものの、実はそれ以外にも用意しておきたい、葬儀用のアイテムとなると、なかなか気がまわらないことも…。訃報を受けてから、「そう言えば…。」と気付くことも多いですよね。
そこで今回は、社会人がぜひ持っておきたい、葬儀の服装に欠かせないアイテムをお伝えします。本記事を参考に準備をしておけば、いざと言う時にも、失礼のない参列ができます。
葬儀の服装を整える。
社会人なら持ちたいアイテムとは
仏教徒ではなくても持っておきたい「数珠」
数珠とは仏式の葬儀で用いられる仏具。もともとは念仏を唱えつつその回数を数えるためのものでした。仏教徒でない限りは、必ず持たなければならないものでもありませんが、日本においては仏式で行われる葬儀は約9割ですから、社会人としては持っておいたほうが良い葬儀用のアイテムのひとつ。
【 葬儀の服装:数珠 】
■ 数珠を扱う際に気をつけたいことは、貸し借りをしないこと。
・ 数珠は、ひとりひとりの身代わりとなるものとされている、とても神聖な仏具です。あまり出番が無いからと言って家族で共用する、というのは大きな間違え。
また、「パワーストーンブレスレットも使えるのでは?」と考える方もいますが、それもNG。あくまでもアクセサリーですから、代用するのは無意味です。
値段は様々ですが、自分が使いやすいと思う数珠を選んで、喪服とともに準備しておくことをおすすめします。
数珠の選び方
実は戸惑う人が多い数珠の選び方。仏教を信仰している人は、その宗派の本式の数珠、特に何も信仰していないなら、略式の数珠を用意すれば大丈夫です。
【 葬儀の服装」男性用と女性用の数珠 】
■ また、数珠には男性用と女性用の区別があります。
・ 男性用の略式の数珠は、主玉の数が22玉や20玉で、虎目石やオニキスを用いたものが多いです。
・ 女性用はさらに繊細な雰囲気の、本水晶やローズクォーツなど、様々な色味のものが好まれています。
数珠の玉の素材や色には制限が特になく、天然石の他にも木の実や木製のものも多いです。今ではネットでも販売しているので、葬儀の服装に合わせた数珠をいろいろ見るのも良いかもしれません。
香典を包む「袱紗(ふくさ)」
袱紗とは、金封(祝儀袋や不祝儀袋など)を包む儀礼用の四角い布のこと。絹やちりめんで仕立てられており、弔事では紺や緑の寒色系のものを用います。
【 葬儀の服装:袱紗 】
■ 紫は慶弔両方に使うことができる、オールマイティな袱紗ですので、これから揃えるのであれば、まずは紫が重宝します。
・ 袱紗は「先方の心中を思い礼節を重んじる」という、気持ちを表す役割と、祝儀袋や不祝儀袋の汚れや水引の崩れを防ぐ、実用的な役割を併せ持っています。
よく不祝儀袋を買った時のビニールのパッケージに、そのまま香典を入れて葬儀会場に持参する方をお見受けしますが、これは実はマナー違反です。社会人としてはぜひ袱紗の意味を考え、使いこなしたいところです。
袱紗(ふくさ)の種類
葬儀の服装を一式揃えるとなれば、売り場に布製の靴やバッグと一緒に、袱紗も置いてあることが多いのですが、いくつか種類があるので、少しここで解説します。
【 葬儀の服装:袱紗の種類 】
■ 本来の袱紗は正方形。金封が外れないように一方の端にとめ爪がついた「爪つき袱紗」と、内側に金封を留める台がついている「台付き袱紗」が基本。
その他、袱紗をたたむ手間を省いた、封筒型の「金封袱紗」も見受けますが、これはお好みで使いやすいものを選んでおくと、何かと便利です。
黒のシンプルなバッグと、サブバッグ
葬儀の服装として持つバッグは、黒無地の布製・シンプルで小ぶりなものが、最も適切。
女性の場合、デザインはハンドバッグ型でもクラッチバッグ型でも構わないのですが、持ち手があった方が何かと便利です。なお黒・シンプル・小ぶりなバッグでも、以下のタイプのバッグはNGとなります。
【 葬儀の服装:NGバッグ 】
・ゴールドなどの目立つ留め金や飾り
・エナメル素材
・爬虫類革やファー製
・ブランド名などの目立つロゴ
・持ち手がチェーン
なお、ショルダーバッグはカジュアルなイメージが強いため、このような席にはあまりふさわしいとは言えません。もしも使うのなら、ショルダーストラップ部分を肩に掛けず結んで持つなどして、持ち方を変えて対応することも…。
サブバッグが必要なことも
また、荷物がどうしてもバッグに収まり切れない場合は、サブバッグが必要になる事も…。これは女性に必須の葬儀の服装準備。
【 葬儀の服装:サブバッグ 】
■ 葬儀の服装としては、黒無地のシンプルな布製が原則。
・ これから葬儀用としてのバッグを揃えるのであれば、メインのバッグとサブバッグがセットになったものが販売されていますので、これを選ぶと安心です。
一方、男性の場合は、香典や数珠、その他財布やハンカチなどの必要なものはすべてスーツのポケットにしまい、手ぶらの状態にするのが、葬儀の服装としてはスマート。
どうしても荷物を持たなければならない場合は、黒のシンプルなセカンドバッグ等を用います。
弔事用のハンカチ
【 葬儀の服装:男性のハンカチ 】
■ 男性の場合、ハンカチは基本的には無地の白・黒・グレーなどの地味な印象のものであればOK。
・ 素材には特に制限はありませんが、「タオルチーフ」のタオルはカジュアルなイメージとなるため、葬儀の席にはおすすめできません。
葬儀の服装に欠かせないもののひとつとして、ハンカチもそれにふさわしいものを一枚準備しておくと安心。
【 葬儀の服装:女性のハンカチ 】
■ 女性の場合は、白の総レースのフォーマル用のハンカチがあると便利です。
・ 白レースであれば葬儀の服装だけでなく慶事にも使うことができますので、1枚あると何かと重宝。白や黒、ダークカラーの無地で、綿製や絹製のハンカチでもOKです。
いかがでしたでしょうか、基本的な葬儀の服装以外のアイテムにも、それぞれ配慮が必要ということが十分おわかりいただけたのではないでしょうか。
これらのものは、間に合わせようと思えば店舗でもネットでも簡単に入手できますが、葬儀の服装には品格があることも大切。そのため慌てて低クオリティのものを買うことのないように、喪服に合わせた質の良いものをそれぞれ、前もって選んでおくと、マナーを弁えた参列ができ、印象も良いはず。
葬儀の服装は故人を悼み、故人に敬意を示すためのものです。黒い服をただまとうだけではなく、このような細かなアイテムにまで気を配ってこそ、はじめてその姿勢が伝わるのです。
本記事を参考にしながら、社会人になったらビジネススーツとともに、葬儀の服装にふさわしいものを揃えてはいかがでしょうか。
まとめ
葬儀で必要なアイテムとは
・数珠は貸し借りは厳禁
・特定の宗派がなければ、略式の数珠で大丈夫
・初めて袱紗を準備するなら、紫色が便利
・いくつかの袱紗の種類があるが、扱いやすいものでOK
・バッグはシンプルで総黒、飾りのない布製のものを選ぶ
・女性はサブバッグもセットで準備すると安心
・葬儀用のハンカチも一緒に準備しておく