通夜での焼香マナー、突然の訃報でも滞りない手順で進められますか?突然の通夜や葬儀、連絡を受けてからは悲しみでいっぱいになってしまうもの。けれども悲しむ間もなく、バタバタとしてしまうことがほとんどのケースです。
通常、亡くなったその日の夜、または翌日の夜に通夜が営まれ、翌日に葬儀が執り行われます(友引は避けます)。また、現在日本での葬儀の大半は「仏式」ですが、他にも「神式」や「キリスト教式」、「無宗教式」などがあり、それによりしきたりは異なります。
慌てず恥を欠かずに、故人とのお別れを惜しみつつも、きちんとできるよう、通夜の意味、焼香の手順や作法について知っておくと安心です。
そこで今回は、日本でもっとも一般的な「仏式」の通夜の流れを基本にしながら、焼香の手順と作法を解説します。
通夜での焼香は大丈夫?
恥を欠かない7つの手順と作法
芳名帳に記帳
通夜へ焼香に訪れた時、まずはじめに行うことは、住所と名前を記帳することです。なかには、香典の金額を記入する芳名帳もあります。
【 通夜の焼香:芳名帳に氏名を記帳 】
■ 受付で芳名帳と引き換えに香典返しがその場で渡される場合や、後日送られてくる場合などさまざまです。
本来、香典は霊前に供えるものなので、お返しをしなければならないものではありません。けれども、忌明けの挨拶状と共に香典返しの品物が送られるのが一般的とされています。
通夜で焼香をする場合の、受付
【 通夜の焼香:受付での挨拶 】
① 深く一礼します。
② 「この度はご愁傷さまです」とお悔やみの言葉を述べます。
③ ふくさから香典を取り出し、相手に向けて両手で渡します。
また、こちらから呼び止めての遺族へのあいさつは控えるようにするのがマナーです。
通夜の焼香の意味と種類
通夜の焼香は香りで霊前を清め、また香りを手向ける意味があります。
【 通夜の焼香の作法 】
・ 仏式の中でも宗派や地域によって回数や作法などが異なることを知っておくと、当日慌てずにすみます。
特に多い宗派や地域により違う通夜の焼香は、一般的な「線香」を使う場合の他、粉末状になった「抹香」を使う場合などが挙げられます。また、祭壇に出て行う場合と《香炉》が回ってくる場合などさまざまです。
通夜で焼香をする順番
通夜の焼香は通夜会場に着いた順番だと考える人々が多くいますが、大まかな順番はあります。
【 通夜で焼香をする順番 】
■ 遺族の焼香→一般の弔問客の焼香の順が基本です。
・ 自分の番が来たら、次の人に軽く会釈をして進み、僧侶や遺族の順に一礼してから通夜の焼香をして下さい。
通夜での焼香の手順:抹香
【 抹香の場合 】
① 祭壇前に進み遺影に向かってゆっくり一礼し、数珠を左手にかけて合掌します。(数珠の房が下にくるようにします。)
② 右手の親指、人差し指、中指の三本で「抹香」をつまみ、頭を垂れぎみにし、目の高さに掲げて黙礼の後、左手を添えて香を静かに香炉へ落とします。
この時、浄土真宗は目の高さにせず、つまんでそのまま香炉に落とします。目の高さに掲げるとき、手の平は陽を表すので手のひらをかえすのはタブーです。
③ ①~②を、1回~3回行います。
回数は宗派や地域により異なり、また、会葬者が多い場合は1回で良いとされています。
④ 最後に祭壇に向かって心を込めて合掌し、少し下がって僧侶、遺族に一礼し席に戻ります。
合掌の際の数珠は両手の親指と人差し指の間にかけます。また、長い数珠の場合は両手の中指にかけて使用します。
通夜での焼香の手順:回し焼香
通夜の形式によっては座りながら通夜の焼香を行う場合があります。簡単ですが、あまり経験しないだけに、突然のことに戸惑う人々も多いので、「回し焼香」と言うものがあることだけでも、知っておくと落ち着いた所作で対応出来ます。
【 通夜での焼香:回し焼香とは 】
■ 席に座ったまま香炉が回ってくるのが、「回し焼香」です。
・ 香炉が回ってきたら軽く会釈し、前項の②を行った後、祭壇に向かって合掌し、香炉を両手で持って次の人へと回します。
通夜での焼香の手順:線香
通夜での焼香が線香の場合には、ほとんどが抹香の手順と同じだと考えておくと、安心です。祭壇前に進むまでの手順や数珠の在り方、通夜での焼香を終えた後の帰り方も、抹香の場合と変わりありません。
【 通夜での焼香:線香 】
① 祭壇の前まで来たら、線香を右手で1本とります。
② ろうそくの火を移して火をつけます。
③ その線香を左手に持ちかえ、右手であおいで火を消して下さい。
④ 再び右手に持ちかえて、香炉にそっと立てます。
香炉に添える時、浄土真宗ならば2~3本に折って香炉に寝かせます。この線香の場合の対応だけが違う点です。火を吹き消すことは、無礼な行為となる為絶対にやめて下さい!
いかがでしたでしょうか。日本で大半の仏式を基本に記してありますが、最近では時代の流れにより個人を偲ぶことに重点が置かれ多様化しています。
本来、通夜は近親者だけが故人に付き添い冥福を祈るものでした。その為、仕事上だけの関係やさほど親しくない関係であれば、葬儀、告別式へ出るのが一般的です。しかし、半通夜が一般的となり葬儀に都合がつかず行けない場合は、通夜だけでも良いとなっています。
また訃報の連絡があったとき、気をつけて確認したい事項がいくつかあります。「誰が、いつ、どこで亡くなったか。」(何故亡くなったかは聞かないようにします)「通夜、葬儀はいつ、どこで行われるのか。」「次に伝言する方を聞く。」「聞けるようであれば宗派をさりげなく聞いておく。」
この4点が出来れば事前に確認しておきたい事項です。特に最後の宗派が確認できていると、慌てずに故人とのお別れができます。本記事を参考に通夜での焼香マナーを把握して、心配することなく、故人を偲んで下さい。
まとめ
突然のお通夜での焼香。失敗しない参列時のマナー
・芳名帳の記入項目はキチンと記入する
・受付ではお悔やみの言葉のみを添え、遺族を呼び止めない
・焼香の回数は宗派によって違う。会葬者が多い場合は1回でOK
・通夜の焼香をするのは、遺族の後に弔問客の順番
・抹香を目の高さに掲げるときは、手のひらを返さない
・通夜では、「回し焼香」があることも知っておく
・火は吹き消さない!!手であおぐこと!