上座と下座に関するマナーは、家族や友達と、会食などで一緒の部屋に入っても、「特に席次とか席順なんて、なーんにも気にしてない。」と言う人々がほとんどですよね。
けれども、年代の違う方や、会社の上司と一緒に部屋に入ったら、「いつもと同じで、なーんにも気にしない!」では恥ずかしいことです。
上座下座の基本を知らないばかりに、知らないうちに相手に対して失礼な対応をしてしまう…。はたまた、そのせいで上司や取引先を怒らせてしまうこともあります。そうなれば、周囲もがっかりしてしまうかもしれません。
怒らせたり、がっかりさせてしまわなくても、「あぁ、この人は上座や下座のマナーも知らない人なんだ」と、レッテルを貼られてしまいます。
それくらい、上座や下座という席次のマナーは大切なもの。社会人になって、マナー不足で恥ずかしい思いはしたくないですよね。そこで今回は、上座下座の基本マナーを、シーンに合わせて細かく解説します。
上座と下座をおさらい☆
円卓や会議、7つのシーンで解説!
応接室での上座と下座のマナーは?
【 応接室での上座と下座 】
★ 応接室での席次マナーは、基本的には奥が上座、入り口に近い場所が下座です。
・ お客様の会社に訪問した場合など、相手があなたよりも年配の方であっても、おもてなしをする側になるので、あなたの方が上座に座ります。
おもてなしする側に上座を進められて、ついつい目上の方なのに!と思ってお断りしてしまう…というのは、マナー違反になりますので注意してください。
★ 本来は下座の席であっても、窓の景色がよく見える等のおもてなしで席をすすめられることもあることも覚えておくと安心です。
会議室での上座と下座は?
会議室での上座・下座のマナーは、応接室に似ていますが違う部分もあるので注意が必要です。基本的に、奥が上座、入り口に近いのが下座というのは同じですが、会議には議長や進行役もいますので、若干違いがあります。
【 会議室での上座と下座 】
★ 議長の席を中心に置き、議長に一番近く入り口から一番遠い席が上座です。
・ 会議室では、年齢だけでなく、役職なども加味して上座か下座かを考えるようにします。
同じ役職でも、より年齢が上の方を上座に通すように席順を決めてください。
車に乗る時の席順・席次のマナー
1台の車に同乗して移動するなどの場合、上座と下座は、「運転手がいる・いない」で判断します。
【 車での上座と下座 】
★ ハイヤーやタクシーなどの運転手がいる場合、一番の上座は運転席の後ろの後部座席です。
・ 後部座席に一番の上座の方に座ってもらうと、出入りをしにくくさせてしまうので、要望があればそれに応じるのがマナーです。
また一番の下座は、運転手の隣である助手席です。運転手がおらず、社内の誰かが運転をする場合には、一番の上座は助手席、一番の下座は後部座席中央の席となります。ケースによって違うので注意が必要です。
新幹線のボックス席での上座下座
【 新幹線のボックス席での、上座と下座 】
★ 新幹線のボックス席に座る時に、一番の上座は進行方向に向かって窓際の席。一番の下座は、進行方向に背を向けた通路側の席です。
・ 3列並んだ席の場合には、窓際・通路側・真ん中の順で上座から下座となっていきます。
長時間の乗車の場合など、トイレや電話等も配慮し、上座=座りたい席ではないということも配慮してください。上座に案内する時に「窓際のお席でよろしいですか?」と一言声を掛けると、相手もより好感を持ってくれます!
飛行機では窓側をまずはすすめて
飛行機に乗る際には、新幹線と同様に上座・下座のマナーだけでなく、長時間快適に過ごすための要望を汲みとって差し上げるのも、大切なおもてなしの心です。
【 飛行機内での上座・下座 】
★ 飛行機での上座は、基本的には窓際です。
・ けれども窓際はトイレ等の出入りの際に気を使ったり、通路側の方が圧迫感がなく過ごせると思う方もいらっしゃいます。
また通路を挟んだ方と打ち合わせがあるなど、上座にこだわらず対応する必要がある場合もあります。快適に過ごしてもらうためには、下座にあたる席に座って頂くというケースもある、と覚えておくと柔軟に対応ができます。
エレベーター案内する上座と下座
【 エレベーター内の上座と下座 】
★ エレベーターでは、扉の正面の奥の場所が一番の上座。そして一番の下座は、操作ボタンの前なのです!
エレベーターに乗る際には、自分が最初に乗り込まず手でドアを押さえて目上の方に乗って頂いてから、最後に自分が乗り込み下座である操作ボタンの前に立つようにするのがスマートです。
★ 目上の方には、何階で降りるのかも確認し、相手が待たないように到着階ではドアの開閉操作をするようにします。
自分が先に降りる時には「失礼します」と声を掛けると、更に好印象になるはずです。
和室での宴席での席次マナー
和室での宴席などでは、どのような集まりかによって上座・下座の位置も変わってきます。
【 宴席(和室)での上座と下座 】
★ 基本的には床の間の真ん前が上座となり、入り口に一番近い席が下座です。
・ 同じグループ内では、最上座の方の向かいの席が2番目の上座になってきます。
でも接待などで、テーブルを挟んで違うグループ同士が向き合う場合には、床の間側の中央が最上座となり、その左右の順番で席につくようにセッティングしてください。
★ 宴会などで無礼講と言われていても、始まりは席次マナーを守って座り、その後状況に応じて移動する、というのが望ましい方法です!
いかがでしたでしょうか。上座・下座の席次のマナーとは、何よりも「相手をおもてなしする」という気持ちで考えると分かりやすいです。席次のマナーで一番大切なのは、相手を思いやる気持ちです。
ただやみくもに上座をすすめるだけ、ということは誰にでも出来ること!でもそれだけでなく、「どうしたら目上の方が気持よく過ごせるか?」「いつもどんな要望をされるのか?」と、相手をおもてなしする心がけがなければ、相手に尊敬の気持ちは伝わりません。
「窓際のお席でよろしいですか?」という一言で、相手の気持ちはきっと大きく変わることと同じですね。
おもてなしの心で相手に接するようにしてみれば、上座・下座への案内は、おのずと行動できるから大丈夫!まずは「どうしたら相手が気持よく過ごせるか」を考えて、最高のおもてなしをしてください!
まとめ
会議室や乗り物、7つの場面での上座と下座
・基本は、最も入り口に遠い場所から上座
・会議室では議長に近く、入り口に遠い場所から上座
・運転手がいるタクシーは、その後ろが上座
・新幹線は進行方向向かって窓際が上座
・相手の要望を聞くのもまたマナー
・毎日乗るエレベーターでは、操作前が下座
・宴席は無礼講でも、まずは上座下座に従って座る