供花を送る時、基本的な礼儀やマナーは知っておかなければなりません。突然の訃報は、気持ちが動揺してしまうものです。そんな時でも冷静に対応して、どう行動するべきかを考える必要があります。
故人と親しい関係だった人は、通夜や葬儀に供花や供物を贈る機会が突然やってきます。急な出来事にも慌てないよう、供花のマナーを知っておくと安心です。
供花の種類には斎場の外に飾られる花輪と、式場内に飾られる生花とがあります。置き場所や式場全体のデザインといった都合もありますので、供花を贈る前には先方の意向を確認することが必要です。
生花は生花店でも贈ることができますが、手早く祭壇のデザインにも合った供花を贈りたいのであれば、葬儀を担当している葬儀社に依頼するのが確実な方法です。予算に合わせて、ふさわしい花を選んでくれます。
今回は供花を注文する前に知っておきたい、知識とマナーをお伝えします。基本的な知識やマナーを知っておけば、急の報らせにも適切に対応することができます。相手に失礼のないように、心を込めた供花を贈ってください。
供花を揃える注文前に。
おさえたい知識と7つの礼儀
供花を注文前に、遺族の意向を確認
供花を贈りたいと思ったら、花を揃える前にまずは遺族の意向を確かめる必要があります。会場の都合によっては置く場所を十分に確保できなかったり、故人の遺志により供花や供物を辞退したりする場合があります。
【 供花を送る前の確認事項 】
■ 案内状などで「供花や供物の辞退」とある場合…。
・ 文面にある意思に倣い、贈るのを控えるようにしてください。
■ 「ご厚意辞退」とある場合…。
・ 供花や供物だけでなく、香典も受け取らないという意思表示です。
最近ではごくごく親近者だけの「家族葬」のスタイルも増えてきて、お返しなどを用意していないケースも多くあります。その場合、お返しの手間が増えてしまうことになりますので、注意してください。
供花を贈ることが決まったら、先方に迷惑がかからないように気を配ることが大切です。
花輪と生花の違いの把握が大切
供花には斎場の外に置かれる花輪と、斎場内に飾られる生花とがあります。
【 花輪と生花の決め方 】
■ 親戚一同や企業のように、団体で贈る場合…、花輪を。
■ 近親者や故人と親しい間柄の人が送る場合…、
・ 個人や数名で贈る際には生花を選ぶケースが一般的に多いです。
生花は白を基調として、キク、ユリ、カーネーションなどの花材がよく使われます。また故人が好きだった花を取り入れるケースもあります。その場合は原色を避けて淡い色合いのものを選ぶようにします。
■ 花輪は貸し花輪で統一されることが多く、葬儀を担当している葬儀社に依頼します。
遅くとも2時間前までには届くように
供花を贈るタイミングですが、あまりギリギリでは会場作りの迷惑になってしまいます。喪主にとって悲しむ間もなく慌しく過ごすお葬式に送る供花では、「送るタイミング」にも迷惑が掛からないよう、マナーがあります。
【 供花を送るタイミング 】
■ 通夜に贈るのであれば、当日の午前中まで。
■ 葬儀に贈るのであれば、前日までに届けるように手配するのが無難です。
・ 遅くとも、葬儀の2時間前までには届くように手配してくださいね。
生花を使った供花は生花店で頼むことができますが、早く確実に届けたいならば葬儀社に頼むようにしましょう。NTTの弔電には「フラワー電報」というサービスがあり、弔電と花を一緒に届けたいと思う方には便利です。
供花の価格帯選びもマナーがある
供花はいくらくらいを目安に送るのが適切か、迷ってしまうものです。はっきりした決まりごとはないのですが、社会的な立場や年齢、個人か連名かによって金額は変わってきます。
【 一般的な供花の金額の目安 】
■ 供花として生花を贈る場合は、1万5千円~2万円ほど。
■ 花輪なら、1万円ほどを目安にします。
基本的には、この価格帯が一般的です。
中部・関西地方で贈られることの多い「しきみ」は1万円、納棺の前に供える枕花は3千円から5千円ほどのものを贈ることが多いです。供物の場合には1万円から2万円くらいのものが選ばれています。あくまでも目安として、参考にしてみてください。
「御供花料」や「御供物料」について知っておく
本来、香典と供花・供物はいずれか一つを贈ればよいとされています。故人と関係が深い人は、品物とお金の両方を贈ってもかまいません。故人との関係を考慮して、先方の負担にならないように気を配る必要があります。
【 「御供花料」と「御供物料」 】
■ 先にお伝えしたように、供花や供物を辞退された場合に、お金を包むことがあります。
・ その際、不祝儀袋に「御供花料」「御供物料」と書いて持参してもよいです。
ちなみに、キリスト教式の場合に使われる香典の表書きは「御花料」となります。似ているので気をつけて、用意してください。
供花に選ぶ花の種類を知ろう
生花は一般的に、白を主体にしつらえるようにします。昔ながらの葬儀ならば、基本的には白い花、キクを用意すると安心です。
【 供花として選ぶ花の種類と色 】
■ 花の種類としては…。
・ 白いキク、ユリ、トルコギキョウ、胡蝶蘭などが使われることが多いです。故人の好きだった花を加えることもあります。
■ 白以外の花の色を選ぶならば…。
・ 淡い色調のピンク、イエロー、ブルーを選ぶのが無難です。
派手な色のもの、例えば赤のような原色は避けるほか、バラのようにトゲのある花も適切ではありません。また注意してほしいのはキリスト教式の場合です。
■ キリスト教では供花は、必ず白の生花を使うという決まりごとがあります。
宗教や地域によるしきたりに気をつけて
供花や供物に関するしきたりは、宗教や地域によって違いがあるので注意が必要です。先にも述べたように、キリスト教式では供花は白い生花のみを用い、供物を贈ることはNGとされています。
【 宗教によるしきたりの違い 】
■ 神式の供え物の場合…。
・ 海産物、酒、和菓子などが供物としてふさわしいですが、香を焚かないので線香を贈るのはNGとされています。
■ 仏式の供物の場合…。
・ 肉類、魚介類、酒がNGとなっています。
中部・関西地方では供花に「しきみ」という植物が用いられています。しきみとはモクレン科の常緑小高木で、香木として知られています。葉や樹皮は線香や抹香の原料として使われることのある植物です。
供花に関する知識や礼儀の数々をお伝えしてきましたが、いかがでしたか。案外知らない知識もあったのではないでしょうか。供花は故人の霊を慰める目的でお供えする花ですので、失礼のないようにくれぐれも注意したいものです。前もって基礎知識をおさえておけば、咄嗟のことにも慌てないですみますね。
供花や供物は故人と送り主との関係によって、式場で並べる順序が決まってきます。これらの花や品物は故人と親しい関係にあった人が贈るものですので、届けても迷惑にならないか、場にふさわしいものであるのかを確認してから用意してください。置く場所が確保できない、葬儀後の扱いに困るといった理由から、辞退されることもある、ということを念頭に置いておきましょう。
冠婚葬祭のマナーは、いざという時にすぐに確認できるようにしておきたいものです。供花のマナーを正しく知って、場に適した失礼のない対応をしてください。
まとめ
供花を送る手配をする時、確認しておきたいマナーや礼儀
・案内状などの詳細で、供花受け入れの遺族の意向を確認
・団体で送るなら花輪を、親近者や個人なら生花を送る
・供花が届くタイミングにも気遣いを。2時間前までには届ける
・生花なら1万5千円~2万円、花輪なら1万円ほどが一般的
・「御供花料」や「御供物料」は、供花の代わりに送る
・供花に選ぶ花は基本的には白いキクやユリなど。色目は淡く
・宗教や地域によるしきたりにそれぞれ違いが。確認しよう