「喪服のマナー・作法は難しい」とよく言われています。確かに、各家庭ごとの考え方による違いや、住んでいる地域による違い、さらに昔と今とでは、喪服に対する考え方が少しずつ変化していることもあって、分からないことがたくさんあって当然といえるでしょう。
しかも、着物を着る習慣はほとんどなくなってきていますので、着物を着るためには何が必要なのか分からない方も多いのではないでしょうか?
しかしながら、弔意を服装で表現することはとても大切なことです。自分ができる範囲で、追悼の気持ちを服装で表すように心がけましょう。
葬儀などの弔事には、黒か地味な色の服装さえして参列すれば大丈夫、と思っている人がいますが、それだけでは、大人のマナーに反する場合も多々あります。
和装で葬儀に参列するときのマナーは?、そして、どのような小物を準備しておいたら良いのでしょう?、今回は、急な葬儀でも慌てないように、喪服で着物を着るときに持っていると便利な小物についてご紹介します。
喪服で着物を着るときに
あると便利な7つの小物☆
着物の付属品
和装の小物としては、帯、帯締め、帯揚げ、長襦袢、足袋などがあります。最近は着物を着る方が少ないので、簡単にご説明します。
帯周りに必要なものが、帯締め(おびじめ)と帯揚げ(おびあげ)です。もしも体型的に、帯締めの長さが足りない場合は、長尺(ちょうじゃく)の帯締めを用意します。
帯揚げと帯締めの色は、以前は白を用いたようですが、現在は黒が一般的です。ただ、地域によっては、白のところもありますので、葬儀の前に確認したほうがよいでしょう。
足袋(たび)は白足袋です。白足袋に刺繍が入ったり色柄の入った足袋は合わせません。必ず何も模様などの入っていない真っ白な足袋を合わせます。
長襦袢(ながじゅばん)は喪服の下に着るものです。色は必ず礼装用の白色となります。なお、急な不幸で喪服を購入することができない時は、貸衣装を利用することができますが、その場合は、これらの付属品も借りることができます。
ただし、足袋などは借りる事はできない場合がほとんどですし、どこまでが含まれるかは、貸衣装屋によって違いますので、内容を確認するようにしましょう。
ハンカチ
黒の装いの中で、取り出すと意外と目立つのがハンカチです。本来、素材や色の約束事はとくにありませんが、できれば、弔事専用の黒いものを揃えておくとよいでしょう。
持っていなければ、白でも構いません。カラフルな柄は避けるようにしましょう。なお、ポケットティッシュも持って行ったほうが何かと役に立ちます。
ティッシュは、色や柄があっても、特に問題はありません。そこまで気にする必要はないでしょう。和装ではポケットがありません。しかし着物には袂(お袖)があります。
この袂が洋装でいうポケットと同じ役目をしてくれますので、大変便利です。ハンカチやティッシュ、数珠などは、すぐに取り出せるように、袂に入れておきましょう。
ここでアドバイス!ハンカチの間に、ティッシュを挟んで袂に入れておきましょう。葬儀では、故人を想い出して涙が出てしまうものです。そのときに、ティッシュをビニールから出すと、ガサガサと物音を立ててしまいます。
そのようなことがないように、事前に用意しておくと、周囲に迷惑をかけずに済むので安心ですよ。
風呂敷
遺族・親戚の立場になると、何かと荷物が多くなることも考えられます。寒色系で大きめの風呂敷を1枚準備しておくと便利です。
風呂敷ですと、たたんで持ち歩けば場所もとりませんし、邪魔にもなりません。また、風呂敷を持っていると、袱紗の代わりにもなりますので便利です。
不祝儀袋を剥き出しで持参するよりも、風呂敷に包んだほうが、ずっと格好がつくのではないでしょうか。
ところで、風呂敷の色柄には意味があることをご存知でしょうか?例えば、改まった場では、家紋や花鳥風月を題材とする日本独自の文様を用います。
白や黒・グレーなどの無彩色は弔事用とされます。仏事を表す蓮の花の文様や無地の物を選びましょう。最近は、風呂敷の素材が、天然繊維か化学繊維でできているものが多くなりました。
しかし、冠婚葬祭で使う風呂敷は、やはり、光沢があって高級感のある絹がよいでしょう。見栄えがしますし、改まって印象を与えます。
サブバッグ
弔事用のバッグは小さめに作られていることが多いので、それとは別に、サブバッグを準備しておきましょう。
手提げ袋になっているサブバックは、和装洋装のどちらのデザインにもあわせやすいので、気軽に持ち歩くことができてとても便利です。弔辞用のバッグと同様に、黒で、光沢のないものを選びましょう。
レースやリボンなどの飾りがついていても、さりげないアクセント程度であれば大丈夫ですが、スパンコールなど華やかなものはNGです。シンプルなデザインのものを選びましょう。
そのほうが、流行などがなく、飽きずに長く使うことができます。弔事用のバッグは、。折り畳みの傘が入らなかったり、財布さえも入らないなど、実用性に乏しいものがほとんどです。
悲しみの席では何かと荷物が多くなりますから、黒いトートバッグやエコバッグのようなフォーマルシーンにふさわしいものをサブバッグとして準備しておくと便利です。
袱紗(ふくさ)
葬儀や通夜に香典を持って行く時、何に包んでいかれますか?大人のマナーとして香典は袱紗(ふくさ)に包むんで持参するものとされています。
現在は、財布型のふくさもあって、入れて出すだけなので、難しくはありません。弔事で使うふくさは紺色、グレーなど地味なものが一般的で、黒でなくても大丈夫です。
紫色の袱紗は、おめでたい席でも使えますし、男性も女性も使えるので、夫婦で兼用できます。1つ持っておくと重宝します。
なお、財布型になっていない袱紗に、香典を包む場合は、中央に置いた香典袋の右・下・上・左の順にふくさを折ります。
結婚式で祝儀袋を包む場合は、この逆で、左・上・下・右の順になります。失礼にあたらにあように注意しましょう。
また、ふくさから香典を出す時に、受付の方の目の前で、ふくさから香典を出すのは失礼な感じがするかもしれませんが、決してそうではありません。
これが、香典を差し出す正しい方法とされていますので、安心して下さい。
数珠(念珠)
仏教徒の場合は数珠(宗派によっては念珠といいます)を持参するのが作法です。数珠は、お葬式や法事、お墓参りの時に手にする最も身近な仏具です。
常にこれを持って仏さまに手を合わせれば、煩悩が消滅し、功徳を得られるといわれています。とても大切なものですから、 ポケットやバッグに無造作に入れず、数珠袋に入れるか、持っていなければ、ハンカチなどに包んで持参します。
数珠は、数珠袋と一緒に前もって用意しておくと重宝します。数珠の大きさは、男性用、女性用で違いがあります。女性用は水晶のほかローズクォーツ(紅水晶)やメノウ、ヒスイなど、さまざまな種類があります。
お値段は、「天然石や菩提樹の実」に、「正絹の房」がついた高級なものから、比較的手ごろなお値段の、プラスチックやガラス製のものなど、千差万別です。
どれが正式な物ということはありませんが、高級なものはやはり長持ちするようです。自分の予算に見合うものを選びましょう。
季節もの
冬や寒い日は、喪服の上にコートなどの何か羽織るものが必要です。コートの色は寒色系にします。なるべく地味なものを選びましょう。
ウール地&ロングコートを推奨するマナー本も多いのですが、葬儀の現場では必ずしもクロークがあるとは限りません。
その場合は自分で持って管理をしなくてはいけないので、持ったり置いたりしたときに邪魔にならないものという基準で選んでも良いでしょう。毛皮はNG。スポーティすぎるジャンパーも遠慮したほうが無難です。
また、夏の暑い日は、扇子を持っていくと重宝します、広いお寺ですと、クーラーがなく、扇風機だけのお寺もあります。
さらに、喪服は、肌を見せないようにするために、男性は長袖ですし、女性も7分丈など、通常の半そでよりは袖丈が長くなっています。
扇子を使うなどして、暑さで具合が悪くならないように、自分で体調管理をすることも大切です。格調高く装うには、扇子も黒で統一するようにしましょう。
いかがでしたでしょうか。
喪服で着物を着るときにあると便利な小物についてお分かりいただけましたでしょうか。弔辞の装いに必要なことは、飾り立てることではなく、きちんとした印象や慎み深さです。バッグなどの小物は、専用のものをそろえましょう。
仏事では必要以上に飾り立てること無く、どこかにポイントを置いた慎み深い装いが大切です。
最低限用意しておきたいのもとして、ハンカチやサブバック、数珠、袱紗などがあげられます。そのほかにも、お手伝いのときに必要な、弔辞用の黒いエプロンや、黒のひざ掛けなどを用意しておくと役立つでしょう。
急な訃報に慌てることのないように、必要なものはある程度揃えておきましょう。
まとめ
喪服で着物を着るときにあると便利な7つの小物☆
・着物の付属品
・ハンカチ
・風呂敷
・サブバッグ
・袱紗(ふくさ)
・数珠(念珠)
・季節もの