葬儀に参列することになった時は、誰でもきちんとしたマナーで出席したいものですよね。しかし、なかなか何度も経験することのない式典ですから、いざ出席するという場面で、マナーを完璧にしたいと考えても、何が正しいかわからずに不安になることもあります。失礼の無い服装や準備物もそうですが、お焼香の回数が分からず周りをきょろきょろして様子を伺っているようでは、スマートな社会人とはいえません。
そこで今回は、葬儀参列の基本マナー。準備するものから焼香までと題して基本的な葬儀のマナーをお伝えします。故人を偲ぶ大切な場面ですので、落ち着いた気持ちで参列できるように、ここで葬儀のマナーをきちんと押さえておきましょう。
葬儀参列の基本マナー。
準備するものから焼香まで
参列する葬儀の宗派や宗旨に沿った準備を行う
日本で行われる葬儀の9割近くが仏式と言われていますが、キリスト教や神道の葬儀に参列するという場面もあるかもしれません。また、同じ仏教であっても宗派の違いで手順が違ってくる場合もあります。訃報は突然に訪れますが、可能であれば宗教や宗派の確認を取るようにしましょう。
仏教で使用する数珠は、神道やキリスト教では使用しません。不祝儀袋の表書きも仏教では『御霊前』『御香典』であるのに対し、神道では『御神前』、『御玉串料』とします。キリスト教では『御花料』や『忌慰料(※プロテスタントのみ)』です。お焼香も仏教のみで、神道では玉串奉奠(たまぐしほうてん)、キリスト教では献花になりますから、参列した場で慌てないよう、葬儀のマナーとして覚えておきましょう。
服装は宗派を問わずブラックフォーマルを着用する
葬儀に出席する際の服装マナーは、どの宗教宗派でもブラックフォーマルの着用で問題はありません。光沢の無い漆黒のスーツやドレスを着用し、女性はストッキングも黒色にします。結婚指輪や婚約指輪以外の華美な装飾品は避け、小物類も黒で統一します。葬儀の際女性が身に着けることを許されるアクセサリーに真珠がありますが、ネックレスの場合は不幸連鎖を連想する重複したでデザインを避け、一連のシンプルなものを選ぶのが葬儀参列時のマナーです。
海外のドラマや映画を見ると、キリスト教式の葬儀に参列している女性が帽子とベールを被っている姿が見られます。これは、カトリック式の葬儀におけるカトリックの信者である女性の正装ですので、信者ではない場合は帽子やベールを被る必要はありません。
もし、お子様も葬儀に参列される場合、制服のある学校でしたら制服がお子様の正装になります。制服がない場合は喪服に準ずるような黒い服装で参列させましょう。
準備する不祝儀袋は表書き以外にデザインにも注意する
冒頭にお伝えしたように宗教によって表書きの異なる不祝儀袋ですが、実はそのデザインも宗教によって異なります。仏教では無地か、蓮の花が描かれたデザインの不祝儀袋を使用します。神道では無地の不祝儀袋です。キリスト教の不祝儀袋は、同じく無地にするか、ユリの花が描かれたものを使用します。蓮の花はお釈迦様の台座の花としても知られる仏教の象徴的な花ですし、ユリの花はキリスト教において聖母マリアの象徴、もしくは復活の象徴とされています。
このように、宗派準じたデザインの不祝儀袋を選ぶことが葬儀のマナーとしてとても大切ですが、どうしても準備できない、宗教が分からないということであれば、無地の不祝儀袋を選ぶようにしましょう。
香典は袱紗(ふくさ)に包み、受付で渡す
どのような宗教、宗派の葬儀であっても、香典をそのまま持参するのはマナー違反です。必ず袱紗に包んだ状態で持参し、受付で渡すようにしましょう。渡す際にお悔やみの言葉を述べ、『御霊前にお供えください』と添えて渡します。すでに通夜の席で渡していた場合は、『昨晩も参りました』と伝えて記帳のみ済ますようにします。
折角袱紗に包んできても、受付待ちの間に袱紗から取り出してしまうのは葬儀参列のマナーとして不適切です。必ず自分の順番になってから取り出し、お渡ししましょう。
焼香の前に礼を忘れず。回数は1~3回の範囲で行う
仏教のお葬式で行われる焼香ですが、宗派によりその回数や作法に違いがあります。しかし、葬儀に参列している人が皆同じ宗派とは限りませんので、回数は1~3回の範囲で行えば充分とされています。焼香の回数よりも、焼香の前に僧侶、ご遺族、そして故人の遺影に順に一礼することが葬儀のマナーとしては重要です。ご遺影の前で合掌を終えたら、数珠を左手に持ち、右手の親指、人差し指、中指の3本で抹香をつまんで目の高さにあげ、香炉の中へ静かに落としましょう。
キリスト教や神道の葬儀で焼香の代わりに行われるのが献花や玉串奉奠です。献花の場合、右手のひらを上にして花弁側を持ちます。献花の際は、そのまま時計回りに回転させ、根元が祭壇へ向くようにして献花台へ置きましょう。そしてそのまま、静かに黙祷します。
神道では、右手で包むように玉串の根元側を持ちます。時計回りに回して根元を自分側にした後、根元を左手に持ちかえ、更に半回転させて根元を祭壇に向けて置きます。その後、忍手といって、音を鳴らさない柏手を2回打ち、祭壇へ一礼します。玉串の根元を祭壇に向けるのは献花と同じですが、玉串奉奠は途中で左右の手を持ち帰る点が異なることを神道の葬儀マナーとして知っておきましょう。
全ての宗教、宗派において、祭壇への一礼は必要です。手順という葬儀マナーももちろん大切ですが、故人への哀悼の意を示すためにも、一礼は必ず行いましょう。
いかがでしたか。葬儀のマナーは宗教や宗派によって細かく決められたものが確かに存在していますが、共通して言えることは故人への思いを遺族に示すための礼を尽くすということです。事前にきちんと葬儀に参列するために必要なマナーを確認し、会場では作法の事ばかりに気を取られるのではなく、亡くなった方のこと、ご遺族の事に思いを馳せることができれば素晴らしいですよね。
急なご不幸でも、心づもりのできた別れであっても、大切な人を亡くしたご遺族の気持ちは察するに余りあります。故人を偲び、お別れをする場である葬儀に参列するのであれば、最低限の礼節をもって、最後のお別れができるように、日頃から知識として葬儀のマナーは心得ておきたいですね。
まとめ
葬儀参列の基本マナーは
・参列する葬儀が仏式かそれ以外かを下調べしておく
・服装はブラックフォーマルが必至!二連のパールネックレスはNG
・不祝儀袋に使用されるデザインは宗教ごとに異なるので注意する
・香典は袱紗(ふくさ)に包んで準備する
・焼香の前には一礼を忘れずに!回数は1~3回でOK