お悔やみ状は、訃報の連絡を受けたにも関わらず、通夜や告別式などのお葬式に行けない時に喪主に贈る挨拶状です。
通常は訃報の知らせを喪主や遺族から頂いたらお葬式に足を運ぶのがマナーですが、不幸の知らせは突然受けることが多いですから、仕事ややむを得ない事情で行けない場合もありますよね。そのため、お悔やみ状はお葬式に足を運べないお詫びも兼ねていますから失礼があってはいけません。言葉の言い回しや使用する単語など、細かい部分にも細心の注意を払わなくてはいけないのです。とはいえ、お悔やみ状を書く機会はあまりありませんから、文例があれば便利です。
そこで、お悔やみ状で失礼がないように知っておきたい言い回しを送り先別に文例形式でお伝えします。
季節の挨拶は不要
かしこまった手紙を欠く時には季節に応じて時候の挨拶を手紙の最初に書きますよね。1月なら「例年より寒さが身にこたえるおります」や8月の暑い時期なら「立秋が過ぎても暑い日が続いておりますがお身体はいかがでしょうか」などの文章です。
しかし、お悔やみ状には時候の挨拶を使いません。訃報を受けてまずは何よりお悔やみの言葉を相手に贈るのが礼儀だからです。「拝啓」などの言葉も使わず、単刀直入に「この度は〇〇様のご逝去のお知らせを受け、心からお悔やみ申し上げます」と書き始めるのが一般的です。
近しい間柄で故人の訃報が突然だった場合には「〇〇様の突然の訃報に驚いております」などと、突然の訃報にショックを受けているという気持ちを表すケースもあります。
夫を亡くした奥様へ
お悔やみ状を贈る相手がご主人を亡くされた奥様の場合、気遣いの言葉を入れましょう。特にまだ小さい子供がいる奥様の場合には、一家の大黒柱であるご主人を亡くしてしまったら心細い時間を過ごしています。精神的にも経済的にも夫を亡くししますと生活は一変するからです。
そんな時のお悔やみ状には
「ご主人を亡くされて、奥様をはじめとしたご家族の皆様はさぞかしお心細いでしょう」
「私でできることがありましたらいつでもおっしゃってください」
などと相手に寄り添った文を入れると、相手は励まされます。
遠方の相手へ
仕事の都合で遠方にいるためにお葬式にいけなかったり、上京した後で地元の知り合いが亡くなった場合など、お葬式会場が遠くて足を運べないケースには、遠方にいる喪主に対して体を気遣う文章を入れましょう。家族を亡くすと精神的なストレスから健康にも支障をきたすことがあります。
そんなご遺族の方には、お悔やみ状の文末に
「本来であれば直接弔問にお伺いしたいところですが、遠方につき略儀ながら書中にてお悔やみを申し上げます」
「どうかお身体をお大事になさってください」
と一言添えると相手の心が救われます。
最近故人に会った場合
もし入院中にお見舞いに行った相手が亡くなったり、1年に一度くらいの頻度で会っていた人が亡くなったら、最後に会った時の事を思い出しますよね。特に最後に会った時に故人が元気だった場合は驚きもひとしおです。そんな時のお悔やみ状には最後に会った時のエピソードを入れましょう。
お悔やみの言葉を書いた後に
「最後に病院でお会いした時にはお元気そうなご様子だったので大変驚いております」
「年末にお会いした時には元気にお酒を酌み交わし、朝まで語り合うほど、お元気そうでしたから大変驚いております」
と正直な気持ちを書いたり、ちょっとしたエピソードを添えるとよいです。
直接面識のないご遺族へ
友人が亡くなった時にそのご遺族にお悔やみ状を送る場合には、ぜひ故人の生前のエピソードを入れましょう。家族と言えども、仕事をしている時の姿や友人と接する時の姿はあまり知らないものです。ですから、ご遺族の方々が知らないであろう故人のエピソードでお人柄をたたえ、ご逝去を悼むのです。
「お父様はいつも部下の相談に親身になってくださるご立派な方でした。さぞかし、ご家庭でも頼りになるお父様だったのだと思います」
「〇〇さんは部活の中でも中心的な存在でいつもまとめ役をしてくださいました」
などと、故人のエピソードを書くのです。
これらのエピソードを入れることで、お悔やみ状を受け取ったご遺族は差出人と故人との関係性を理解することができますし、形式ばったお悔やみ状よりも貴重なものになります。
さて、お悔やみ状は言葉や言い回しに失礼がないように気を付けなくてはいけないものですが、心を込めた自分なりの内容にすることが大切です。あまりに形式的な内容だと、受け取ったご遺族からしても「気持ちがこもっていないな」と感じますが、自分ならではの文章を入れることでいくらか心が救われることもあるためです。
故人の生前の姿を書くことで「お父さんってこんなに立派な人だったんだ」、「明るくて周りを元気にさせてくれる存在だったのね」などと、ご遺族からしても貴重なお悔やみ状になるのです。また、故人の訃報に悲しみに暮れているという自分の正直な気持ちを書いたり、相手の気持ちに寄り添う言葉を入れるのもおすすめです。
最後に、お悔やみ状はお葬式に本来行くべきところを行けないために贈る書状だという事を念頭に入れて、お詫びの言葉を必ず入れ忘れないように注意をしましょう。
まとめ
ケース別のお悔やみ状マナーと書き方は
・冒頭には季節の挨拶を入れずにお悔やみの言葉を述べる
・夫を亡くした奥さんには気遣いの言葉を入れる
・遠方の相手には健康を気遣う言葉を入れる
・見舞った相手には最後に会った時のエピソードを添える
・友人に宛てる時は生前のエピソードも入れる