葬儀などに持参する「香典」。または「香料」とも言われますが、なぜ「香」という字が使われているのか知っていますか?「香」とは、線香や花の代わりの金品のことを指しています。
すなわち「香典」とは、霊前にお供えするものであると同時に、金品を送ることで、ご不幸による出費に対する助け合いという意味も込められているのです。通常、「香典袋(不祝儀袋)」に入れて、通夜や告別式で渡します。
「香典返し」とは、「香典」を受け取った遺族がお礼として贈る「お返し」のことです。香典返しマナーは地域によって異なる習慣があったりするなど、少し難しそうに感じるかもしれませんが、きちんと要点を押さえておけば大丈夫です。ひとつひとつ手順を追って、失礼のないように用意していきましょう。
香典返しマナーと知識☆
失礼の無いように覚えておきたい事
香典返しをする時期
故人に対する弔事が一段落したことを報告する上でも、忌明けの後にお渡しするのが通常です。忌明けとは、故人の冥福を祈り喪に服す期間を終える日です。宗教によって異なりますが、仏式は七七日忌(四十九日)、神式は50日目の霊前祭(50日祭)です。
キリスト教に香典返しの習慣はありませんが、日本人の場合、日本の習慣に合わせて行う場合もあります。その際は、カトリックでは30日目の追悼ミサ、プロテスタントでは1ヶ月後の召天記念会が仏式で言うところの忌明けに当たります。
お返しをする相手
香典をもらった方へお礼の気持ちを込めて、お返しするのがマナーです。香典をもらった方の名前と金額は、必ず名簿に残すようにしましょう。現代では、葬儀会社の手伝いもあり、参列者用の記帳台が設けられていることがほとんどです。これを名簿代わりとします。また、葬儀の後で香典をもらった方も忘れずに名簿に追加するようにしましょう。
香典返しの相場
相場は、地域や故人との関係によっても異なりますが、一般的には「半返し」と言って、もらった金額の半額をお返しするようにします。しかし、一家の大黒柱が亡くなった場合は、三分の一返しでもよいとされます。そのため、名簿と金額の記録がとても大切なのです。また、葬儀当日にお返しする「即返し」「当日返し」という方法が最近は多くなっています。その場合は、もらった金額に関わらず同一のものをお渡しします。
お返しで贈るもの
宅配で送る場合が多いため、タオルなどの配送中に破損しにくいものを選ぶようにします。また、受け取った側が好きなものを選べるカタログギフトもよいでしょう。カタログギフトには金額別に種類分けがされています。
ある程度受け取った金額の幅に合わせて用意すると、大人数へのお返しもスムーズに行えます。また、弔事用熨斗紙(のし紙・掛け紙)をかけるのがマナーです。水引きは「黒白結び切り」が一般的ですが、関西地方や一部の西日本などでは「黄白」を用います。
表書きには「志」と記し、水引の下に喪主や送り主の名字のみを記入します。表書きは宗教によって異なります。持参して手渡しする場合には外のし、宅配時は内のしと使い分ける場合が多いです。
礼状を同封する
香典返しは、品物だけではなく礼状も添えるようにします。内容は、香典を頂戴したことへのお礼、法要を終えたことの報告、故人との生前のお付き合いへのお礼です。
書き方は、「拝啓/敬具」「謹啓/謹白」といった頭語/結語を使用し、「ますます」というような繰り返し言葉や句読点は使わないようにします。季節の挨拶も不要です。故人との関係に合わせて内容を変えることをおすすめします。あくまで、「故人に代わって」挨拶するものですので、礼儀を欠かないように気をつけます。
香典返しを辞退された場合
たとえ香典返しを辞退されたとしても、お返しするのがマナーです。しかし、職場のルールや公職に就く立場の方だと受け取れない場合があります。相手の考えや状況をよく考え、個別に対応することが大切です。香典返しをしないということになったら、お手紙を差し上げたり会食の場を設けるのも方法です。また、香典返しと言う名ではなく、もっとカジュアルな贈り物を用意する方法もあります。
高額な香典をもらった場合のお返し
基本のお返しのルールは、半返しや三分の一返しです。当日返しをしてしまった場合は、もらった分から当日返しをした分を差し引いた分をお返しします。しかし、高額な香典を包んでくれた理由を考えることが必要です。
もし、幼い子供を残して亡くなられた場合、経済的の支援としての金額の場合があります。その場合に半返しをしてしまうと、せっかくの気持ちに水を差す形になってしまいます。香典返しの金額ではなく、今後まめに挨拶をしたり時に触れ近況を報告したりすることが、本当の意味でのお返しになるのではないでしょうか。相手の気持ちを尊重した対応を心がけましょう。
いかがでしたでしょうか。
香典返しには様々なルールがありますが、故人のために香典を用意してくれた方への感謝の気持ちを込めれば、失敗することはありません。お返しをする時期や何を用意するかをひとつひとつ丁寧に確認しながら進めていきましょう。
地域独特の慣習があることも想定されます。分からないことや一人では荷が重いようなことは、葬儀会社さんや年長の親族の人にアドバイスを受けるようにしましう。
また、葬儀から各法要、その他雑多なこともとても多く、ずっと気を張り詰めている状態というのが正直なところだとは思います。しかし香典返しは故人に代わって生前お世話になった旨を表すものです。故人の名誉に傷をつけるようなことにならないよう、お返しをするところまで心を込めて勤めることが大切ですね。
まとめ
香典返しマナーと知識☆失礼の無いように覚えておきたい事
・香典返しをする時期
・お返しをする相手
・香典返しの相場
・お返しで贈るもの
・礼状を同封する
・香典返しを辞退された場合
・高額な香典をもらった場合