日本人ならば、初詣や七五三などの節目の行事の他、旅先などでも神社を訪れる方が多いものですが、いざ着いてみると、お参りの作法に戸惑うこともありますよね。
神道も仏教も古くから私たちのすぐそばにあり、神社やお寺には一生のうちに何度も訪れますが、私たちはお参りの作法を勉強することはありません。だからと言って適当にお賽銭をして手を合わせる、というわけにもいきません。
日本における神道では、信仰心も重要視される一方で、神社を訪れる際の作法は、どこか人間同士のマナーと通ずるところもあります。ですから、知っておいて損はありません。
近年では、海外の方でも日本の神社やお寺に興味を持つ人が増えてきました。もし、神社で海外の方にお参りの作法を聞かれることがあって、スマートに答えられたら日本人としてとても素敵ですよね。
そこで今回は、海外の人にもわかりやすい神社のお参りの作法についてお伝えします。
拝殿の前までに行うことを知っておこう
神社は、拝殿だけでなく鳥居によって区切られる空間そのものが一般社会と区別される神域と考えられています。
ですから、神社に着いたら、きちんと鳥居をくぐっていくこともお参りの大切な作法です。おうちの門や玄関などと思うとよいでしょう。脇を回って境内に入らないようにします。くぐる時に軽く一礼をすると、より丁寧です。
また参道を歩く時は、神様の通り道とされている中央を避けて歩きます。
入手水舎で心身を清めよう
神社に入るとまず入手水舎がありますが、ここにもお参りの作法があります。
まず、右手で水をすくって左手にかけ、持ち替えて右手にかけます。
再度持ち替え、左手ですくった水で口をすすぎます。柄杓に直接口をつけてはいけません。
もう一度左手に水をかけます。
最後に柄杓を立てて、入っている水を柄の部分につたわせて柄杓を清めます。
手順が多いようですが、やってみるとわかるように、水に触れた後、水で清めていない部分に触れてしまったところを再度清めるために繰り返す行為があります。
あくまで心身を清めることが目的ですので、両手をこすりあわせて洗う必要はありません。ガラガラうがいも必要はありません。ぶくぶくと静かに口をゆすぎましょう。
拝殿での作法を確認しよう
賽銭箱の前に立ったら、突然お賽銭をせずに、まずは一礼をします。お賽銭はその後に入れます。
鈴があれば鈴を鳴らします。
お賽銭と鈴の順番で悩むところですが、厳格な決まりはないです。歴史の古さゆえに諸説ありますが、お賽銭は供物、鈴は参拝者を祓い清めるという意味が強いようですので、それを知っておいても良いでしょう。
拝礼をしよう
神社のお参りの作法としては、最も有名な部分です。二礼二拍手一礼として覚えている方が多いでしょう。
まず、ゆっくり深く二回礼をします。混んでいても急がずに、きちんと気持ちを込めてお辞儀をしましょう。
次に二拍手をします。両手を胸の高さで合わせ、肩幅程度まで大きく開いてしっかりと拍手をします。
ここで、両手を合わせたまま心を込めてお祈りをします。
最後にもう一度深い礼をして、さがります。
願のかけ方も知っておこう
初めて願をかけるときには、自分の名前、住所を心の中で述べてから、願い事を伝えます。
私達の生活でも、初めてあった人同士であれば、簡単にでも自己紹介をしますよね。まして人間よりも上の存在である神社の神様にお願い事をするのであれば、なおさら丁寧にあいさつをするのがお参りの作法と考えるとよいでしょう。
さて、前述したように、神社のお参り、つまり拝礼は作法であり、ルールではありません。地域によって、知り合いの家にお邪魔する際の手土産事情や挨拶事情が異なるように、地域や神社によってお参りの作法が少しずつ違うこともあります。神社によっては、拝礼の手順を示しているところもありますので、その場合はそれに従いましょう。
しかし、手順を少し間違えたからといって、敬意を示していないことにはなりません。
日本の神道における神様は、海外の唯一神とはとらえ方そのものが異なります。全知全能の唯一神とは異なり、日本には八百万の神様がいます。自然も、亡くなった人も神として崇められることがあります。
拝礼は、その神様に挨拶をするという感じです。普段生活する中で出会う目上の方々の、さらに上の上の存在、と考えるとよいでしょう。
ですから、手の届かない存在ではあるものの、一般社会での礼儀をさらに丁寧なものにしたと考えるのが良いのです。
海外に由来する仏教とは異なり、神道は完全に日本独自の文化ですから、神社のお参りの作法について自信を持って伝えられるとかっこよいですね。
まとめ
海外の人に神社のお参りの作法をわかりやすく伝えるなら
・拝殿の前までに行うことを知っておこう
・入手水舎で心身を清めよう
・拝殿での作法を確認しよう
・拝礼をしよう
・願のかけ方も知っておこう