弔辞を述べる時。準備前に確認したい構成と7つの例文

弔辞を述べる時。準備前に確認したい構成と7つの例文
弔辞を頼まれることは、故人の功績をよく知る立場の方や、人となりを語ることのできる方に依頼されることを考えると、実はとても名誉なことですよね。遺族からの信頼の証でもあるので、快く引き受けるのがマナーです。

しかし、それが初めての経験だとしたら、どのような事をどういう形式で語ればよいのか、迷う方々も多いはず。でも、さほど問題に思う必要はありません。弔事には一定の形式があるからです。

ただ、確かにその構成に沿って原稿を作成すれば問題はないのですが、読み上げるのは一回限り。できるだけしっかりと準備をしておきたいですよね。そこで今回は、弔辞の構成や例文を、7つの項目に分けてお伝えします。

弔辞は故人へ語りかけるもの。本記事でお伝えする例文と、基本構成を確認しつつ、自分の言葉も交えて、心を込めた弔辞を述べてください。

 

弔辞を述べる時。
準備前に確認したい構成と7つの例文

 

「謹んで〇〇さんの御霊前に申し上げます」

弔辞は故人の霊前に向かい「二人称」で語りかける形をとるのが通例。全体で3分ほどの長さになるように読み上げてください。文字数にすると400字詰め原稿用紙3枚以内。文章の構成は以下のようなものになります。

【 弔辞、文章の構成 】

① 語り出し

② 故人の人柄や功績など

③ 残されたものとしての、現在の心境

④ 結びの言葉(お別れの言葉)

例文を参考にせず、オリジナルで文章を作る場合でも、この構成に従って作ることで、マナーに則ったまとまりのある弔辞になるはずです。

弔辞の語り出し

それでは、まずは語りだしについてお話します。「謹んで〇〇さんの御霊前に申し上げます」というのはフォーマルな語り出し。その他にも神教の葬儀など、その時々の状況によって、いくつかの例文から選ぶと安心です。

【 弔辞の語りだし、例文 】

・「〇〇さんの御霊(みたま)にお別れのご挨拶を申し上げます」

・「〇〇さんに、お別れの言葉を申し上げます」

…などがあります。

また、「△△でございます。友人といたしまして謹んで…」という語り出しでも構いません。

 

「訃報がいまだに信じられません」

語り出しの言葉に続いて、「訃報を知った時の驚きや悲しみ」を述べるのですが、故人と親しい仲である場合などでは、語り出しを省略してここから始まることも…。

例えば、「〇〇さん、あなたの訃報がいまだに信じられません」といった「故人への呼びかけ」から入っても可です。他にも、このような場合の文例はいくつかあります。

【 弔辞の語り出しを省略 】

・「〇〇さん、職場であなたの突然の訃報に触れ、その日はどのように自宅に帰り着いたか、まるで覚えていないのです」

・「〇〇さん、お返事がないのを知りながら、このように呼びかけるのは、あまりにも悲しいことです」

…この部分は思ったことを素直に、自分の言葉で綴るだけで多くの方々に響くものになるのではないでしょうか。

 

弔辞で、エピソードなどを述べる

語り出しの後には、故人の人柄や功績などを語る「本文1」が入ります。

友人に対しての弔辞であれば、どこでどのように知り合い、故人のどのような人柄に感銘を受けたかを語り、先輩や上司・恩師など目上の方に対しての弔辞なら、どこでどのような恩を受けたかなどを語ってください。

この部分はぜひエピソードを交えつつ、あなたらしい言葉で構成したいもの。ただし、あまり盛り沢山な内容では長くなってしまいます。エピソードはひとつにとどめて「故人の人となり」を語るようにしてください。

【 弔辞での、故人のエピソード例文 】

・ 「あなたとは高校に入学してすぐ、吹奏楽部で知り合いましたね。

同じトランペットを担当することになりましたが、私が初めて楽器を吹くのに対し、あなたは中学校から既にトランペットを吹いていました。

なかなか音すら出すこともできず悩んでいた私に対し、あなたはいつも親身になって遅くまで特訓に付き合ってくれましたね。

あの時からずっとあなたのやさしさが、常に私を助けてくれたように感じています」

 

「見守っていてください」

エピソードや人柄を語り終えた後には、残されたものとしての現在の心境が入ります。今後の自分の決意や、故人への感謝や敬意を示す言葉で構成してください。

【 弔辞で、現在の心境を語る 】

・ 「あなたのいない世界などまだ信じたくありませんが、これからはあなたが安心できるように生きていきたいと思います。

どうかそちらで見守っていてください

これまで本当にありがとうございました」

 

「どうか安らかにお休みください」

最後は故人へのお別れの言葉を述べて、弔辞を結んでください。例えば、「〇〇さん、どうか安らかにお休みください」の他、以下のような締めくくり方があります。

【 弔辞での締めくくり 】

・「○○さん、あなたのご冥福を祈りお別れの言葉といたします」

・「どうか安らかにお眠りください。〇〇さん、さようなら」

・「あなたのことは決して忘れません。どうか天国で安らかにお休みください

・「〇〇さんの御霊が安らかであるようにお祈りいたします」

 

弔事での注意事項は押える

弔辞を読む時に必ず気をつけたいのが、忌み言葉を使っていないか、ということ。忌み言葉を避けることは、これ以上不幸なことがないように、と願う心に通じていますので、原稿の段階で必ずチェックしてください。

忌み言葉には様々なものがありますので、以下にその例を示します。

【 弔事で使ってはいけない、忌み言葉 】

・ 重ね言葉(いよいよ・たびたび・ますます・次々・皆々様、など)

・ 続くことを連想させる言葉(続く・再び・追って、など)

・ 直接的な表現(死ぬ・ご存命中、など)
※ それぞれ「ご逝去」「ご生前」「お元気な頃」などに言い換えてください。

・ 不幸を連想させる言葉(迷う・浮かばれない・四苦八苦、など)

・ 「四」と「九」(死・苦を連想させるため)

 

いかがでしたでしょうか、弔辞の構成を例文とともに詳しく解説しました。原稿ができたら、実際に読み上げてみて時間内に収まるか、言いづらい表現がないかなどをチェックしてから清書すると安心。

弔辞は読み上げた後は霊前に供えますので、正式には巻紙や市販の弔辞用紙に薄墨で清書してください。白い便箋に万年筆で書いても良いのですが、これは「略式」になることを覚えて丁寧に仕上げたいもの。

弔辞は、格好よく語る必要はありませんし、内容もきれいな言葉でまとめなくても大丈夫。それより大切なのは、故人へのあなたのまっすぐな思いを示すことです。

守るべきマナーはもちろんありますが、そのことが伝われば、遺族や参列者、そして故人の心に届く弔辞となるのではないでしょうか。

まとめ

弔辞の基本構成

・はじめに「語りだし」の言葉を述べる
・故人と親しければ、呼びかけるように始めてもよい
・故人の人柄や功績をエピソードを交えて語る
・今後の決意や、故人への感謝の気持ちや敬意を語る
・お別れの言葉で結ぶ
・「忌み言葉」を使わない


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