通夜の挨拶には構成がある。押さえておきたい基礎知識

通夜の挨拶には構成がある。押さえておきたい基礎知識
通夜の挨拶は多くの場合、喪主が行うものですよね。最近、通夜は葬儀や告別式に会葬できない方たちが、故人と最後のお別れをする場となることが多くなり、より重要な意味合いを持つようになりました。

そんな方たちには、足を運んでくれたことや、故人を偲んでくれたことに対しての感謝の言葉、そして、遺族の思いを心を込めて伝えたいもの。

とは言え、目まぐるしい準備のなか、通夜の挨拶でどんなことを具体的に話せばよいのか、きっちり考える時間も取れないかもしれません。

ただ、実は通夜や葬儀の挨拶には構成があり、この構成に沿って通夜の挨拶を考えていけば、伝えたいことが弔問客に伝わるはず。基本の構成を理解していれば、忙しいなかでも慌てることなく、伝えたい想いも盛り込んで組み立てられそうですよね。

そこで今回は、通夜の挨拶の構成の基礎知識を、文例を交えながらお伝えします。

 

通夜の挨拶には構成がある。
押さえておきたい基礎知識

 

通夜での挨拶の場面

喪主(あるいは世話役など)が弔問者に通夜の挨拶をする場面は、2回。

【 通夜で挨拶をする場面 】

① 1回目は「通夜の閉会時」。

・ ただし通夜の会場が狭く、弔問客を拝礼の後すぐに「通夜ぶるまい」の席に案内しなければならない時には、この挨拶は省略されます。

② 2回目は「通夜ぶるまいの閉会時」。

・ 「通夜ぶるまい」とは、故人の供養のために行う会食のことで、僧侶や弔問客を別室に案内して料理やお酒でもてなすことを指します。

次の項から、それぞれの通夜の挨拶、構成を例文を交えながら、お伝えします。

 

通夜の挨拶、出だし

通夜の挨拶での出だしでは、「これから通夜の挨拶をします」ということを弔問客に伝えるとともに「自己紹介」をすることがポイント。

ただし通夜に司会者がいて、挨拶前に話者の紹介をしてくれる場合や、弔問客が話者と故人との関係を把握している場合は、自己紹介は省略しても構いません。

【 通夜の挨拶、出だし 】

★ 「遺族を代表し、皆様方にひとことご挨拶申し上げます。私は○○の娘、△△でございます。」

 

通夜の挨拶、天候による使い分け

続いて弔問に対するお礼として、忙しいところ、故人のために集まってくれたお礼を述べます。例えば、「本日はお忙しいところ、ご参列を賜りまして誠にありがとうございます」など。

ちなみに、「本日はお忙しいところ」の部分は、時期や天候などによって下記のように言い換えることもできますので、その日の状況に合わせて代用してください。

【 通夜の挨拶、天候による使い分け 】

・雨の日→「本日は足元のお悪い中」
・暑い日→「本日は大変な暑さの中」
・寒い日→「本日はお寒い中」
・年末→「年末の慌ただしい中」

…などなど。

この言葉の後に、「故人に代わり、深く御礼申し上げます」や、「おかげさまで、通夜を無事執り行うことができました」などの言葉をプラスしても、好印象です。

 

逝去の報告と、厚誼(こうぎ)のお礼

続いて、故人の逝去について、簡潔に報告。なお、亡くなるまでの経緯、最期の様子を詳しく話す必要はありません。

【 通夜の挨拶、逝去の報告 】

★ 「父はかねてから病気療養中のところ、昨日の○○時に心不全のため永眠いたしました。享年80歳でございました」

その次に伝える厚誼のお礼の「厚誼(こうぎ)」とは、情のこもった親しいつきあいや、深い親しみの思い。故人が存命中に、お付き合い頂いたことに対しての、感謝の気持ちを述べる、と言うことです。

【 通夜の挨拶、厚誼のお礼 】

・ 「生前皆さまから賜ったご厚誼に、深く感謝申し上げます」

・ 「生前は多大なるご厚誼にあずかり、心から感謝を申し上げます」

 

通夜ぶるまいの案内と、締めの言葉

通夜には通夜ぶるまいがありますので、会食の用意があることを伝え、会場へ促す一言を添えてください。

【 通夜の挨拶、通夜ぶるまいへの案内 】

★ 「この後、ささやかではございますが別室にお食事をご用意しております。故人の供養のためにも、お時間の許す限りお召し上がりいただければと存じます」

・「なお、葬儀・告別式は、明日の午前11時からこちらの斎場で執り行います。お時間がございましたらご会葬いただければと存じます」

通夜ぶるまいの案内では、このように葬儀・告別式の開始時間や会場を正確に伝えてください。最後に感謝の気持ちで締めますが、「簡単ですが、お礼の挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました」などの一文で大丈夫です。

 

通夜ぶるまいの閉会時の挨拶

通夜の挨拶は通夜ぶるまい後にも行い、会の終了時間をやや過ぎたころ、タイミングを見計らうと適切。まずは弔問客に対し、時間を割いて通夜ぶるまいの席に着いてくれたことに対してのお礼を述べてください。

【 通夜の挨拶、通夜ぶるまい① 】

★ 「皆さま、本日は最後まで共に過ごしていただき、心から御礼申し上げます」

・ 「もっと父のお話を聞かせていただきたいのですが、夜も更けて参りましたので、本日はこの辺りでお開きとさせていただきます」

このように、続いての締めの言葉では、「名残惜しい」思いを織り交ぜつつ、通夜ぶるまいの閉会を伝えるものが一般的です。

 

通夜ぶるまいの挨拶、告別式の案内とお礼

通夜ぶるまいでは、ここまで述べたらもう一度、葬儀・告別式の開始時間や会場を伝えてください。

【 通夜の挨拶、通夜ぶるまい② 】

★ 「なお、葬儀・告別式は、明日の午前11時からこちらの斎場で執り行います。どうぞ宜しくお願い申し上げます」

・ 「どなた様も、どうぞお足元にお気をつけてお帰り下さい。本日は遅くまで、誠にありがとうございました」

案内の後は弔問客を気遣いつつ、お礼で締めるとスマート。通夜の挨拶の最後は、弔問客の帰路を気遣うとともに、お礼の言葉を述べて締めるのです。

 

いかがでしたでしょうか、通夜の挨拶の構成を例文とともにお伝えしました。これらの挨拶は、メモを見ながら行っても構いません。しかしメモから終始目線が離れなかったり、声が小さかったり早口すぎたりというのは避けたいもの…。

このような席では「感謝の気持ち」と「葬儀・告別式の正確な時間と場所」を弔問客に伝えるという意義を忘れずに、なるべくはきはきと顔を上げて、挨拶をすることが大切です。

悲しみの席ではありますが、あまり感情的にならないようにすることにも、注意しなければなりません。

喪主は通夜・葬儀を執り行う中心となる役であり、慣れないことがいっぺんに押し寄せてくるので心身ともに大変。しかしその中でも、弔問客への対応は大きな位置を占めます。

美しい言葉や耳ざわりの良い言葉ではなくても良いので、心を込めて通夜の挨拶を行いましょう。

まとめ

通夜の挨拶、基本構成

・閉会時と通夜ぶるまいの締めの2回行う
・最初はお礼と通夜ぶるまいの案内を行う
・通夜ぶるまいでは、お礼と告別式の案内
・最後に弔問客を気遣う言葉で締める


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