キリスト教の葬儀は、日本では珍しく参列したことがないという人がほとんどなのではないでしょうか。そのため、通常の仏式であれば親や先輩、上司に参列マナーを確認できますが、いざ、キリスト教の葬儀に行くことになった場合は、周囲の人が誰も知識を持っていないという可能性が大いにありえます。
日本人に馴染みが深い仏式の葬儀でのマナーとキリスト教の葬儀のマナーは、まったく異なると言っても過言ではありません。知らずに参列してしまうと、故人やご遺族の方々に対してとても失礼にあたりますので、しっかりと参列者としてのマナーを知っておきたいもの。
そこで、初めての人でもこれだけ知っていれば安心というキリスト教葬儀での参列に関する基本作法のポイントを7つ解説します。
キリスト教の葬儀は初めてのあなたに。
参列の基本作法
キリスト教の葬儀での、お悔やみの言葉
キリスト教の葬儀においては、カトリック、プロテスタントどちらの場合も、亡くなった方は神の元に行く、または委ねられるという捉え方をします。厳密には宗派によって細かな捉え方は異なりますが、共通しているのは参列者は「ご愁傷様」を言わないという事です。
【 キリスト教の葬儀:お悔やみの言葉 】
■ 故人は神の元に行くということなので、お悔やみを言うのではなく「安らかにお眠りください」とか「お知らせ頂きありがとう」という言葉を遺族にかけます。
キリスト教の葬儀での、棺の入場
【 キリスト教の葬儀:棺の入場で始まる 】
■ キリスト教の葬儀では、葬儀は牧師様と棺、遺族が入場してくるところから始まります。その際には、参列者は一斉に起立して棺や遺族の方に体を向けるのがマナーです。
とはいえ、どのタイミングで起立すればいいのか不安だという人が多いのではないでしょうか。しかし、安心してください。気負わずに、周りが起立したら自分も合わせて起立すればいいのです。
キリスト教の葬儀は、祈りを捧げる
【 キリスト教の葬儀:祈りの捧げ方 】
■ カトリックとプロテスタントの宗派によって、順番や内容に多少違いはありますが、キリスト教の葬儀では牧師様、あるいは神父様が聖書の朗読と説教をします。
・ その際には参列者は祈りを捧げながら静かに耳を傾けます。
プロテスタントの葬儀では、黙祷を捧げるタイミングがありますので、神父様の合図、もしくは周囲が黙祷をしたら、自分も合わせて黙祷をします。
キリスト教の葬儀での、讃美歌の斉唱
キリスト教の葬儀では、結婚式と同様に参列者も讃美歌を斉唱します。しかし、讃美歌を覚えていく必要はありません。
【 キリスト教の葬儀:賛美歌 】
■ クリスチャンでない人は知らないのが一般的ですから、教会で歌詞が描かれた紙が配られるケースが多いです。
もし、歌詞が描かれた紙が配られてなかった場合は、周囲の人が歌っているのに合わせて、出来る限り歌えば大丈夫です。大切なのは気持ちですから、自分が宗教上よっぽどの信念がない限り、讃美歌は斉唱するのがマナーです。
キリスト教の葬儀での、祭壇への献花
キリスト教の葬儀では、喪主、遺族、親族、一般参列者の順番で、祭壇に献花をします。献花と言っても、ただ用意されたお花をたむければいいわけではありません。
【 キリスト教の葬儀:献花の方法 】
① 花の持ち方は、花びらがある方が右にくるように両手で持つのが正しいです。
② 遺影に向かって一礼します。
③ 祭壇まで進みます。
④ 花が自分の方を向くように時計回りで回し、左手、右手ともに花を手のひらにのせるように下から持って、そっと献花台に置きます。
以上、慣れない人が多いはずですから、事前に練習をしたり、前の人の様子を見ながら確認すると安心です。
キリスト教の葬儀での、聖職者の呼称
【 キリスト教の葬儀:意識したい聖職者の呼称 】
■ キリスト教の葬儀では、その宗派によって聖職者の方の呼び方が異なるので、会場で注意が必要です。
① カトリックの場合は「牧師」
② プロテスタントの場合は「神父」です。
日本では、結婚式の時などに神父様と呼ぶのが一般的に定着していますが、葬儀がカトリック式の場合は、その呼び方は間違っているので、そのように呼ばないようにします。
キリスト教の葬儀での、御花料
仏式では、葬儀に香典やご仏前を持参します。しかし、キリスト教の葬儀では、香典ではなく「御花料」としてお金を持参します。
【 キリスト教の葬儀:御花料の包み方 】
■ 熨斗袋は、十字架が描かれたキリスト教専用のものを使うのがベストです。
・ もし準備できない場合には、白の無地の封筒に「御花料」と表書きをしてお金を包んでも問題ありません。
包む現金の相場は、仏式と同額なので、特別金額を考える必要はありません。
キリスト教の葬儀に初めて参列する人へ向けた、仏式とは違う基本的な要素と流れは、いかがでしたでしょうか。キリスト教の葬儀は、日本人に馴染みが深い仏式の葬儀と大きくやり方が異なりますが、それは死者をどう扱うかという考え方が異なるためです。
クリスチャンの人の割合が低い日本人にはカルチャーショックな部分もあるかもしれませんが、お互いの宗教の違いを理解することも重要です。
しかし、キリスト教の葬儀においても、故人を亡くしたご遺族の悲しい気持ちに宗教による違いはない場合がほとんどです。お悔やみの言葉は言わないのがマナーですが、そんなご遺族に対して失礼がないように、参列者としてのマナーは最低限おさえておくと安心です。
今回解説した7つのポイントをおさておけば、キリスト教の葬儀で大きな失態をすることはありません。いざという時に困らないよう、頭に入れて堂々と参列しましょう!
まとめ
これを知っていれば安心!キリスト教の葬儀でのマナー
・キリスト教の葬儀では「ご愁傷様」は言わないのが通常
・牧師様と棺と遺族が入場する時は起立して迎える
・牧師様の聖書の朗読と説教は祈りながら聞く
・プロテスタントでは参列者も讃美歌を斉唱する
・順番に祭壇に献花をする
・宗派によって神父様と牧師様の呼び分けをする
・のし袋の表書きは「御花料」にすれば間違いない