日本では、多くの場合仏教の葬儀が行われます。しかし、亡くなった方がキリスト教であった場合、もちろん葬儀もキリスト教式で行われます。仏教の葬儀にはさまざまなしきたりや決まり事がありますが、もちろんキリスト教にもそのような決まり事は多く存在します。
弔問に訪れる場合も、そのようなしきたりを理解しておくことが大切だといえるでしょう。その中でも、まず迷ってしまうのがキリスト教の香典マナーです。キリスト教は香典の細々とした形式が若干異なるため、事前に準備をされることをお勧めします。
そこで今回は、初めて参列する方へ向けて、キリスト教の香典マナーをお伝えしていきます。本記事でお伝えする7つの礼儀をしっかりと抑え、キリスト教の葬儀に参列する基礎知識と、準備をこなしてください。
キリスト教の香典マナー、
抑えておきたい7つのルール
キリスト教の香典は専用の熨斗(のし)袋を用意
キリスト教の香典の熨斗(のし)袋は、仏教同様に専用のものを用意する必要があります。仏教では、双銀まはた白と黒の結び切りの水引きを使用したものが一般的です。しかし、キリスト教の香典は、ユリの花、もしくは十字架が印刷されている専用ものを使用します。
または、何も印刷されていない白無地袋でも良いでしょう。蓮の花が印刷されたものは仏教専用ですので避けてください。キリスト教専用の熨斗(のし)袋は、文房具店などをはじめさまざまなお店で購入することができます。
【キリスト教の香典に適した熨斗(のし)袋とは】
・ユリの花や十字架が印刷されたもの
・何も印刷されていない、白無地
・蓮の花が印刷されたものは避ける
キリスト教の香典は、宗派によって違います
キリスト教には浄土宗や臨済宗など、仏教と同じく宗派があります。その宗派の一つであるカトリックの場合のキリスト教の香典の準備の仕方をお伝えします。
【キリスト教の香典・カトリックの場合】
・熨斗(のし)袋の表書き3種類
「御花料」、「御霊前」、「御ミサ料」・熨斗(のし)袋の中心のやや上部に、黒いペンで記載する。
もちろんすでに、「御花料」、「御霊前」、「御ミサ料」と印刷されているものを使用しても問題ありません。やはり香典なので丁寧に書いてください。
・仏教で言う通夜は、カトリックの場合「通夜の祈り(集い)」と呼びます。
本来カトリックには通夜はなかったのですが、最近では行われるようになったとされています。香典もこのときに渡しましょう。
プロテスタントの場合の表書きは1つのみ
キリスト教の宗派の一つであるプロテスタント。参列する葬儀がプロテスタントの場合の、キリスト教の香典の準備の仕方です。
【キリスト教の香典・プロテスタントの場合】
・熨斗袋の表書きは「忌慰料(きいりょう)」と記載します。
もし、宗派が不明の場合は「御霊前」と記載しましょう。どちらの宗派でも使用することが可能です。
・プロテスタントの場合、通夜は「前夜祭(前夜式)」と呼ばれています。
(香典も、カトリックと同様、「前夜祭(前夜式)」にお渡しします。)
キリスト教の香典は、会葬者の氏名を忘れずに
表書きを記入したら、その下段には、会葬者(葬式の参列者)の氏名も記載しましょう。名前は、大体3名くらいまでに留めます。もしそれ以上の人数を記載する場合は、「○○一同」と記載します。そして、別の無地の紙を用意し、全員の名前を記載します。
名前を記載した用紙は、中包みの中に入れるようにしましょう。中包みは、三角の部分が下を向く形で入れてくださいね。
【キリスト教の香典を連名で送る場合】
・表書きの下段に、会葬者の氏名を記載
・名前は3名程度に留める
・人数が多い場合は「○○一同」と記載し、無地の別紙に記入
・別紙は熨斗(のし)袋の中包みの内側に入れる
仏教同様、キリスト教の香典もふくさに包みます
キリスト教の香典は、そのまま鞄に入れたりせずに、汚れやシワから守るため袱紗(ふくさ)に包みましょう。仏教と同様です。色も仏教と同じもので良いでしょう。
グレーもしくは紫が一般的です。赤やオレンジ、ピンクなどの温かい色は、お祝い事や慶事用ですので避けてください。寒色系の落ち着いた色が弔事用と判断すると良いでしょう。
紫は、慶事用、弔事用共に使用できます。これはキリスト教の香典も同じです。そして、お渡しするときはもちろん、袱紗(ふくさ)から出してお渡ししてくださいね。
【キリスト教の香典の袱紗(ふくさ)】
・キリスト教の香典でも仏教と同じく、袱紗(ふくさ)に包みます
・袱紗(ふくさ)の色は、グレーもしくは紫
キリスト教の香典は受付で手渡し
キリスト教の香典も、受付でお渡しするのがルールです。もし、通夜ですでに不祝儀をお渡ししているときは、その旨を受付で伝えてご自身のお名前のみを伝えましょう。なお、キリスト教では、「死」は「主、イエス様のもとへ召される」と考えます。
そのため、香典をお渡する際はご挨拶として、「安らかに召されますように」もしくは「安らかにお眠りくださいますよう、お祈り申し上げます」と一言添えましょう。
【キリスト教の香典を渡す時の言葉】
・安らかに召されますように
・安らかにお眠りくださいますよう、お祈り申し上げます
キリスト教の香典では、香典返しはありません
キリスト教の香典は、本来香典返しは存在しません。しかしながら、最近では行われる場合もあるようです。カトリックは亡くなってから30日後に追悼ミサがあります。またプロテスタントでは、1ヶ月目に行う「召天記念式」と呼ばれるものがあります。
その際に贈りものを送る場合もあるようです。一般的には、挨拶状と共に郵送されるので、受け取った際は先方に連絡をしておきましょう。
【キリスト教のお葬式後に行われる式】
・カトリックは30日後の「追悼ミサ」
・プロテスタントは1ヵ月後の「召天記念式」
いかがでしたか。キリスト教に参列する際に、おさえておきたいキリスト教の香典マナーについて、ポイントに分けて説明してきました。仏教とは異なる部分も多々ありますが、知っておけばそれほど大きな違いはなく、日本では仏教の葬儀に倣う部分もあるので、問題なく参列できるでしょう。
キリスト教の香典は、亡くなった方の霊前に対する供養という意味がありながら、同様に急な出費に対する、ご家族への気遣いという意味も含まれます。そのため、出来る限りの準備をして弔問に伺うことをお勧めします。その際、少しでも本記事がお役に立てれば幸いです。
最近では密葬も多く、喪中ハガキや人づてで訃報を知る機会もあるでしょう。故人のご自宅へ伺う場合には、仏教では菓子や線香の供物を持参する方法が一般的ですね。一方キリスト教ならば、生花を持参するのが適切です。
まとめ
初めてのキリスト教の葬儀参列での、基本的な香典マナー
・キリスト教専用の熨斗(のし)袋があります
・キリスト教の宗派によって表書きが違います
・参列先の宗派が分からない場合は、「ご霊前」で
・会葬者の氏名を下段に。連名の記入は3名まで
・香典はグレーか紫の袱紗(ふくさ)に包む
・受付で香典を渡し、キリスト教のお悔やみを
・香典返しはないが、最近では後日贈られることも