イマドキのお葬式事情。「直葬」が選ばれる5つの理由とは

イマドキのお葬式事情。「直葬」が選ばれる5つの理由とは
最近、大都市圏を中心として直葬のお葬式が増えていますよね。費用が安く済むというメリットの他に、仏教の儀式に煩わされない、参列者への対応の負担が無いなど、今の生活環境に合っている点も選ばれる理由です。

昔の日本は、大家族が一般的で、自宅で営むお葬式には、近所に住む親せきが大勢集まるのが一般的でした。しかし、今は小さな家やアパートに老夫婦のみ、という家庭も珍しくありません。従来のお葬式のやり方は、残された遺族にとって負担になることも多くなっています。そのため、シンプルな直葬が選ばれているのです。

では、直葬とは具体的にどのようなお葬式なのでしょうか。また、注意しなければならない点もあり、メリットばかりではありません。そこで今回は、特に大都市圏で増えているお葬式のスタイルである直葬についてお伝えします。

費用を抑えられる

直葬のメリットといえば、まずは費用が安く抑えられる点が挙げられます。直葬では、通夜や告別式などの儀式を省略するため、儀式の会場を借りたり祭壇を借りたりする費用がかかりません。さらに、通夜や告別式を行わないことで、お坊さんへの謝礼も不要です。

また、直葬が最近選ばれていることから、葬儀社でも低価格な直葬を宣伝してきています。

ただし、葬儀の費用には、さまざまなサービスが含まれており、直葬の費用が安いと感じて契約したものの、実際にはいろいろなサービス料が加算されて、思わぬ出費になったケースもあるので注意が必要です。

例えば、直葬といっても、病院で亡くなったのなら、火葬するまで葬儀社に遺体を安置してもうらうことになります。この際、スタッフがずっと付き添う場合、その分の人件費が別にかかることがあります。きちんと葬儀社のサービス内容を全て見せてもらってから契約しましょう。

 

時間をかけずに済む

葬儀に多くの参列者が予想される場合は、亡くなってすぐに告別式を行う訳にはいかないこともあります。土日など参列しやすい日に広い会場を予約して、関係者に通知しなければなりません。その分、亡くなってから葬儀が終わるまで、意外と長くかかってしまうことになります。

しかし、直葬の場合は、亡くなった直後に葬儀社と相談して、早ければ翌日には火葬して葬儀が終わります。

ただし、夜に亡くなった方を、翌日の日中に火葬することはできません。それは、法律で人が亡くなったら、火葬までに24時間待たなければならないと定められているからです。

なお、直葬では通夜の準備は行いません。そのため、火葬までの24時間が、遺族が亡くなった方と一緒に過ごす最後の時間となります。そのため、儀式に邪魔されずに静かに過ごせるのもメリットの一つです。

 

無宗教でも大丈夫

かつての日本は、どの家にも菩提寺があり、家族が亡くなると懇意にしている菩提寺のお坊さんがお葬式を仕切ってくれました。しかし、今では核家族化が進み、かつての菩提寺との関係も希薄になっています。そのため、特に大都市圏では、菩提寺に関係なく行える直葬が増えています。

例えば、2013年のNHKの調査では、直葬が関東地方における葬儀全体の22.3%とのことでした。

今では、菩提寺に関係なく、葬儀社に依頼すれば近くのお坊さんを派遣してくれるサービスもありますが、かつてのような仏教式の葬儀にこだわらない方も増えています。

直葬のメリットの一つには、仏教式のマナーに縛られない点も挙げられます。例えば、亡くなってから火葬までの時間に、生前好きだった音楽を流したりしながら、亡くなった方らしい最後の時間が過ごされる方もいるそうです。

 

来客対応は不要

亡くなった方の生前の地位や人望により、通夜式や告別式に多くの参列者が訪れます。遺族にとっては、そういった参列者への対応もかなりの負担です。告別式を行う前に案内状を送付し、終わってからは礼状を送るのも遺族の務めです。さらに、1年後の1周忌法要など、遺族の負担は続きます。

直葬では基本的に遺族以外の参列者がいません。そのため、参列者への対応は不要です。なお、火葬の際には、直葬でもお坊さんにお経をあげてもらうこともあります。この場に、特に生前親しかった方を呼ぶこともあります。

もし、お世話になった方が亡くなり、その葬儀が直葬の場合は、火葬にのみ立ち会ってください。なお、直葬では、受付はもちろんありません。直接遺族を探して、声をかけてから、同席してください。

 

家族葬との違いとは

参列者を呼ばない葬儀には、家族葬もあります。では、直葬と家族葬とはどんな違いがあるのでしょうか。

家族葬とは、参列者を呼ばないだけで、遺族だけで通夜や告別式を行う葬式のやり方です。そのため、通夜では祭壇を作りますし、告別式でも祭壇を設けます。

さらに、お坊さんを読んでお経を読んでもらい、数は少ないものの告別式の引き出物も準備します。そのため、葬儀社に依頼する場合、通常の葬儀と変わらない程度の費用がかかってしまうのが一般的です。

ただ、菩提寺との関係を維持しつつ、遺族が負担を少なくしたい場合は、家族葬を選択します。

なお、直葬では基本的にはお坊さんを呼びません。そのため、菩提寺がある場合は、事前に相談しておかないとトラブルの原因になります。場合によっては火葬してもお墓に入れてもらえないこともあります。そのため、菩提寺がある場合は、直葬ではなく規模を縮小して家族葬を行うのがおすすめです。

とは言っても、菩提寺と相談して費用が捻出できないことから直葬を選択することもあります。そうした場合でも、菩提寺との良い関係を維持するようにしましょう。

 

以上、特に大都市圏で増えているお葬式のスタイルである直葬についてお伝えしました。

お葬式といえば、今でも仏教式のお葬式が主流です。しかし、若いころから大都市圏に移り住んだ人には、従来の菩提寺との関係が希薄になっています。さらに、今はセレモニーホールでお葬式を行うのが一般的になっており、費用もかかります。それなら、生前親しくしていた人達だけを呼んで、小さなお葬式で亡くなった方を送ってあげた方が良いと考える方が増えています。

とはいえ、直葬では、お葬式では常識となっていることが省略されています。そのためそれを希望したせいで別途料金がかかり、請求額を見て驚いた、といったトラブルも起こっています。このようなことがないように、葬儀業者にまかせっきりにしないでしっかり打ち合わせしましょう。

まとめ

直葬のメリットと気を付けたい点とは

・費用が安いとはいえ、葬儀社との契約では細かくチェックを
・葬儀に時間をかけずに済むが、火葬までには24時間必要
・無宗教でも気にせずに葬儀できる
・来客対応が不要なので、親しい人と葬儀に集中できる
・直葬と家族葬との違いを把握しておこう

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