数年前に「おくりびと」という映画が話題になったおかげで、葬儀に関係する仕事に興味を持った人もおられるでしょうが、実際に働こうとしたら葬儀屋の給料や仕事内容は気になりますよね。
誰もが葬儀は経験しますので特別なことではありませんが、それを仕事としている葬儀屋となれば特殊な世界に感じますし、仕事内容もきついイメージがあります。葬儀屋の給料は仕事内容に対して割に合うのかは、正直不安に感じてしまいます。
人の「死」と向き合う崇高な仕事ではありますが、これから「おくりびと」を目指す人には、葬儀屋の給料から仕事内容を知って頂き、自分に合っているかの判断材料の一つにして下さい。
そこで今回は、葬儀屋の仕事から給料まで、葬儀業界についてお伝えします。
特別な学歴や資格は必要ない
葬儀屋の給料や仕事内容を知る前に、就職するにはどうすればよいのか、必要となる資格はあるのかを知らなければなりません。もしも、必要な学歴や資格があれば、それらを取得しなければいけませんが、葬儀屋に就職するだけであれば、学歴も資格も必要ありません。
普通の企業に就職するように、求人やサイトから応募して面接などの試験を経て採用となります。また、専門的な教育を受けて就職する人も多くいますし、全てとは言いませんが、求人も経験者を対象としたものが多いです。
なので、何のバックボーンもなしで葬儀屋になろうとするよりは、専門の教育を受けておく方が有利です。やはり、それだけ葬儀屋の仕事は、他とは違うある種特殊な仕事だということです。
給料は一般の会社と変わらない
仕事の内容は後ほどお伝えしますが、「死」と向き合ったり悲しみに暮れる遺族の対応をしたりと、葬儀屋は精神的にきつい仕事です。また、基本立ち仕事であり人の死はいつ訪れるか分かりませんので、時間も不定期なため肉体的にもきつくなります。
そんな葬儀屋の給料ですが、一般的な企業とほとんど変わりません。だいたい平均で新卒で月給20万円くらいで、ベテランになれば30万円くらいになります。ただし、大手から家族で経営するような小さいところまでありますので、葬儀屋によって給料にばらつきがあります。
その他に特別な資格を持っていれば、給料がアップする場合もあります。資格による仕事内容も、後ほどお伝えしますので、ここでは給料のみを記載しておきます。
・納棺師:25万円以上
・エンバーマー:17万円以上
・葬祭ディレクター:20万円~30万円
・生け花師:18万円以上
仕事内容は多岐に渡る
葬儀屋の仕事は、実に多岐に渡っており、いくつもの業務があります。それら、一つ一つの内容は以下のようになります。
・依頼の受理及び説明:死亡の連絡が届いた先(病院など)へ向かい、遺体を遺族宅へ搬送します。その後、遺族へお悔やみの言葉を述べつつ葬儀の説明をします。
・遺体の処理と遺族との打ち合わせ:遺体はドライアイスなどを使って腐らないようにします。遺族とは、誰を喪主にするかや葬儀方法を話し合い、それから料金や日取りを決めてデータ処理をします。
・通夜の業務:遺体に白装束などを着せ会場に搬送し、会場の経営や通夜の司会、参列者の誘導を行います。終了次第、明日の告別式の準備に入ります。
・告別式~火葬、初七日:告別式では司会や参列者の誘導をします。その後、出棺し火葬場へと遺体を搬送し火葬の進行を務めます。火葬が終われば、初七日法要の手続きに会食の準備に追われます。全てが終わったら、料金を徴収し事務仕事を始めます。
このように、仕事内容は非常に多くあります。この内容が「葬儀屋の給料で割に合わない」と感じた人は、葬儀屋へは就職しない方が賢明です。
専門的な技術が必要な業務もある
葬儀屋の業務は先程の通りですが、実際にはもっと細かく仕事が別れており、中には独特の技術を要するものや資格が必要なものもあります。ここでは、そのような仕事について記載しておきましょう。
・納棺師:遺体を綺麗にして白装束に着替えさせたり、化粧を施して棺に納めます。「湯灌師」という呼び方もあり、基本は葬儀屋の社員が行いますが、納棺のみをする独立した業者もあります。
・エンバーマー:日本語では「遺体衛生保全」と言われており、遺体の防腐処理をします。
・葬祭ディレクター:葬儀に関する全体的な技術や知識を持っている立場で、葬儀全体の指揮及び対応にあたり、葬式では進行の中心として仕事をします。資格試験に合格しないとなることができません。
・生け花師:花を鮮度を保ち美しく飾ります。宗教によって花の色や種類、飾り方が違うので、そのことも頭に入っていないといけません。
これらは、特別な技術や知識が必要なので、任されるようになれば葬儀屋での給料も上がる可能性が大いにあります。なので、勉強してなるべく早く身に付けるのが、おすすめです。
葬儀屋の給料は、一般的な企業に勤めているのと、ほとんど変わりません。ですが、仕事内容は決して楽ではなくむしろきついですので「葬儀屋の給料では割に合わない」と感じたのなら、葬儀屋を諦める方がよいかもしれません。
それに、葬儀屋は人の「死」という、デリケートで崇高な仕事を行っていますので、大切なのは給料ではありません。人が好きで、死に対して尊い気持ちで向き合い、遺族に寄り添えることが、葬儀屋として大切なことです。
本当に「おくりびと」を目指すなら、給料のことは考えず、心から自分がやりたいかどうかを重視して下さい。「葬儀屋の給料は良い」という煩悩は捨て、人の心を見つめられるのであれば、仕事は大変でも必ず葬儀屋の仕事を立派にこなすことができるでしょう。
まとめ
葬儀屋の仕事から給料は
・必要な資格や学歴はないが専門の教育を受けた方が有利
・給料は一般的な企業とほとんど変わらない
・仕事内容は多岐に渡り受注~初七日までの全てを受け持っている
・専門的な技術や資格が必要な仕事もある