遺産相続のトラブルは、ドラマで見るような資産家で巨額の遺産がある家で起こる話で、一般庶民の自分には関係ないと思いますよね。自分の両親が元気なうちは遺産相続のことなどを考えることはほとんどないですし、よほど裕福な家庭でない限りは、家族が亡くなってから遺産についてどうするかを考えるケースが多いことでしょう。
しかし、遺産相続のトラブルは、遺産の額が数千万円や数百万円の一般的な家庭でも十分起こりうることです。
むしろ、巨額の遺産がある資産家の家では、弁護士や行政書士などの法律の専門家を通してちゃんと遺書を作成していることが多く、そうでない一般家庭の方がトラブルになることがあるのです。
そこで今回は、まさか自分が遺産相続トラブルに巻き込まれるとは思わない、という人が知っておくべきトラブル回避のポイントをお伝えします。
遺産相続トラブル☆
泥沼にならないための7つのポイント
勝手に決めない
「うちの実家はお金持ちじゃないし遺産もそんなにないだろう」と思って油断していると、遺産相続トラブルに発展しやすいので注意をしてください。数百万円でも、数千万円でもお金は誰もが欲しいものです。
【 遺産相続トラブル☆自分で決めない 】
★ 「100万円くらいなら、自分が親の世話をしてきたわけだしもらっておこう」などと、他の相続人に相談をせず相続してしまうのは絶対にしてはいけません。
・ 後々トラブルにならないように、自分で勝手に判断せずに相続人同士でしっかりと話し合って相続をすべきです。
財産を分けておく
長男家族と親が同居していて、次男は別に所帯を持つなんてケースも良くあるのではないでしょうか。
このようなケースで遺産相続トラブルになりやすいのが、長男家族が親に子供の学費を負担してもらっていたり、生活費を立て替えてもらっているなど、財産をごちゃごちゃにしているケースです。
【 遺産相続トラブル☆生前贈与の捕らえ方 】
★ 親が亡くなった後に次男がこれを「生前贈与だ」と主張した場合、どこまでが生前贈与でどこからが「ただの建て替え」なのかを判断するのが困難になってきます。
・ こうならないために、生活費は世帯ごとにきっちり分けておくことが重要です。
資産内容の明確化
資産内容が不明確な場合も遺産相続トラブルになることが多くあります。遺産相続したのは良いけれど「本当は長男が隠している遺産が別にあるのではないか」などと、他の相続人が疑ってトラブルになってしまいやすいので、特に注意をしてください。
【 遺産相続トラブル☆資産内容を明確にする 】
★ こうならないためには、生前に非遺産相続人が資産内容を明確にしておく必要があります。
・ 遺言書を作成する時に、誰が見ても理解できるように自分が持っている資産の明細を示しておくのです。
不動産の相続
遺産相続のトラブルで解決が難しいのが、不動産の相続です。例えば、山と駅前の土地が遺産の場合、誰もが駅前の土地を欲しがる傾向にあるのではないでしょうか。
資産価値に換算して同額だと言われても納得できなかったり、分割しずらい不動産が相続対象だとトラブルになって解決が難しくなります。
【 遺産相続トラブル☆不動産 】
★ このような場合には、一人の相続人が不動産すべてを受け取るかわりに他の相続人に代償金を払うという方法もあります。
・ いずれにしても相続人全員がなっとくできるまで話し合うことがポイントです。
生前贈与は避ける
親にマンションの頭金を支払ってもらうということはよくある話です。しかし、親が子どもに均等にお祝い金や金銭的な援助をしていればよいのですが、生前贈与に偏りがあると親の死後に遺産相続トラブルに発展しかねません。
【 遺産相続トラブル☆生前贈与を避ける理由 】
★ 「自分は結婚しておらず実家にずっといたから、マンションの頭金を出してもらった兄より多く遺産相続できる権利がある」などと、生前贈与の金額を踏まえた遺産相続を主張する人が出てくるのです。
・ こうならないために、生前贈与は極力避けるというのがトラブル回避のコツになります。
遺言書の作成
相続人同士が不仲の家庭では、遺産相続トラブルになる可能性が非常に高いことは、想像できるのではないでしょうか。もともと相手のことをよく思っていないのですから、お金を分け合うとなると、相手を疑ってかかってしまうのは当然のことかもしれません。
【 遺産相続トラブル☆遺言書の重要性 】
★ そのため、いくら不仲であっても、被相続人の死後にトラブルが泥沼化しないために生前に遺言書を作っておくことをおすすめします。
・ 「後々トラブルになるのを避けたいから遺言書を作ろう」と声をかけあって、家族全員で納得の内容を作っておくのがベストです。
家督相続の対処法
昔は長男が遺産を相続して家督を受け継ぐのが一般的でしたが、これは江戸時代の話です。最近では、子供が複数人いれば、平等に遺産を相続する権利を持っているのですから、長男が「自分が家督相続人だ」と主張したら、多くのケースで納得していません。
【 遺産相続トラブル☆家督相続 】
★ このように家督相続に関する遺産相続トラブルにあってしまったら、専門家を交えて遺留分減殺請求という手段を取ります。
・ 家督相続を考慮しつつも、他の相続人とも遺産を分け合うという法律です。
いかがでしたでしょうか、遺産相続トラブルは他人事と思わずに自分の身にも起こりうることだと考えておくことが大切です。
いざ、親が亡くなった時、それまで良好だった兄弟や親戚の関係性が崩れることが十分あり得ます。人間には損得勘定がありますし、お金に対する欲求もある生き物です。
うちの家庭は仲良しだから大丈夫と安心せずに、被相続人が生前のうちから「遺産相続トラブルにならないように話し合おう」と親戚で話し合っておくことが、後々トラブルを避ける最良の方法ではないでしょうか。
親が生きているうちに、遺産相続トラブルのことを考えるなんて、不謹慎だと思うかもしれませんが、自分の子供たちが不仲になることを親は望まないでしょうから、専門家も交えて遺言書を作っておくことも、できればしておく事をおすすめします。
まとめ
遺産相続トラブルを回避するポイントとは
・遺産の金額が少なくても勝手に相続しない
・生前から親と子供の財産はきっちり分けておく
・資産内容の内訳と遺言書を作成しておく
・不動産の相続は相続人で分け方を話し合う
・生前贈与はトラブルのもとになるので避ける
・相続人同士が不仲の場合は遺言書を作る
・家督相続を主張されたら遺留分減殺請求を