葬儀の服装として社会人になると、「ブラックフォーマル」の服を早めに買い揃える方も多いですよね。葬儀の服装は小物も大切です。喪服に合わせる様々なアイテムには、ひとつひとつ意味があるからです。
社会人になると、誰しも葬儀に参列する機会が増えてきます。例えマナーに沿ったスーツやワンピースを着用していたとしても、目についたアイテムが「マナー違反」である場合、葬儀の服装としてはNGとなってしまいますので、十分配慮をしたいものです。
ここでは女性の葬儀の服装として、前もって準備しておきたい、7つのアイテムを解説します。
おめでたい結婚式の服装とアイテムに、厳密なマナーがあるのと同様、悲しみの席にもしかるべきマナーがあるのです。もしそれらがきちんと揃っていれば、いざという時に慌てることもありません。
それを念頭に置いてぜひご一読ください。
葬儀の服装を選ぶなら☆
女性が選ぶ7つのアイテム
マナー違反にならないネックレス
葬儀の服装に合わせるアクセサリーとして、多くの方が思い浮かべるのは「パールのネックレス」ではないでしょうか。
パールは「涙の象徴」と言われているので、葬儀の服装にマッチした数少ない宝石です。ただし色は白やグレー、黒に限られます。
【 葬儀の服装に合わせる、パールのマナー 】
★ 必ず一連のネックレスとします。
・ 二連や三連のネックレスは「不幸が重なる」という意味につながるので、決してつけてはいけません。
他にも、以下のようなパールのネックレスは避けてください。
【 葬儀の服装に合わせるパールネックレスのタブー 】
・ 9mm以上の大玉のネックレス
・ ロングネックレス
・ バロックパールのネックレス(カジュアルな雰囲気のため)
パール以外にもブラックオニキスやジェット(黒玉)、黒曜石のネックレスも可とされています。ただし、どの素材を選んだとしても留め具がゴールドなど華やかな印象のものはNGとなります。
★ なお、葬儀の際のネックレスは「必ずつけなくてはいけないもの」ではなく「つけてもよいもの」という考え方が一般的です。
そのため無理につける必要はありませんが、もしこれから準備するのであれば慶事にも用いることができる「白パール」のネックレスをおすすめします。
葬儀の服装に合わせるバッグ
【 葬儀の服装に合わせるバック 】
★ 葬儀の服装として持つバッグは「黒無地の布製・シンプルで小ぶりなもの」が最もふさわしいとされています。
・ もしなければつやが抑えられている革製のものでも構いません。
デザインはハンドバッグでもクラッチバッグでも構いませんが、持ち手があった方が何かと便利かもしれません。なお「黒・シンプル・小ぶり」なバッグでも、以下のタイプのバッグはNGとなります。
【 葬儀の服装に合わせるバッグのタブー 】
・ ゴールドなどの光る留め金や飾りが使用されているバッグ
・ エナメル素材のバッグ
・ 爬虫類革やファーのバッグ(殺生を連想させます)
・ ブランド名などの目立つロゴが入ったバッグ
・ 持ち手がチェーンのバッグ
なお、ショルダーバッグはカジュアルなイメージが強いため、葬儀の服装に合わせるには、あまりふさわしくありません。もし使うのなら、ショルダーストラップ部分を肩に掛けずに結んで持つなど「持ち方」を変える必要があります。
★ 荷物がどうしてもバッグに収まり切れない場合は、サブバッグを使います。
・ ただしこちらも黒無地のシンプルなものが原則となります。
これから葬儀用のバッグを揃えるのであれば、メインのバッグとサブバッグがセットになったものを選ぶのもひとつの方法です。
ハンカチも忘れず揃えよう
ハンカチは意外と人目につくものです。葬儀の服装がマナー通りでも、取り出したものが明るい色や、花柄やチェックではマナー違反です。カジュアルなイメージのタオルチーフも避けたいものです。
【 葬儀の服装に合わせるハンカチ 】
★ このような席のために白や黒、ダークカラーの無地で、綿製や絹製のハンカチを用意しておくと安心です。
・ おすすめは白の総レースの「フォーマル用のハンカチ」です。
白ならば結婚式の際に用いることもできますので、1枚あると何かと重宝します。
靴はデザインの他「履きやすいこと」
葬儀の服装としての靴は「飾りのないシンプルな黒のパンプス」がふさわしいとされます。ストラップがあるものでもOKですが、その場合は金具が目立たないものを選んでください。
素材は、布・つやのない本革・合皮など「光沢のないもの」とします。また、NGとなる靴は以下のものになります。
【 葬儀の服装に合わせる、靴のタブー 】
・ エナメルのように光沢がある靴
・ 爬虫類革の靴(型押しも。理由はバッグと同様に殺生をイメージさせるからです)
・ ブーツ・スニーカーやウェッジソールなど、カジュアルテイストの強い靴
・ サンダル・ミュールなど、つま先やかかとが開いている靴
・ ピンヒールやつま先が尖っているなど、デザイン性の強い靴
なお、ヒールは高すぎず、かつ太めになっている靴がおすすめです。
そして長時間立つことを考え「履きやすい靴」を選ぶことも配慮のひとつです。特に受付など手伝いをする際に、合わない靴では足を痛めることになりかねません。
きちんとシューズショップで合った靴を選んでおき、備えておくことをおすすめします。
葬儀の服装に合わせるストッキング
【 葬儀の服装に合わせるストッキングの基本 】
★ 葬儀の服装としてのストッキングは、例え冬でも肌が透けて見える「黒のストッキング」が正式なものです。
タイツに関してはもともとはNGだったものの、最近では30~40デニール程度であれば許容されると言われていますが、厚手のマットなタイツはカジュアルなイメージが強いので避けるのが基本です。
もしも「防寒対策」をしたいのであれば、喪服をパンツスーツにするのも良いかもしれません。
ただし以下のようなストッキングやタイツは、たとえ黒でもNGです。
【 葬儀の服装に合わせるストッキングタブー 】
・ラメ入りの華やかなもの
・模様が入っているもの(ワンポイントでもNGです)
・網タイツ
実際に参列する際には万が一の伝線に備えて、スペアのストッキングを持参すると安心です。
★ なお「生足」は「葬儀の服装においてはなるべく肌を見せない」というマナーに反します。生足に見えがちな肌色のストッキングも避けてください。
冬の葬儀ではコートにも気を配る
寒い季節の葬儀に参列する時には、コートも葬儀の服装のひとつとして考えなければなりません。
【 葬儀の服装に合わせるコート 】
★ 最も適しているのは黒のカシミアや上質のウールなどの素材。
・ シンプルで膝が隠れる丈のものですが、色は濃紺やチャコールグレーでもOKです。
ライナー付きのタイプであれば、スリーシーズン着用することができるので、ブラックフォーマルとともに一着準備しておくと便利です。なお、以下のようなコートはNGとなります。
【 葬儀の服装に合わせるコートタブー 】
・毛皮のコート(部分的にファーがあしらわれているタイプもNGです)
・光沢のある素材のコート
・ダウンコートなど、カジュアルテイストの強いデザインのコート
なお、コートは葬儀会場に入る前に脱ぐのがマナーとなっていますが、焼香が屋外のテントなどで行われる場合は、その時だけ脱ぐようにすればOKです。
雨の日に葬儀に参列するなら、傘にも注意
葬儀に参列する際、もしも雨が降っていたら明るい色や派手な色の傘、花柄やチェックなどの傘は避けなければなりません。
【 葬儀の服装に合わせる傘 】
★ コンビニで購入できる「透明のビニール傘」ならマナー違反になりませんが、できれば長く使えるシンプルな黒い傘を、一本用意してみてはいかがでしょうか。
持ち手もなるべくスマートで、上品な印象のものを探してみてください。
いかがでしたでしょうか。このように葬儀の服装を整えようとすると、細部まで気を配らなけらばならないことが、よく分かります。他にも、香典を包む袱紗(ふくさ)や、仏式の葬儀に用いる女性用の数珠なども揃えておくことをおすすめします。
なお、今回解説したアイテム以外にも「ヘアアクセサリーも飾りのついていない、地味なデザインのものを選ぶ」「防寒用のショールや手袋を使うなら、黒やチャコールグレーとし、ファーのついているものは避ける」など、配慮をするべきアイテムがいくつかあります。
しかし「原則的に黒で統一」と「殺生を連想させるもの・装飾的なもの・光るものを避ける」ということを頭に入れておけば、まずマナー違反になることはありません。
葬儀の服装は、おしゃれ重視で装うものではなく、故人と遺族に対して弔意を表すために装うものということを、覚えておいてください。
まとめ
葬儀の服装に合わせる小物類のマナーとは
・パールのネックレスは一連のものを
・バッグは「黒・シンプル・小ぶり」なものを
・白の総レースの「フォーマル用のハンカチ」が理想的
・靴はデザインの他「履きやすいこと」も重要
・ストッキングも「黒」
・コートは、黒のカシミアや上質のウールなどが基本
・黒いシンプルな傘も準備しておけば、さらに安心